ヤツデに限らず近親結婚を避ける工夫をしている植物があるそうだ。
ヤツデの場合、雄しべが先熟で、後熟のめしべは別の花から花粉をもらう。
以下はその工夫の様を、ヨタヨタモタモタしながらの写真観察のご報告です。
1. ヤツデの花は、最初、雄しべの機能を持った花が咲くとされている。
その花の花弁と雄しべが落下後、雌しべが顔を出して昆虫を誘い別の雄しべの
花から花粉を貰う。⇒⇒近親結婚を嫌う。
今年最初にさいた花の姿 (円錐花序?)
ここに見えている花は、すべて雄しべの機能しかない花だそうだ。
(この段階では雌しべは全く機能しない)
2. 同じ花穂の中でも、別の花であれば近親結婚ではなさそうだ。
(私の写真では、2011-11-28撮影の例 同じ花穂の中に両方が見える)
昨年何も知らないで、ヤツデの開花との意識で撮影した写真からのトリミング
ですが、すでに11月28日段階で、雄しべの花と花弁がすっかり落下して雌し
べの受粉期=雌性期に入りかけている花が見える。
本当の受粉期には雌しべが蜜をまくのでやや褐色に見えるらしい。
私の早とちりであればごめんなさい。
3. ネット検索でも、「雄性期の雄しべと花弁が落下後、中間期があった後、雌性期
に入り、特別に甘い蜜を出して昆虫を誘い受粉して実となる」
「この雄性期の雄しべは昆虫によってはこばれ、他の花へ花粉を受け渡して受
粉させる役割を持っているが、同じ花への交配は期待できない仕組み」
などの情報が見られる。
12月29日撮影の雌性期で受粉済みと思われる花(実)。(1)
一つの花序の頂上の花。この付近に雄しべの花は見当たらない。
受粉済みのめしべの周りに白い部分が見られる花(実)の例。(2)
この、雌しべの周りの白い部分が何を意味するか不明。
この1本の木にいくつも見えますが、病気か(1)からの経過か不明です。
雌性期でも受粉できなかった実は抜け落ちるらしい。
受粉出来なかった実はこうして抜け落ち、残った花茎と実。
雌しべの周りが幾分色づいているのもある。
4. 2.の項でふれましたが、11月ヤツデの花の開花期に一部で開花が先行して
雄しべと花弁が落下して雌しべのみ姿が見える花が咲いている可能性がある。
ネット情報の中には、雄専門の花と雌しべ専門の花があって(別々に )、だか
ら近親結婚ではない・・・そんな情報もみられます。
5. ヤツデの花は、円錐花序か総状花序か専門的な表現方法はわかりませんが、
一つの花序のなかで、受粉して残り、結実する花は非常に少ないように見受け
ます。
この花序の中の花は、開花しないまま、或いは雄しべの花が開花後役割
終了で落下したらしい。
11月下旬の情報で、12月末ごろ雌性期の花が受粉をして実となり、来春実が成長するとされておりましたが、こうして我が家のヤツデも上述の如く受粉する、あるいは受粉後の状態にありますから、引き続き来春も観察してみます。
5月頃実が熟するらしい。
ヤツデとは:
1. 科 名 ウコギ科ヤツデ属
2. 学 名 Fatsia japonica
3. 別 名 テングノウチワ
4. 原 産 日本
5. 花 期 11月~12月
6. 特 徴 葉の切れ込みが。5日7日9あり数が多いので「ヤツデ」
※ 参考情報
昨年の開花状態
2011-11-28
一つ一つの花にこんなに雄しべがあり、目いっぱい咲いている様子。
個々の花には蜜がいっぱい塗られて昆虫を誘う時期が来るようです。
全体の姿
上で参考までに見てもらった雌性期の可能性がある花の例
『』
雌性期の花が、この写真の段階でもそれぞれの花序に1個ある感じですが、
素人には断定出来ません。
こんなにいくつもの例を挙げて述べているのは、1か月余りかかって、雄性期か
ら中間期、最後に雌性期が来て、特性の甘い甘い蜜で昆虫を誘い雄しべを貰
い受けて受粉するその不思議な仕組みについて、素人は明快な説明に自信が
ないからです。
ここまで見て頂いて有難うございました。