#115 先入観のいたずら
管理人からCランクの詰碁について、とりさんから、>「どこかに多少のひねりが利いていて楽しい!」というコメントをいただいた。「多少のひねり」、これが詰碁を難しくも面白くもしている味わいどころだ。この「ひねり」には、私たちの「先入観のいたずら」が利用されているのだと思う。「○○に見えて、実は○○ではない」というパターンが多いたとえば、「腹中の黒1子を助ければ白が死ぬ」という場面で、「切られそうで切られない」、「取られそうで取られない」という問題が多い。その反対で、「腹中の白1子を助けられると黒が死んでしまう」という場面。「つながられそうで、実はつなげない」というオチがつくものが多い。また、「石を取られてダメそうに見えるけど、取られても大丈夫」というものもある。1、2子ならともかく、4子も5子も取られたら、まずダメと思ってしまう。しかし、4子とられてもカケメにできる場合もあるし、6子とられても「花六」もある。これらは、カケメや中手にする筋や、石の下の類で解決できる。また、「見合いにされそうで、実は見合いではない」という状況もある。「見合いを崩す」という手段で解決するパターンだ。いま挙げたパターンは大抵の場合、捨て石とダメヅマリに関係していることに注目したい。「○○に見えて、実は○○ではない」というパターンの詰碁では、ここは○○だから、と思いこんで、その先を読まなくなってしまうことが一番の障害になる。そこで読みを打ち切らずに、本当に○○か?と疑いながらその先を読んで見るのだ。至福の時は「その先」にある。棋力の高い人からは、「そんな、理屈をグズグズ言っていないで、基本詰碁を体で覚えなさい」などと言われそうだが、こんな理屈を大切にしたい理由がある。詰碁を解いて解答を見たとき、どんな先入観がじゃましていたのかを確かめておくと、自分の先入観、悪い癖を発見できるのだ。そうやって、自分の先入観をどんどん壊していくことが、詰碁に限らず囲碁が上達するポイントではなかろうか。とりさんの囲碁楽ぶろぐhttp://torisan.pietsch-companion.com/