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今が生死

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2020.09.06
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カテゴリ:読書
今自民党の総裁選たけなわである。自民党総裁即内閣総理大臣になることがほぼ決まっているので誰が総裁になるか国民は注視しているが派閥の支持状況で既に大勢は決まっているような状況である。頼みは岩手県を除く各都道府県での予備選の結果である。予備選は正規の規約である国会議員数と同数ではなく、各県3票とのことで当落に影響する所までは行かないが国民の意識のある程度は推測することが出来る。
今昭和風雲録を読んでおり、時代は違うがその時代の若者の心を覗いてみた。


昭和7年2月7日に民政党の井上準之助前大蔵大臣が撃たれた事件を皮切りに全13名の血盟団が明らかになった血盟団事件、同年5月15日に起こった犬養首相襲撃事件に始まる5.15事件、昭和11年2月26日に首相官邸襲撃事件に始まる陸軍兵士1000人以上が関わった2.26事件まで一人の人物の影響が大きく関与していた。その名は井上日召、日蓮宗の僧侶である。彼は医者の家に生まれたが物事をトコトン突き詰めなければ納得できない所があり、学校の授業には満足できなくて物理以外はばかばかしくて勉強もしなかったので成績もあまりよくなかった。学校でも世間でも「良いことをして悪いことをしては駄目ですよ」と教えるが良いことと悪いことの区別はどこでつけるのか分からなかった。誰に聞いても納得できるように教えてくれる人がおらず、結局特権階級が自分達の都合のよいようにように決めており、確信の得られるものはなかった。少年時代、青年時代と悩み続きの人生だった。満州事変が起きて満州にも長く滞在したり自宅に帰ったりしたが心のもやもやは消えることがなかった。キリスト教に入信したが救われなかった。満州にいた時日本の偉い牧師が講演に来たので聞きにいって「質問があるか?」と言われたので生きる意味とか信仰の必要性、国家との関係など自分が今まで疑問に思って悩んでいることを質問した。そしたら「あなたはキリスト教徒ですか」と聞かれたので「前はそうだったが今は信じられないので止めた」と言ったら血相を変えて「あなたのような人を卒業信者と言って宗教界で最も人格劣等な者とされています。皆さんどうです。これが真面目な青年の質問でしょうか?」と万座に向かって極度の憎悪を吐露した。「何言っていやがるのだ、質問しろといったから質問したんだ、具合悪ければ最初から質問を限定すればいいではないか!」と捨てセリフを残して外に出た。悩みは解決できなかった。禅宗の坊さんの所に友人の勧めで出たことがある。「満州は貴様のような坊主の来るところではない、俺のような命の捨て所に困った奴の来るところだ。さっさと内地に引き上げろ」と脅してやるつもりで来たがその坊さんの人格に打たれて朝5時から夜11時まで半年間坐り続けた。そしてようやく今まで感じたこともない安心が得られるようになったが仕事の関係でその後坊さんから離れ諜報勤務で天津や北京などを駆け巡って活動したが、再度次第に安心を失い、深夜一人寝台に座って果てない煩悩に悩まされた。そして悩みながら日本に帰国し郷里川場村の三徳庵という三味堂に籠った。法華の題目を唱えに唱え、唱え続けて死のうとまで決心した。すると何十日かした時心身に異常を感じたがどうせ死ぬなら死ぬのだとなおも題目を唱えているうちに遂に一道を自覚することが出来た。朝東天に向かって題目を上げていたら身は法悦に戦き、見るものことごとく大光明の世界であまりの嬉しさに大地を転げまわった。法華唱題に安心を得た彼は上京して立正安国論など日蓮の遺文集を詳読した。世の中は乱れている。正さなければ国が危ない。の確信に立ち活動を始めた。特権階級や財閥、支配者層に個人的恨みはないが国のためには倒さなければならないという考えに至った。一人を殺して世の人の幸福を願う(一殺多生)、破壊即建設、捨て石、いずれも物騒な思想だが、彼の下に集まった東大生や陸軍、海軍の若者は感銘を受けた。彼には私心は全くなく、日本国のために命を捧げるとする彼の情熱は若者の心をとらえ3つの国を揺るがす大事件を引き起こした。彼に接する者の殆どが彼の誠実で思いやりのある人柄に引かれ、その影響を受けて国のために捨て石になる覚悟をした。
当時は国のために命を捧げることは第一の美徳だったが今は違う。国よりも自分のことを考えている人の方が多いと思う。自民党総裁に誰がなっても自分には関係ないと思っているが多いのではなかろうか。日本国のためにはこの人になってもらいたいと思っている人もいると思うが多数の前にかき消されているようだ。予備選の結果を注目したい。





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Last updated  2020.09.06 18:13:22
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