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テーマ:アフガニスタン(21)
カテゴリ:読書
中村哲医師は1984年からパキスタンやアフガンで食糧支援や用水路建設、診療所を造っての診療活動などをしてきた人である。今度の事件で中村さんが書かれた「医者・用水路を拓く」を読み直してみた。
2001年9.11のアメリカ貿易センタービルの破壊事件後、アフガンがテロリストのビンラディンを匿ったとして米・英によるアフガンの無差別的空爆が始まった。その時中村さんは負傷者の手当てや食料支援に奔走していた。 アメリカや日本では報復爆撃は当然でタリバンは極悪非道で女性の教育や仕事を奪い、厳しい戒律で人民を苦しめていると報道されていた。しかし長年アフガンで暮らしてきた中村さんにはタリバンが極悪非道とは思えず、むしろ無差別爆撃を繰り返して多くの市民を殺している米英軍の方が悪いと思えた。 その頃アフガンで長く暮らしてきた中村さんが国会で参考人として呼ばれて演説を行った。「爆撃よりも食糧支援をするべきで日本の自衛隊が出動するのは有害無益だ」と訴え、日本で言われているタリバン極悪説は間違いだとも訴えた。 中村さんは現地の実情と日本で報道されている内容が如何に違っているかに驚いていた。中村さんにとっては報復爆撃こそ庶民を苦しめており、タリバンはむしろ被災者の救済に協力してくれていた。 今回の政変でも残虐タリバンが武力で首都カブールを陥落させてまたかっての悪魔の弾圧政治が始まるのでそこから逃れようと難民が空港に殺到しているなどと報道されているが事実は違うかもしれない。いずれにしてもアフガンは山岳国家で干ばつに苦しめられている貧しい国である。その国で1500の井戸を掘り13キロの用水路を拓いてきたのが中村さんだ。 アフガンの人々の対日感情の良さは圧倒的で日本人ということだけで尊敬されたが中村さんの献身的な活動はさらにそれに輪をかけていた。その中村さんが2019年12月凶弾に倒れた。麻薬(ケシ畑)を資金源にしていたタリバンとの間で水路の利権争いがあったので犯人はタリバンだろうとされているがタリバンの間でも中村さんは尊敬されていたので、もしそうだとすれば大変痛ましい悲しい出来事であった。 今回の武力による政変で20年ぶりにタリバンの政治に戻りアメリカの外圧もなくなった。中村さんの医療活動を支援するペシャワール会には日本を主体に何億円と言う支援金が集まっているという。政変のあるなしに関わらず中村さん亡きあともアフガン住民への支援活動は続いているとのことである。 この本を読んで表面的なニュースに翻弄されてその裏にある真実を読み取っていかなくては間違いをおかすなと思った。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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