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今が生死

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2020.04.04
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カテゴリ:教育
「文化連情報」4月号に長尾先生の「未来を託す若者達へ」の連載最終回「新しい日本人像」が掲載されていた。長尾さんは脳外科医で香川大学学長を歴任され現在香川県厚生連顧問をしておられる方である。
冒頭で人は変わるものだと述べている。ある医学生は学生時代は問題児で学業成績も悪く社会性も低く将来医師になって大丈夫かと不安を覚えていたが、何とか卒業して数年後長尾さんが病棟でその人にあった時「あれ?!」と思った。彼の持つ雰囲気は今まで長尾さんが持っていたイメージから全くかけ離れ立派な臨床医としての顔つきだったとのことである。何故そう変わったのかつぶさには分からないが卒後の臨床の現場で恐らく彼の心を揺さぶる気づきのチャンスがあったのだろうと推察している。
このように人が変わることを化けるというが、化ける要因について長尾さんは次のように考察している。先祖から受け継いだ遺伝子、家庭環境、学校での経験、先輩後輩の付き合い、読書や文学作品との出会い、ボランティア活動、海外活動、社会人としての環境変化、本人の覚悟などが関与している。すなわち全ての経験やひらめきや気づきによって人は変わるのだと推察している。
そのように様々な要因によって人間は化けるものなので教師や先輩あるいは回りの人達は化けるための要因を提供してやる必要がある。従って指導者が人材育成について最初に考えるべきことは若者に多様な学習の機会を与えることだと述べている。
指導者論には大きく分けて二つあると思う。一つはこの長尾理論のように気づかせ化けさせるためには広く浅く多くの学習機会を与えるというもので、もう一つは一つのことを徹底的に教える方法である。「一芸に秀でるものは全てに通ずる」の考えで一つのことを深く掘り下げて指導していく方法である。例えば医学全般について広く指導する長尾先生流に対して外科学なら外科学を徹底的に指導する方法である。技術の習得は後者の方が早くその技術も深く確かなので信頼され有名になったりする。それに対して長尾先生は多様な学習機会を与えよと述べているが、私は長尾先生は若者の一時期に対して述べたのではないかと思った。海の者とも山の者とも分からない若者達、何の気付きもなくボケーと暮らしている者には色々な経験をさせて化けてもらって日本を背負って行けるようになってもらいたい。そして何かを掴んだら次の段階として一つのことに打ち込んでもらいたいと述べているのではないかと思った。その後日本人の美徳について述べ、美しい国土、誇りうる文化、思いやりの心を大切にして慈しんでもらいたいと述べていた。結びでは新しい日本観、価値観のもと、新しい日本人が従来の殻を破り新しい日本を創造してくれることを期待していた。
長尾先生の連載は全4回で、毎回若者に対する温かい激励があり、為政者や教育関係者に対する示唆を含んでおり大変有益な連載だったが本誌「文化連情報」は農協の厚生連関係に配布される雑誌で広く一般に読まれている雑誌ではない。長尾先生のお考えを少しでも皆様に知って頂きたくてブログに書かせて頂きました。





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Last updated  2020.04.04 10:41:10
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