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テーマ:宮沢賢治(13)
カテゴリ:読書
宮沢賢治は生前自費出版した詩集「春と修羅」と童話集「注文の多い料理店」2冊しかなく、世間に全く知られていない存在であったが死後人生詩「雨ニモマケズ」が発見されて以来、国民的人気作家となり、今では夏目漱石、芥川龍之介を超え世界中で読まれている作家である。世界中の人達が共感を寄せているのだ。しかしその作品の多くは難解で300冊以上の賢治研究書が出版されてきたが神秘に包まれてきた。
私も賢治の作品をいくつか読んでみたが「雨ニモマケズ」以外はあまりよく分からなかった。ところが菅原千恵子さんが書いた「宮沢賢治の青春~たった一人の友保阪嘉内をめぐって」を読んだら難解の理由が氷解し、今まで読んだ作品の意味もよく分かるようになった。 賢治自身がある友人に「私の書いたものは絶対誰にも分からないと思う」と語ったとのことだがそれもその筈、それは一般向けでなく、唯一の友、保阪嘉内に向けて書いたものなので、嘉内が読めばすぐわかる内容だが、一般の人には何のことかわからなかったのであると菅原千恵子さんは書いている。 菅原さんがこの本を書けたのは昭和43年(1968年)に保阪嘉内の息子 保阪庸夫さんが賢治から嘉内に宛てた手紙72通を「宮沢賢治ー友への手紙」として公表したからである。その手紙の中には賢治の嘉内に対する切実な気持ちや悩みが切実に書かれており、賢治の作品を読み解くカギがふんだんに書かれていたのである。 したがってその本が公表される以前と以後では作品の評論もずいぶん変わってきた。中でも菅原さんのこの本は賢治の心の動きまで含めた実に詳細な伝記になっており、この本を読めば賢治の本当の姿が分かる。 宮沢賢治とその作品に興味のある方には強く一読をお勧めする。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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