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テーマ:教育問題(326)
カテゴリ:教育について
《にもかかわらず、こうしたことについて、疑問や不審の声を上げる人が少ないのはなぜなのか。理由はさまざま考えられるだろうが、なんといっても大きいのは小・中学校の教育が「義務教育」と称されていることにあるのではないか。すなわち、小・中学校の教育は義務なのだから、選択の自由がなくても仕方がないという印象が強いために、誰もそれを疑問に思わないのである。 しかし、義務教育とは本来、「親が子どもに教育を施す義務」のことであって、国や政府が指定した学校に義務的に通わせるということではない。学校に通わせなくても十分な教育を与えられるのであれば、それはそれで「親の義務」を果たしたことになるはずなのだ》(渡部昇一『国民の教育』(産経新聞社)、p. 15) まずは、「義務教育」とは何かという問題がある。成程(なるほど)、日本国憲法は、 第26条2 すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。 と、子供に教育を受けさせる義務を親に負わせている。が、だからといって、子供たちは、選択の自由なく、否応なく決められた学校に通わなければならないということにはならない。義務教育とは、親が子供に教育を受けさせる義務があるというだけのことであって、行政が予め割り振った学校に通い、行政が定めた教育内容を履修しなければならないというような話ではない。自分が通いたい学校に通う自由は、憲法と何ら矛盾しない。 義務教育が画一的であるのはそれが義務なのだから仕方がないと思ってしまうのは、憲法の所為(せい)というよりも、戦後日本を覆う思想上の問題であろうと思われる。戦後日本人は、フランス革命よろしく、「自由」と「平等」は絶対的であると未だに刷り込まれている。 が、ここで注意すべきは、人権宣言における「自由」と、上に述べてきた「選択の自由」における「自由」とでは、自由の概念が異なっているということだ。 The term〔=liberalism〕 is now used with a variety of meanings which have little in common beyond describing an openness to new ideas, including some which are directly opposed to those which are originally designated by it during the nineteenth and the earlier parts of the twentieth centuries. What will alone be considered here is that broad stream of political ideals which during that period under the name of liberalism operated as one of the most influential intellectual forces guiding developments in western and central Europe. This movement derives, however, from two distinct sources, and the two traditions to which they gave rise, though generally mixed to various degrees, coexisted only in an uneasy partnership and must be clearly distinguished if the development of the liberal movement is to be understood. -- F. A. Hayek, Liberalism: Introduction 1. The different concepts of liberalism 《〔自由主義〕という用語は今や、19世紀から20世紀初頭にかけて元々それが明示した意味とは正反対の意味も含め、新しい思想に対し開かれていることを表す以外共通点がほとんどない様々な意味で用いられるようになった。ここで考察されるのは、リベラリズムの名の下に、西欧と中欧の発展を導く最も影響力のある知的勢力の1つとして作動した政治思想の幅広い流れだけである。しかしながら、この運動は、2つの異なる端(たん)に発し、それらが生み出した2つの伝統は、一般的には様々な程度混在していたとはいえ、不安定な結び付きの中で共存していたに過ぎず、自由主義運動の発展を理解するためには、明確に区別されなければならない》― F・A・ハイエク『自由主義』:序 1. 自由主義の様々な概念 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2024.11.01 20:00:13
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