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カテゴリ:読書
昨年3月に107歳で亡くなった書家で墨を用いた抽象表現という新たな芸術を切り開きニューヨークの一流ギャラリーなどで発表を重ねて世界的な評価を受けて今や世界中の有名美術館、海外王室や宮内庁等に作品が収蔵されている篠田桃紅さんが死ぬ間際の2年間に書いた「これでおしまい」という本を読んだ。
生涯独身、一人で自由を謳歌して人生を駆け抜けた人だと思った。 はしがきに「人生というのは長く生きてきたけれど何もわかりませんよ。この百余年ばかりこの世に生きてこの宇宙、人生、そういうものをわかろうなて思ったってそりゃ無理です。」と書いているが誰にだってわからないと思う。しかし「春の風は一色なのに、花はそれぞれの色に咲く」とは「人は皆それぞれに生きなさいってことよ」と書いており、篠田さんという一人の女性の個人的で爽やかな生き方の集大成で素晴らしい一幅の書のように感じられた。 最初は「人は結局孤独で一人、人に分かってもらおうなんて甘えん坊はだめ。誰も分かりっこない」で始まっている。「人生は最初からお終いまで孤独ですよ。一人で生まれ、一人で生き、一人で死ぬんです。誰も一緒にはやってくれません。仲良く手をつないでいても中身は孤独なんです。夫婦だって親子だって友人だってみんなそうよ。後になって孤独だってことが分かる」と述べており、孤独でない人なんていないのだから誰かが助けてくれるだろうとか誰かが一緒についてきてくれるだろうなどと思わないで自分で人生を切り開いて行くべきだと述べている。 「自分の生き方は自分で生み出していかなければいけない。自分で苦しんで自分で掴んでいかなきゃ」 「あの人があの時ああ言ったから自分はああした。他人のせいにしてはだめ」「人はこう考えてはいけないなどということはなく、自由にどう考えてもよく、むしろあらゆる方向から色々考えなくてはいけない」「自分の思い通りに人生がなったという人はあまりいない。こんなつもりではなかったとみんな言っている。」「大抵の人は不幸な思いをしてそれでも慰めを見つけて暮らしている。自分で自分を勇気づけるというのか生かしていこうとする。何か生きる術を見つけ出す力を持った生き物なのよ」「死ぬというのは人間と言う生き物が息絶えるということでいくら人生がどうのこうのと言っても他人からみたら何でもないことですよ」 等々、あくまでこの世には最終的には自分一人しかおらず、自立して生きるべきで自分はそのように生きてきたと述べていた。 この世は人と人が助け合い、繋がりあって成り立っているので他人のことに関心を持ち他人を助けるために生きるべきだという人もいるが篠田さんはあくまで一人ということを自覚して自由に生きてきたと述べていた。生き方はそれぞれなので自分は自分の生き方をしていこうと思った。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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