遠ざかる北方領土
北海道民、いやわが国全体の念願である“北方領土返還”ですが、ここにきてロシア国内から強硬論が噴出し、今まで以上に返還議論が遠のいてしまったようです。その発端となったのは、どうも今や“失言メーカー”となった麻生首相の発言のようです。新聞によれば、本年5月下旬、「(北方)4島は戦後60年以上を経てなおロシアの不法占拠状態が続いており、極めて遺憾」との発言がロシアの猛反発をかってしまいました。これまでは、両国の友好関係や経済協力など直接、間接的な外交努力を積み重ね、特に相手をあまり刺激しないようコツコツと進めて来たように思うのですが、まるで喧嘩ごしの麻生発言は、この問題を一歩後退させたどころか振り出しに戻してしまった感じさえします。特にメドベージェフ大統領は、「千島列島に対するロシアの主権に疑問を差し挟む日本の試みは、平和条約締結交渉継続に貢献しない」と牽制しています。どうも、相手につけ込む隙を与えてしまった事は間違いありません。麻生首相に初めから期待はしていませんでしたが、今回のぶち壊しには全くがっかりです。