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カテゴリ:物語り
これから、この土地のこと、生き物や人々との関わりなど思い出深いことを書き続けていきます。
ドーターズ(娘たちの)バスルーム? 鉄平石を張り巡らしたバスタブにシャワーだが、 若いネエチャンが入るにはどこか古めかしすぎる。
たぶん何代か前の人が作ったときにはお金かけただろうけど、今となっては流行おくれの感が否めない。 ちょっと自然石がぬるぬるしてるのも気持ち悪りーぃ。
その奥のメインの寝室には、もう一個夫婦用の風呂があって、なんとピンクのジャグジーバスタブ。 んじゃが、金属の吹き出し口が緑に錆びてるぞー。
家内の顔からもあまり芳しいサインは出てないようだ。
目線であっちこっちと情報を送り、日本語のみで印象のサインを交わす。 そこらへんは慣れたもんだ。わかりっこない。
やっぱりみんなが買わなかったわけがあったんだなと自分は内心合点をしたのだった。
するとどうだ、 「ココにもきれいなステンドグラスあるよー」 って、かわいい声。 指差して話してくるのは、なんとまだ小学生低学年と思しき金髪のお嬢ちゃん。
たしかシェリーちゃんといったか。 指差すのはメインの寝室への入り口にはめられたこれも同じ趣味の装飾ガラスだった。
笑っちゃうのをぐっとこらえて 「ははあ、このむすめ、さては夕べ親父に仕込まれたなァ?」 内心思った。 売れ残ったら困るから、何とかしてこの商談まとめようかと家族会議を開いてたに違いない! シェリーちゃんは、こんな雰囲気を敏感に察して、援護射撃に打って出てきたって寸法だ。
年のころたぶん6,7歳、セールス精神旺盛の大サービスってわけだ。 この俺が、玄関脇のステンドグラスの飾り窓を「きれいだ」ってほめたのを子供心に敏感にキャッチしたのに相違なかった。
返事は後程ってことにして、我が家に帰ってきた。 そんでもって、家内と二人で笑ってしまったのだった。 「また売れ残ったら困るー」ってきっと話してるよって。
つまり、ここら辺の不動産物件はクリスマスから1,2ヶ月が売買のチャンスってわけだ。 このホリデー中に物件見て回る人が多いから、売りもんもたんと出る。 このシーズンが終了すると、また一年待たなくちゃ売れない憂き目にあうのだ。
俺の勝ちー!! というわけだ。べんべん。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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