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テーマ:宮沢賢治(13)
カテゴリ:読書
1/18から始まった県立美術館の書道展で目にした金子みすずの詩を書にしたもの。金子みすずは大正末期から昭和の初めに活躍した詩人で26歳で夭折した。
宮沢賢治の二つ違いの妹トシは、鈍重な兄と違って利発で可愛く成績優秀で誰からも愛されていたが、日本女子大学卒業後代用教員などしていた頃、結核にかかり賢治達に見守られながら24歳の生涯を閉じた。 賢治は妹についていくつもの詩を読んでいるが 無声慟哭 永訣の朝 の冒頭部分を紹介する。 けふのうちにとほくにいってしまうわたしのいもうとよ みぞれがふっておもてはへんにあかるいのだ うすあかくいっそう陰惨な雲から みぞれはびちょびちょふってくる あおいじゅんさいのもようのついた これらふたつのかけた陶椀に おまえがたべるあめゆきをとろうとして わたしはまがったてっぽうだまのやうに このくらいみぞれのなかに飛びだした 蒼鉛いろの暗い雲からみぞれはびちょびちょ沈んでくる ああとし子 死ぬといういまごろになって わたくしをいっしょうあかるくするために こんなさっぱりした雪のひとわんを おまえはわたしにたのんだのだ ありがとうわたしのけなげないもうとよ わたしもまっすぐにすすんでいくから (あめゆじゅとてちてけんじゃ)・・・・・・ 妹というより恋人のように思っていたトシの死は悲しくて2年間は何も書く気力も無くなってしまった。 家の宗教は浄土真宗で南無波阿弥陀仏、賢治は法華経で南無妙法蓮華経、兄賢治に勧められて唯一南無妙法蓮華経を受け入れてくれた妹だった。親友保阪嘉内でさえ宗教の問題では拒絶して絶交になってしまった難題、実家でも政次郎はじめ兄弟親せきに法華経の素晴らしさを語ったが、誰も応じてくれる人はいなかった中で唯一人トシだけが同調してくれたのだ。 結核を病んでいたトシは離れの一軒家で常時お手伝いの心優しい細川キヨさんに面倒を見てもらい臨終の時まで面倒を見てもらっていた。賢治も病状が悪化したころは二階に泊まり込みでトシの看病にあたっていた。ところが時々二階から降りてきてトシに手を合わせて南無妙法蓮華経と唱えることを強制する賢治を見てキヨさんは何と無神経なお兄さんだろうと思った。こんなに弱っているトシさんに無理やり手を合わせて何妙法蓮華経を唱えさせることは益々弱らせることになるのではないかと思ったそうである。恐らく賢治は信仰の力でトシが病気を克服できると確信していたからだと思うがキヨさんには理解できなかった。 亡くなった後火葬して遺骨を収集する時、政次郎達は代々浄土宗なので当然すべての遺骨を集めようとしたら賢治が「法華経に帰依していたから法華経側で頂く」と言い出して、結局遺骨を半分ずつに分けたとのことである。気が弱かった賢治だが、こと信仰に関しては一歩も譲らない強靭さがあった。 美人薄命とよく言われるが、気だてがよくて美しい人は早く亡くなってしまうものなのだろうか。悲しい現実だと思った。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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