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テーマ:癌(3547)
カテゴリ:がっかりしたこと
アジサイ
夢のがん治療薬の基礎となる研究をしてノーベル賞を受賞した本庶佑氏が共同開発社の小野薬品に対して特許使用料の適切な配分金226億円を求める訴訟を起こすことを発表した。 本庶さん達が発見した抗がん剤というのは、もともと人間の体には外から異物が入ってきたり中から異物が出来てきたりする(がん細胞等)と体の中に備わる防衛軍T細胞(CD8)がそれらを察知してやっつけてくれるので癌も出来ないし病気にもならないことになっているが癌はくせ者でがん表面にPD-L1(ある癌はPD-L2を持っていることもある)をもっていて防衛軍T細胞の表面にある受容体PD-1に結合してしまうのである。すると防衛軍は癌細胞は悪者ではないと認識して攻撃しなくなってしまい癌細胞は防衛軍から攻撃を受けずにぬくぬくと育ってしまい最悪宿主が死んでしまうことになる。そこで本庶さん達が目を付けたのが防衛軍内にあるPD1という受容体の働きを無くせないかということであった。そこで開発したのがオブジーボと言う薬(PD1に結合する抗体)で、がん細胞が持っているPDL1やPDL2が結合したがっているPD1という接合手をオブジーボで塞いでしまい防衛軍が癌細胞らは悪者だという認識を変えさせないようにしたのである。その結果癌細胞は防衛軍に攻撃されて死滅してがん患者さんは助かるという仕組みである。画期的な研究で多くの医学者やがん患者さんは大きな期待を持っていたが現状では一部の癌患者さんは治るが必ずしもすべての癌患者さんが助かるという現状ではない。 そのような状況なのに発明者同士で分配金のことで争っている時ではないと思う。本庶さんは医者といっても我々のような臨床医と違うところがある。臨床医は金のことはどうでも何とか患者さんが助かって欲しいと願う。本庶さんは「アカデミアの成果を社会に正しく評価していただくことが必要だ」と述べている。その中には研究者に対する配慮はあるが患者さんに対する配慮はない。訴訟の結果は適正な裁判に委ねられることになるが、同じ医学者として残念でならない。訴訟していればがん治療薬であるオブジーボの更なる発展や治療効果向上への研究が遅滞することになる。折角画期的な研究をしたのだから共同研究者の小野薬品に不満があったとしても話し合いをしてオブジーボの効力をもっと高めるための研究を進めてもらいたいと思う。私の考えでは効かない症例があるのはがん表面にPDL1とPDL2があるのにオブジーボは防衛軍のPD1のみに注目してPD1に対する抗体を作ったがそれでPDL1もPDL2も防げるとは思えない。防衛軍側にPD2というPDL2の受容体があることも考えられ大いに研究を進めてもらいたいと願っている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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