『林檎も匂わない』/あすなひろし,ビームスコミックス文庫
せっかく書いたのに・・・【公開する】ボタンを押したら、JCOMがメンテでネットに繋がらなくて書いた文章全部ぶっ飛んだよ・・・メンテのメールはちゃんと読もうね>俺えーっと。んで何書いてたんだっけなぁ。。。まぁともかく、すごい1冊でした。圧倒されっぱなしの1冊でした。社会風刺・SF・ファンタジー・ハードボイルド・カバー作品・戦争。これだけ多岐にわたると、ともするとどれかがぼやけてしまいがちになるけれど、これがまた、どれもがぼやけるどころか光り輝いてる。特に、諸手を挙げて泣けたのが、SFの「300,000Km./sec.」。一回読んだだけでは「?」だったんだけど、もう一度丁寧に読み直してみて「!」になった瞬間、涙が溢れてきた。この手の話だとトップをねらえ!が思い出されるけど、少なくてもあの時よりも泣けた。この衝撃は、久しぶりだった。カバー作品、O・ヘンリーの「さいごの一葉」。短篇なんだけど、ただじゃカバーしないのがあすななのだと実感。んで、何よりも衝撃的だったのが戦争をテーマにした漫画3編。「山ゆかば」では、「戦争」と戦う兄弟がコミカルに、それでもどこかで見え隠れする「悲惨さ」や「残酷さ」を、最後の最後、1発の原爆とともに描ききった作品。「歌を消す者」も、繊細に詳細に、丁寧に丁寧に描かれた老夫婦の最期を、壮絶な最期を戦争の残酷さを、無念さを最後の一線まで描いた作品。表題作で遺作「林檎も匂わない」では、背筋が寒くなるほどに悲しく、猛烈な虚脱感に襲われる作品。SFとも見事に融合されていて、より一層に悲壮感が増している。最後の最後まで,ネームが線が悲しみに包まれている。まぁともかくも、それまで読んでいた『青い空を~』や、『いつも~』とは明らかに一線を画している作品群に度肝を抜かれまして。読み方の順番としては最高だったなと思った次第です。あー、読んでおいて良かった。本当に、あの時書店で手にとって良かった。そう思える、あすなひろし先生との出会いでした。出来れば、ご存命のあいだに知りたかった作家でした。