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飯塚事件について考えること

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2023.03.18
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カテゴリ:ひとりごと
​​袴田事件、再審開始決定 証拠捏造に言及「犯人と言えず」―第2次請求差し戻し審・東京高裁

ネットでこの記事の見出しを見たときに、ようやくかといった思いと、なぜこんなに時間がかかるのかといった憤りを感じました。

私が冤罪事件に興味を持つきっかけとなったのはこの袴田事件を題材として映画、『BOX 袴田事件 命とは』を見たことがきっかけでした。この映画は、死刑判決を下した裁判官の一人の方の視点から描かれた映画で、ここまで酷い捜査が行われていたことに憤りを感じ、また検証能力が足りない裁判官に対しては怒りを感じました。

とはいえ映画ですので当然脚色はあるのでしょうが、その後ネット等で事件のことを調べると、自分の中ではやはりこの事件は冤罪としか考えられないとの結論に達しました。

さて、今私は飯塚事件のことについてブログを開設し、飯塚事件へ冤罪ではないとの主張を展開しています。袴田事件とこの飯塚事件はともに冤罪事件として扱われるケースが多いのですが、それではこれらの事件は何が違うのか簡単に解説してみます。



■起訴の決め手について

袴田事件では、本人の自白が決め手となり起訴されています。それも、犯行を頑強に否認していたにもかかわらず勾留期限3日前に一転自白しています。しかしなんと、第1回公判で起訴事実を全面否認。以後一貫して無実を主張しているんですね。
映画では長時間の取り調べだけではなく、留置所では大声を出して騒ぐ人物を近くに置いて夜は寝かせないようにしていた場面がありました。
ちなみに物証として裁判でも争われた犯行時の衣服については起訴後どころか、第一審の公判が始まってから見つかっています。つまり起訴の時点では犯行時の衣服については見つかってなかったわけですね。これが証拠を捏造したのではと疑惑につながってます。

さて、飯塚事件では本人の自白は無し。警察は2年をかけて証拠を集め、久間氏の車に被害者が乗ったとされる物証(被害者の血痕・尿痕と被害者に付着した繊維片)を固めたうえで逮捕しています。




​■証拠の信用性について​

そして証拠の捏造についても、袴田事件では犯行着衣とされた「5点の衣類」が実際にはサイズから見て被告人の着用は不可能だったとされています。検察側は衣服は味噌樽に隠していたために「1年間近く、味噌漬けになってサイズが縮んだ」と主張していますが、実際に見つかった衣服が1年味噌漬けになっていたわりには奇麗だったんですよ。それに付着した血液も赤い色のまま。それって普通に考えてあり得ないですよね。
また、ズボンについていたタグのアルファベットコードはサイズではなく色を示していることも判明しています。
極めつけが、警察は袴田さんの実家を家宅捜査した際に犯行着衣と同じ共布を発見し、これを犯行を裏付ける証拠として採用していますが、実はその布の発見の8日前と6日後の2度に渡り、捜査員がズボン製造元から同じ生地のサンプルを入手していたことが判明しています。

袴田事件の事例を根拠に、飯塚事件の物証である久間氏の車の車内から見つかった血痕(ここから被害者と同じ血液型・DNA型が検出)についても警察の捏造と主張する方々がいらっしゃいます。その理由としては、車を押収した直後には血液反応はあったが血液型などはわからなかったにも関わらず、その後に実は切り取ったシートから検出された血痕から血液型が判明したのは不自然だとの主張です。

確かにこの事実だけを聞くと、袴田事件と同じように警察が捏造した(要は後から血液を付着させた?)とも思われますが、実はこの後から見つかった血痕は、警察が繊維鑑定のためにメーカーである東レに預けていた切れはしから検出されており、東レの方も預かった当初からシミはあったことを証言されてます。つまり、警察が捏造したのであれば民間企業の東レもグルでないとつじつまが合わないんですね。

弁護団も含め冤罪派の方は意図的なのかわかりませんが、この東レの関りを無視して警察の捏造説を主張しているわけで、ある意味悪質だと思いますね。



このように比較されがちな袴田事件と飯塚事件は、実のところは全く性質の違う事件だということがお分かりいただけたかと思います。


袴田事件は冤罪だと考えている私としては、これだけ冤罪の証拠と思われる証拠がそろっている事件と飯塚事件を同じ土俵で語ってほしくはないと強く感じています。

ちなみに袴田事件では、弁護団が警察の物証を覆す多くの証拠を自ら実験などを行って集めているんですね。捜査権もない弁護士がこれだけの事実を集めるのって大変な労力だったと思うのですよ。

では飯塚事件ですが、物証を覆すために弁護団は何を行ったのでしょうか?車内で見つかった血痕から検出されたDNA型ですが、現在の捜査で使われているような人物を特定できるだけの精度があるものではなく、実はたった3通りの型のうちの一つなんですね。
もし弁護団が絶対に久間氏の車から検出された血痕が被害者の血痕ではないと信じているのであれば、その時点で久間氏の車に乗る可能性がある人たち(家族)のDNA型を調べれば、絶対に同じ型がでていた筈なんですが、なぜかそういった作業は行っていません。

またもう一つの物証である繊維片については弁護団は「久間氏の車と特定できない。どこにでもあるものだ」と主張したにも関わらず、その繊維片が他の車のシートなどに使用されていたかどうかを調べてすらいません。調べずに口答で「どこにでもあるものだから証拠能力はない」と主張するだけ。

仮にですよ。本当に両方の事件ともに冤罪だったとして(しつこいですが私は飯塚事件は絶対に冤罪ではないと考えています)、なぜ袴田事件では再審請求が認められ、飯塚事件では認められないのかの違いは、弁護団の熱意と能力の差だと言わざるを得ないと思います。

袴田事件では再審請求を行った際に、物証を覆す証拠をそろえていますけど、飯塚事件で再審請求時に主張する新証拠って、30年前の目撃証言、それも被害者が死亡していたと思われる時間の目撃で、その内容も「おかっぱ頭の少女を見た」程度。そしてつい最近出してきた新証拠はその目撃証言よりも酷く、裁判で採用された証人の証言を無視した検証に、事件当日たまたま遅刻となるその時間に歩いていた被害者を見たのは「別の日だった」などと主張する頓珍漢な内容なんですよ。(詳しくは​こちらの記事で解説​しています。)




弁護団の熱意の差って本当に大きいですよ。
もし自分が冤罪で捕まってしまった有罪となった際には、できれば袴田事件の弁護にかかわった弁護士さんに相談したいですね。決して飯塚事件の弁護団の方々には関わってほしくないなと真剣に感じました。彼らは自らの死刑廃止運動に飯塚事件を利用しているようにしか見えないですから。


そして、事件の本質を理解できずに、袴田事件と同じように飯塚事件も冤罪だと声高に主張する方々にも嫌悪感しか感じないですね。

みなさんはどのように考えになられますか?






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Last updated  2023.03.18 18:00:08
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