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テーマ:鎌倉(394)
カテゴリ:読書
カランコエ
今、須田晴夫さんが書かれた「新版日蓮の思想と生涯」を読んでいるが、中々進まなくてやっと日蓮の代表的著作「立証安国論」の叙述にさしかかった。 立正安国論というのは客と主人の問答形式の著作で客は北条家支配を確立した北条時頼、主人は日蓮とする会話形式の諌暁書で時頼はじめ当時の鎌倉幕府の指導者層に配布した。10の問答があり、最後の問答は客の発言のみで締めくくられている。 時頼というのは大河ドラマでの第2代執権北条義時の子供で誠実な人柄として描かれていた3代執権北条泰時の孫で、第5代執権になって出家後最明寺入道と呼ばれた人物である。 日蓮は他の著作では真言、禅宗なども破折しているがこの安国論では主として念仏宗を破折している。自己を否定的にとらえる罪悪感と死後への恐怖をかき立てる教えでは外敵が攻めてきた時や苦難に遭遇した時力になってくれない。娑婆世界こそが仏国土であり現実世界での幸福の実現を目指す法華経と対極をなすものでありそのような教えを国家が支持していたら国が滅びてしまうと述べており、日蓮仏法は国家権力に庇護されたり国家と関係なく内向的に信仰する宗教と違い国家に働きかける宗教であることを示した画期的な著作であり、行動であったと須田さんは述べていた。主人と客が問答する形式の薄い冊子だがそのような深い意味があったのかと教えられた。 この安国論に対して時頼始め幕府用人は何の反応も示さなかったが、日蓮によって攻撃された多数の念仏者の暴徒が安国論提出の40日後、日蓮の松葉ケ谷の草庵を襲撃して日蓮を殺害しようとした事件が起きた。安国論の次はこの松葉ケ谷の法難の所から読み継ぐことになる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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