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2008.05.30
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カテゴリ:絶望

祖父が、倒れた。

まだ直接祖父の主治医から話を

聴いていないが

左脳でも中心寄りの部分からの

出血だった。







11時過ぎ、いつものように祖父は

郵便受けに手紙が来ていないか

見に行こうと玄関を出ようとしたらしい。

そうしたら、ふらりと座り込んだと

祖母は言っていた。

まだその時は脳出血だったとは分からず、

「ちゃんと靴履きなさいな。」

と様子を見ていたら、

右半身が、ぴんと伸びきってしまって

動かなくなり、段々おかしいと思い始めた。

そしてトイレへ行きたいという祖父だったが、

座り込んだまま、立ち上がることは出来なかった。

祖母は急いで前の入院の際に用意していた

オムツを持ってきたが、

失禁してしまった。

そして祖父は倒れこんだ。







祖母は、母の妹に電話をして

大急ぎで祖父母の元に駆け付けたが、

まだその時は脳出血だとは想わなかったらしい。

でも、段々以前倒れたときと様子が似ていると

感じてきたとの事で、

かかりつけの病院へ電話をしたら

「早く救急車で救急病院に運んでください」

との指示だった。

しかし、以前脳出血で倒れた際も

診てもらった大きな総合病院へ、

運んでもらう事にした。







祖父が倒れたという事を私が知ったのは

15時だった。

母からの電話によって。

急いで支度をしてタクシーを呼んで

病院へ行った。

祖父は、集中治療室に入院した。

祖母と母の妹とで入院に必要な物の準備、

記名をしているところで、

母も到着して間もないとの事だった。

母と一緒に、病室へ入った。







最初、祖父だとは想えなかった。

余りにも、弱々しい感じがした。

点滴、尿道カテーテル。

右半身が動かないことは聞かされていたが、

言葉が出ないという事実はそこで初めて知った。

「じいちゃん、○○(私の名前)よ!分かる?」

と麻痺していない左腕を擦りながら訊ねると、

ふと目蓋を開けて私のほうを向いた。

そして、視線が合い、祖父は微笑んだ。

「良かった!意識はある!」

一瞬、安堵した。

「じいちゃん、来たよ。まだいるからね。

 ゆっくり寝てね。」

と私が言うと、

「ああ、おう。おお。」

と、起き上がって挨拶しようとするのである。

涙がこみ上げてきたが、祖父に涙は見せられない。

「起き上がらんで良いんよ。ゆっくり寝よって。

 また、来るけん。」

そうすると、私の顔をまた見て微笑み、

安心したように眠った。







心配なのは、認知症なので

尿道カテーテルや点滴を抜こうとしてしまう事である。

この場合、拘束帯を付けられる可能性が高い。

集中治療室なので、前回の場合とは違い、

祖母が泊り込むのは許されない。

しかし、祖父は祖母が居ないと暴れてしまう。

独り、病室に取り残されている祖父。

「このまま出血部分が広がってしまったら、覚悟してください。

 あと2日が山です。

 それを乗り越えたら、安心ですが

 右半身の麻痺は残ります。」


そう言ったという医者の言葉が頭から離れない。

祖父と2人きりになった際、

祖父が眠っている隙に、麻痺していない

左半身を擦り、

「良くなりますように、良くなりますように。」

とこころの中で呟きながら

祈り、願った。

涙がぽろぽろと止め処なく零れた。

その後、弟もやってきた。

弟は、ヘアスタイルがツンツンに立てた

金髪だったので、

祖父は驚いた顔をしていたのが印象的である。

だから、私が「●●(弟の名前)よ」と言っても

分からないようで、弟は少しショックを受けていた。

また明日も、病院へ向かうと言っている。

今度は、妹と姪っ子も一緒に。

祖父はひ孫が大好きだから

きっと、元気になってくれると願いたい。







もう何も贅沢は言わないから

祖父を、救ってください。

私の大切な人、大好きな大好きな人を

救ってくださいと、神に願う。

2日間の峠を乗り越えたら、

祖父はきっと快復へ向かう。

以前そうだったように、話せるようになると

感じる。

ふとした瞬間、瞬間に涙が止まらなくなるが、

祖父の前だけでは、笑顔で接したい。





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Last updated  2008.05.30 21:34:01
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