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一 夢 庵 風 流 日 記

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ニューストピックス

2006年12月23日
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テーマ:競馬全般(7404)
カテゴリ:芸能・スポーツ
今から15年ほど前の有馬記念、ジャパンカップを快勝した貴公子トウカイテイオーを

中心とし、天皇賞を差しきった大穴レッツゴーターキンやブルボンの三冠を阻止したラ

イスシャワー、切れ味抜群ムービースター、日本版鉄の女イクノディクタスなど個性的

なメンバーが暮れの中山に出揃った。

レース結果はこの年の春のグランプリ宝塚記念を制したメジロパーマーが逃げ切り優勝

二着に*セン馬でクラシックに出れなかった実力馬レガシーワールドが入り、総決算ド

リームレースは幕を閉じた・・・


そんな中、ゴールにたどり着くこともなく右前足を痛そうにヒョコヒョコさせ、競争中

止になった4歳(現在の3歳)牝馬がいた、名前はサンエイサンキューである。

芦毛の馬体の彼女はデビュー当初から期待されていたわけでもなくデビューから3連闘

という酷ローテを課され、競走馬生活がスタートした。


3歳のG1阪神牝馬ステークスを二着、さらに年明けのクイーンカップを快勝した彼女は

本賞金もそれなりに加算され、このまま順調にクラシック路線に参戦すると思われたのだ

が、何故かその後おとこ馬相手の弥生賞に出走し、惨敗を喫したあと桜花賞に出走。

良血馬ニシノフラワーに大きく離れた7着に終わってしまう、続いてオークスに出走した

彼女は猛然と追い込みG1の称号を取りにいくが、アドラーブルの後塵を拝し二着、

ここでも悲願のG1を奪取することは出来なかった・・・

春競馬も終わり、彼女と同期の有力馬たちは次々と放牧に出され激戦の疲れを癒しに北海

道でのんびりと過ごしていたのだが、サンエイサンキューは夏競馬の中に身を置き、休む

ことなく過酷なレース生活に参戦していた。

7月の古馬混合の札幌記念を快勝、8月の函館記念を8着と転戦し、10月頭の4歳牝馬

G3サファイアステークスを勝ったサンエイサンキュー、この後一息入れて体調を整え、残

る一冠エリザベス女王杯を獲りにいくと思われたのだが、ここで不可解なローテが組まれ

る。 10月後半の4歳牝馬ローズステークスに出走、夏も休まず走り続け最後の一冠を

前にまたも過酷なローテーションを組み込まれ、それでも全力で走り2着を死守するサンエ

イサンキュー・・・騎手の田原は女王杯直前追い切り後に「こんな状態じゃ勝てない!」と

発言し、調教助手もトウ骨の痛みを見せる彼女の仕草に気づき出走を断念すべきと進言した

しかし、馬主は聞く耳を持たずエリザベス女王杯に出走させる。

いつもながら必死にくらいつく走りを見せた彼女は5着に終わり、明らかに体調が悪いこと

は素人目でもわかるほどであった。


これほどの体調悪化が目に見える以上、休養であろうと思われたのだが、翌月の有馬記念に

サンエイサンキューは出走したのだ・・・第4コーナーをまわり各馬が最後の直線に向かい

観客も大声をあげるクライマックスに、後方で青白い炎を発しながら彼女は三本足でゴール

に向かっていた。いつものように必死な姿で走り続けた。 「右トウ側手根骨複骨折」、誰

もがこうなるであろうと思っていたのに、誰もがわかっていたはずなのに・・・。


彼女の骨折は予後不良(安楽死処分)となるほどの大きな怪我だったのだが、馬主の希望で

生かされることとなる、しかし馬は4本の足であの重い体重を支えていられるのであって、

一本でも足りないと他の足に大きな負担がかかってしまうのだ。 サンエイサンキューも同

様に「蹄葉炎」(足が腐っていく大病)を発症し、命は風前のともし火だった。

ところが奇跡的に手術が成功し、彼女は生きる道を選ばせられた、さらに繁殖牝馬となって

子供を産むために再び大手術をされるサンエイサンキュー・・・。

大きくひん曲がった痛々しい右前足を治し、これ以上どうしようというのだろうか、

そんな人間のエゴの渦から抜け出すかのように彼女は「心臓麻痺」で天国へ向かった。


サンエイサンキューの調教助手は有馬記念に向かう彼女にスタート時、こう願ったという、

「なんとか無事に帰ってきて欲しい」、この言葉をすべての競走馬に捧げよう。


無事にレースを終えて、帰ってきて欲しい



第51回 有馬記念 は3時25分にスタートだ。



*セン馬・・・激しすぎる気性をおさえるため去勢された牡馬


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最終更新日  2006年12月24日 16時04分51秒
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