ヤツデの花は毎年10月中旬からツボミが育ち、12月末ごろまでその花が続くという息の長い木に
見える。
雄性先熟と言って雄の花が先に開き(雄性期)、その花粉を別の花へ虫を通じて供給、その行為が
済んだ後、雌性期に移行して花盤の中央から伸び上った柱頭に別の花の花粉を付けた虫が来て
花粉を渡すことで受精が完了すると言う「雄性先熟型」特有の生態のなせる業が見られます。
今年最初の出合い。 総苞と言うのでしょうか包みから顔を出した散形花序の集まり。
一つ一つの散形花序があたかも蕾に見える段階 2014.10.19(日)
やがてこの円錐花序の上に、散形花序の蕾の群れが形成される
この円錐花序には、少なくとも32個の散形花序がある。成長して蕾になりつつある
散形花序はその半分か。予備軍は予備軍のまま終わる可能性が大きい。
(2014.10.27 上の写真の8日後、円錐花序の上に散形花序が形成された)
円錐花序の頂上の散形花序は、雄性期の花が開く段階、その兆しが見える?
雄性先熟(雄性期)の花が開く前の散形花序
背後に予備の散形花序が沢山見える。
雄性期の花序が満開状態になった。11月中旬の花
5枚の花弁と5本の葯で成り立っている雄性期。花盤の中央には柱頭が少し見える。
勿論この柱頭の部分は全く機能していないはずだ。
吸蜜中の虫
甘い蜜を吸わせてもらう代わりに花粉を受け取り、雌性期になっている他の花に渡す
為、その使命を知らないまま懸命に蜜をなめる虫。予想以上に小虫の数は多い。
この例は12月末になっても雄性期が終っていない花で、過渡期の例。
雄性期から雌性期へ移行する過渡期らしい花
5枚の花弁も落ちていないが、5本の葯は無いか、残骸が見える。
雌性期の主役となる柱頭が花盤の真ん中から元気よく伸びかけているのが目立つ花。
蜂などが飛んで来ても、受粉できないので花盤には蜜は見られない。
☆ ◆
雄性期から雌性期へ移行が終ったかに見える花
5枚の花弁も無くなり、葯もすべてきえている。柱頭も発達して受粉出来る状態に
なったか、成りつつある状態と思われる。
すぐ下の写真のように花盤に蜜が噴出して、別の花の雄花の花粉を身に付けた蜂など
が来るようになるのはずだ。
蜜が花盤に盛り上がって見える雌性期の花 2013.12.06
昨年12月26日の写真ですから、随分年末に迫った時期の雌性期の花です。
まっすぐ伸びあがった柱頭は、蜜を求めてやってきた蜂などの虫についている花粉と
柱頭が接触できる高さだと思われる。
やっと受粉出来た花以外は落下していたそんな例です。
ヤツデの実 2014-04-07 この散形花序は幸せなことにほぼ全てが実になっている。
5月7日の段階の実 まだ熟れてない実もあるが5月に種になるらしい。
ヤツデはこれらの写真でご理解頂けるように沢山の花を咲かせ、何かで信号が届けば、予備軍
似なっている散形花序が発達して花を咲かせる。
そうまでしても花の準備をするということは、このヤツデの実の発芽がかなり難しいのかも
しれません。その宿命に対して懸命に立ち向かっていると思われました。
11月27日、兵庫中央病院の西側の森と構内の空き地でヤツデの株を5,6か所見つけました。
その株数も多く、花数もすごい物があります。それでも場所的には5.6か所ですから発芽
し難いなにかがあるのだろうか?