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『印度式』生活

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2006.06.05
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テーマ:心の病(7246)
カテゴリ:メンタルヘルス
今日は通院日。診察が済んだら別宅に寄る予定で、父の車に同乗して出発。
クリニックと別宅は大して離れていないのだけど、クリニック近くの眼鏡屋さんでフレーム調節をしてもらいたかったのと、私を待つ間父が駅前方面を探索するということで…。

私はクリニックに行くとき、A4二枚~三枚程度のレポートを自主的に持参している。
それを作っていて寝不足になったりしているのだからどうかとも思うが、ただでも短い診察時間、何も考えずにいくと、訊きたいことも出てこない。

内容は、まぁこの四週間の出来事だとか、生活の様子などなど。
5月は私の中では盛り沢山の一ヶ月だったので、まとめるのが大変だった。
盛り沢山なだけに、興奮状態が続くことになり、やはり睡眠は安定しない。
深夜のパソコンとか、生理との兼ね合いとか、運動不足とか、原因はいくらでもあるので、とにかくひとつずつ解決していくしかない。薬の処方は今月も変えずにいくことになった。
あとは、空想と妄想の違いが自分で区別できるものかどうか、とか。ドクター曰く、
「難しいですね、とても難しい。」
「今までも、現実の恋愛とか特定の相手への執着を長い間かけて振り切ってきたけれど、今後、誰かと出会っても、その人のことを想う自分の気持ちが本物かどうか、絶えず疑っていないといけないのかと思うと気分が滅入ります。現実に確かめようのない今の妄想に浸っている方が多幸感に包まれているように錯覚してしまうんですが。」
「まぁ、そこは今は深く考えなくていいと思いますよ。少しずつ良くはなってますから。」
「…毎年夏は調子悪くなるみたいです。いろいろトラウマがあるようで。」
「今年は今までと比べてどこが良くなったか、よく観察しといてね。いい方向をみたら大分違うから。」

毎回言い過ぎたような言い足りないような変な感じで診察は終わる。
クリニックには患者同士の交流ノートがあるので、そこへメッセージを書いてから隣の院外処方の薬局に向かう。
今日は父がいるのでそう長居出来ないが、薬局には患者専用の無料のカップ自販機が設置されているので、そこでクラシックコーヒーの無糖ミルク少な目を選んで手に取り、ソファに座ってしばしぼうっとする。

いつもいつも頭の中では槇原敬之さんの「君の名前を呼んだ後に」が鳴り響いている。
どこで飲んでもまずい紙コップのコーヒー、でもこの指先の温もりを誰かにもわけたいと作られたのなら、紙コップのコーヒーも悪くないと思えた、と彼はうたう。
私は溜め息をつきながら、ささくれだった指先のぬくもりを持て余す。
何度ここで薬品棚を前にひとりでコーヒーを飲んだだろう。
ぬくもりを伝える相手を失って、もう何年になるのだろう。
帰りを待つひとがいて、早く会いたい、いますぐ声を聴きたいと思える「君」がいて、それでも大切なものは遠くにあると決め付けて寂れた駅に降り立ってしまう彼。
そんなものなのだろうな。いつも傍に誰かがいることを当たり前に思ってしまう時は。
私はきっと、いろいろなことを当たり前だと思って傲慢に過ごしていた、その報いを受けているのだろう。そして、帰り道すら見失って、コーヒーに揺れる自分のぼやけた姿を覗き込んでいる。

…ひとまず、蒸し暑い車の窓を全開にして待つ父に差し入れのコーヒーを持っていく。
眼鏡屋に行き、眼鏡はしっかり治って、洗浄してもらって、老眼で度があっていない父に新調を薦めるも、小洒落た店だからか、尻込み。結局サービスのみで出てきて、車に戻って、別宅に向かい、そこでまた期限切れのドリップコーヒーを、今度は祖母の形見のカップに二人分淹れて飲む。
これも当たり前のことではない。そんなこと、解っているんだけど…。

「君に 早く会いたいよ 早く会いたいよ 会いたいよ」
他の誰でもない私に向かって、この言葉を投げかけてくれるひとがいるだろうか。

そしてまた、眠れない夜を過ごす。
4週間に一度、現実を目の当たりにする日…。

槇原敬之/EXPLORER槇原敬之/EXPLORER

↑そんなわけで、今日はこればっかり聴いて、歌いまくってた。
窓開いてて、信号待ちでも歌い続け…。ううむ、隣の車線の窓開いてた車にも聴こえたりするんかしら。すんません。





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Last updated  2006.06.06 04:48:57
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