(其の2)事務所戦略と事務業務
昨日、事務所の方針等について触れましたが、この辺はある程度顧問先が増えてくると通常は2世等でない限り、「自宅開業」→「事務所を借りる」→「補助者を雇う」・・・という流れになり、誰しも考えることだとと思います。ただ私の場合顧問先0件の時から事務所を借りて、有資格者の補助者もいて・・・という恵まれた環境にいたので、当初から時間単価の低そうな事務業務はあまり自分でやらない(エラそう--;)ようにしており、その点でズレてる部分はあるかと思います。ただ自身の備忘録の意味も込めて何故これから事務業務に注力する必要があるかを一般論的に書いておきます。所長が1ヵ月に仕事に使える時間を210時間(1日9時間×23~24日程度)とします。そのうち60時間はスポット関与先の業務や新規開拓業務、セミナー業務、青年部事業、自身の研修など、顧問先以外の業務に使われるとして、残り150時間が既存の顧問先に使うことができる時間です。手続事務業務を完全に分離して事務員に任せたとしても、訪問、コンサルに要する時間、電話相談時間、資料作成やメールの時間、移動時間などを含めると顧問先1件あたり概ね月2時間は使うことになるので150H÷2H=75件 が所長が担当できる顧問先数の限度です。営業職員を雇えばもっと増やせますが、この仕事は個人の蓄積したノウハウや生まれ持ったキャラクター(性格)に左右される部分が大きく、質が落ちるのが怖いので私の例で言えば当面営業職員の雇用は考えていません。それで顧問先数に限界がある中で収益を向上させるには、所長の時間をなるべく消費しない事務業務(≒給与計算業務等)を増やさなければいけません。まともに事業を行う場合は経営者は少なくとも時給5千円以上の付加価値のある仕事をする必要がありますが、ここから顧問業務と給与計算業務の比較を例で以下のように仮定した場合、・所長の時給=5,000円 ・事務職員(パート)の時給=1,000円・受託企業規模30~35名(どちらも3万円で受託)◆月3万円の給与計算業務に要する時間と人件費・所長(チェック、受け渡しなど)1時間×@5,000=5,000・事務員(集計、入力、打出し、確認等)5時間×@1,000=5,000 計6時間 人件費計10,000円◆月3万円の通常顧問業務に要する時間と人件費・所長(訪問、相談、電話、資料作成等)2.5時間×@5,000=12,500・事務員(書類作成、役所提出、電話等)2時間×@1,000=2,000 計4.5時間 人件費計14,500円その他諸々の経費や時間制限的なリスクはありますが、単純に人件費だけだとこのような感じなので、給与計算の方がトータルの時間はかかっても経費は抑えられます。また、何より所長の時間は有限ですが、事務員は雇用を増やすことで無限に時間を使えるので、アカの出ない料金設定さえ守れば給与計算を増やすことで同じ顧問数でも収益があげられます。ただこれも事務所の経営方針に左右されるので一概には言えません。顧問業務については私ほど時間や手間を取らずに、訪問頻度を抑えるやり方もありますし、営業職員を雇用する方針の事務所であれば当然トータル時間が短い顧問業務の方が給与計算業務より安くあがり、人件費は逆転します。また1人事務所でやる場合は時間消費と制限の多い給与計算などを受けては完全に赤字ですからやるべきではないと思います。社労士事務所と一口にいっても経営方針は様々ですが、私の場合、現状では自分自身は出来るだけ3号業務や営業に特化して、ただ給与計算や書類作成提出などの基礎的な仕事も自分の目の届く範囲でしっかりと管理したい、というところです。まあ経営環境に応じて…なので数年後には言ってることが変わってるかもしれませんが^^;福井の人事制度、賃金、退職金、就業規則、助成金、採用コンサル事務所ホームページ