インフルエンザウイルスはいったん気道に入った後、いきなり発症するわけではありません。人体に悪影響を与えるのには数日の間、体内での増殖が必ず必要なわけで、最初に吸入されたウイルスの数が、100個の人と10000個の人とでは増殖のパターンが違うことがお分かりでしょうか?
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ですから、うがい、マスク、人ごみを避ける、の方法で最初に入るウイルスをできるだけ減らすことが大事ですよね。20メートル向こうで咳をするのとすぐ後ろの席で咳をされるのでは濃度が違うでしょう。(ウイルス量は距離の2乗に反比例して減少する)
最初の8時間に一個のウイルスが100倍に増殖するといわれます。そして感染していた細胞が壊れて、ウイルスがまた放出され、次の8時間に100×100つまり1万倍に増殖。24時間では100万倍になります。十分にウイルスが増えると、放出された毒素によって発熱や頭痛、倦怠感が表れてきます。
ダウン寸前となって始めて皆さんは、学校を休んだり、会社を休んだりするわけですが、この潜伏期の間も鼻水やくしゃみ軽い咳は出ますから、インフルエンザはどんどんと感染者を広げていきます。エイズウイルスのように、防ごうとしたら防げるウイルスとはちょっと違うのです。
また、自分が移すつもりはなくても、ちょっとした不注意で他人に撒き散らしてしまうこともありえます。最初は軽い風邪かなと思うくらいでは、なかなか会社を一週間も休みませんよね。
タミフルというクスリは、この回路のうち、ウイルスが増殖した人間の細胞からの放出をブロックする働きをします。結果的に、ウイルスは増えることができずに症状がどこかで止まるというわけです。
問題は、タミフルでさえ効かないインフルエンザがすでにできているという報告があることです。ちょうど抗生物質耐性のばい菌(細菌)が問題視されているのと同じ構造です。ですから、高毒素の鳥インフルエンザのために切り札として、本当はとっておきたいものですが。