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テーマ:宮沢賢治(13)
カテゴリ:読書
佐々木時雄氏が書かれた「よだかの星ー宮沢賢治を読む」を読んでいる。宮沢賢治の生い立ちから37歳で亡くなるまでの思想的背景などについて書かれた388ページの大作である。
盛岡中学を卒業して友人達が大学進学しているのに自分は父政次郎の反対があって進学は諦め、畑作業や古物販売及び質屋の家業を手伝っていた時、政次郎の友人高橋勘太郎から送られてきた島地大等編『漢和対照 妙法蓮華経』を読んで異常な感動を覚えた。中学卒業までの賢治の評判は数学は苦手で落第点が多く、物理化学の点も悪かった。運動神経の鈍さはクラスでもとびぬけていて軍人上がりの体操の教師のかっこうのなぶりものになっていた。卒業時の成績はびりから数えた方が早く、本人も悩んでいた。所がその『妙法蓮華経』を読んでから生まれ変わったように元気になり店番もいとわず受験勉強に励み盛岡高等農林学校に首席で合格し入学式で代表として誓文を読んだと言うからその代わり様には周囲も驚いた。 熱心な信者で竜の口法難650年の夜は一晩中題目を上げながら道を歩いて道行く人に奇異な目で見られたということである。自分はこの法華経が世界最高の生き方だと確信したので家の近くにビラを貼ったりして啓蒙に勤めた。盛岡高等農林時代の親友保阪嘉内にもこの本を送って一緒にこの信仰をしようと折伏したが嘉内は受け入れることが出来ず言い争いになり、絶交状態になり、その悲しみを書いたのが童話「銀河鉄道の夜」と言われている。いくら素晴らしい宗教だと言っても大親友の嘉内に退けられ、家族でも賢治の言うことを聞いて一緒にやってもいいと言ってくれたのは妹のトシだけであった。おなじ信仰の同志としてトシが病に倒れた時には東京に行って下の世話までして看病していた。 賢治は沢山の童話を書いているが、殆どが自分の影の投影であり、法華経信仰の中で頭に浮かんだ情景である。最愛の妹トシは日本女子大を卒業させて頂いたが賢治よりも早く若くして亡くなってしまった。 多くの作品に妹トシのことやその死について書かれているが賢治とトシの深い関係を知らないと理解できないかもしれない。本日読み始めたばかりだが面白いので一気に読んでしまおうと思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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