現在も進行中のヤツデの花の雄性先熟の姿も植物の生き様を知るうえで随分刺激をうけました。
その中で雄性先熟(雄性期)とその後に来る雌性期について、これまで以上に関心を集めて
見守ったのがツワブキの花です。
尚、雌性期の柱頭が2つに分岐し瀬尾の先端がカ-ルしている姿は、今年春先にフッキソウの
雌雄異花の雌花を見て以来、注目してきたところです。
フッキソウの雌花
左下にあってカ-ルしているのが雌の花。花弁はないが。
☆ ◆
雌しべの姿を知るうえで一つの勉強になった富貴草の花で、ツワブキの花もこんな姿が
念頭にあっての勉強でした。
その一 集約雄蕊、5本が合着した筒から出てきた柱頭 2014.10.23
筒状花の群れの中で、最初に咲き花粉が無くなった物は、合体した筒が周囲より
伸びている
この柱頭が出かかっている場所にはもともと雄の花粉がいっぱい出ていた所です。
その花粉の例(雄しべ) 2013.10.31の例
どの筒状花も雄性期にて、その筒の中から花粉があふれている。
この一つ一つの筒は雄性期が終らないと雌性期には入らない。
元へも戻って
雌性期の花 柱頭が筒から伸びている姿 2014.10.24
すでにみた柱頭は、筒から二岐に分岐した柱頭が顔を出したばかりの姿でしたが
こちらは、その花柱が成長して伸びあがり柱頭がカ-ルしている姿が見られた。
推測ですが、このカ-ルして下を向いた柱頭の下を蜂などが這いまわることでその足に
付着している花粉が柱頭に受け渡されるのではないか?
同じ花の雄しべと雌しべは交配しない為に雄性先熟と言う仕組みを作っているので、
この二岐に分かれて湾曲カ-ルした柱頭には別の花の雄しべが虫によって運ばれ、
交配出来るが、この花は最後に綿毛を身にまとい、空中散歩をしゃれ込み 飛び出す
ので写真の花もこれからその作業へ向かうことになります。
☆ ◆ ◎
これから様々な写真を並べるツワブキも総苞と呼ばれる蕾を包む保護材の中に、こんなドラマが
隠されていたのかと驚かされる野草の一つの例であります。
ツワブキの葉
故郷四万十町などでは暖かい海岸地帯に自生しているのが目立ちます。
ツワブキの蕾 散房花序と呼ぶらしい。
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この蕾が開くと先ず舌状花と呼ばれる一綺麗な花びらが広がり、その中心に筒状花と呼ばれる
それぞれが最後に種になる物が沢山集まっている。
若い花です。筒状花の群れも周辺から集約雄蕊が発達しかけておりますがごく初期。
沢山花粉が付いた筒状花とごく一部ですでに柱頭が顔を出してる筒状花。
この蕾は集約雄蕊と言って非常に珍しい。5本の雄蕊(雄しべ)が合体した筒の中から、
雌蕊(雌しべ)の花柱が伸びあがり、その先端に柱頭と言われる物が出て二つに分岐して
蜂などが花粉を付けて飛んで来て、花粉を渡してくれるのを待ち構えている。
☆ ◆
先日もご紹介させてもらったホトトギスの花も合体した集約雄蕊の中から柱頭がでて、3つに
分岐し、さらにその先端が二つに分岐することで蜂などが運んできた花粉をもらえる
体制づくりとなっている。
ホトトギスの花の例 肉眼で見れば一つの筒に見える。
左上に見える赤紫色の物は葯の背中だと思われる。
柱頭が下を向き、蜂の花粉を受け取る姿勢にあるとみられる雌性期の花
☆ ◆
この柱頭に雄しべの花粉が付いて交配が成立すると一つ一つが種になり、最後は綿毛が育ち
こんな綿毛の集まりになり風の誘われて旅立ち今年のドラマが幕を閉じます。
綿毛 2014.01.10
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