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テーマ:遺産相続(206)
カテゴリ:読書
今夏目漱石の「こころ」を読んでいる。話は東京の大学に通っている「私」が鎌倉の海水浴場で知り合った「先生」と東京に帰ってからも先生のお宅を訪問して交流を深めている物語で登場人物は先生とその奥さんと私の3人で極めて少ない。私が冬休みになる直前に腎臓病を病んでいる父親が倒れたとの連絡をもらい先生から旅費を借りて帰省する。帰ってみたら父親はそれほど悪くなかったのでしばらくして東京に戻り先生のお宅に旅費を返しに伺う。先生は父親がそれほど悪くなくてよかったと喜んでくれたが「お父さんの病気が病気だから万が一の時を考えて兄弟や親せきの間で相談しておいた方がよい。兄弟は何人いるのですか」という。私はそんなことは一度も考えたことがなく、「大丈夫ですよ、その時はその時でみんないい人ですから争わないでうまくやりますよ。みんな田舎者ですから」と答えた。先生は「田舎者なら善良ということですか?田舎者の方が始末におえないこともあるのですよ」先生は続けて「みんないい人と言いましたが日常生活の中で悪い人がいますか?普段はみんないい人なんですよ。しかし遺産相続など自分の利害に関わってくるとがらっと変わるものです」。私にはその時実感は湧かなかったが、後で先生が新潟の実家で遺産相続のことでもめて新潟を後にして東京でひっそりと暮らしていた理由を知り納得した。
私も自治会の公民館を建てる委員をしていた時道路の使用権などで公的なことより自己権の主張をなさる方々をみて普段は良い人でも自分の利害に関わることになると人が変わるものだなと痛感した。遺産相続となると急に亡くなった場合などには紛糾する可能性があり、父親が生きているうちに前もって話し合って決めておく方がよいと先生が言われたことは重要だと思った。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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