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2010年04月24日
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カテゴリ:音楽
行ってまいりました~!!!

第12回別府アルゲリッチ音楽祭
音楽祭から世界へ vol.2 イム・ドンヒョク ピアノリサイタル

大分市、iichiko音の泉ホールまで、はるばると~。

全席自由ということで、悩んだあげく一番前の席、しかもピアノ椅子のまん前に陣取ったのですが、ずうずうしくなってよかった。

ドンヒョクくんの全身全霊を感じることができました。

ドンヒョクくんの、あの、一見投げやりそうな雰囲気の中に、なぜあれほどまでのエネルギーがあるのでしょうか。

それと、グルーヴなクラシック…と言ったらいいのか、鋭い波があり、揺れがあり、速さがあり、そして決して折れない繊細さと静謐さがある。

多分、ドンヒョクくんの演奏は、絶対立ち止まらずに流れていくから、そして音ではなくてその流れが速いから、わかってない人には「演奏が速過ぎる」とか言われちゃうんじゃないかなーって思いました。

絵に表すとしたら「ガンシップに乗るナウシカ」みたいな感じじゃないかと思います。(わ、わかりづらい…)

まぁナウシカは「私はメーヴェのほうが好き。メーヴェは風にのるけれど、ガンシップは風を切り裂くのだもの」と言ってます。

うむうむ。

そんな感じ。(どんな感じだよっ)

その切り裂く感じが、以前思った「パンキッシュなショパン」に通じるんだろうと思いますが、

今回はパンクな感じは受けませんでした。
パンクじゃなくてグルーヴでした。うう、うまく伝えられない…

あと感じたのは(ピアノも弾かないくせになんて勝手な意見だということは百も千も承知で書くんですけど)、指が正しく鍵盤に下ろされていると感じました。正しくっていうのは、その音が一番正しく出る位置ってイメージです。弾きもしないくせになんて勝手な…これはあくまでもイメージです お許しを~
それが今までよりもさらにどんどん進化しているから、音が絶対にブレないみたいに見受けられました。

なにしろ、音がブレないんです。ズレないし、濁らない。割れない。
椅子からお尻が浮くほど叩いてるのに。
音がクリアっていうんじゃなくて(クリアっていうとなんかカチッとした音のようなイメージなのでその言葉は当てはまらない)、重層的なのにヨレてないっていうか~

それは、去年のラフォルジュルネの時、シャコンヌで感じたわずかなブレ感とか、割れてる音を思い出すと、ものすごい進化してるんだ、と思いました。

ホールの音響のせいか? とも思いましたが(ラフォル~は良くなかったと思う)、それだけじゃないはず!

そして、ドンヒョクくんは今回、ラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」を1曲目に持ってきました。続いて「夜のガスパール」。

この選曲も、また進化している、次のステージに進んだドンヒョクくんを感じました。
(我ながらあまりに独りよがりなこと書き散らしてるな。まぁいいか~勝手な個人の感想だもんね)
その音の流れでショパンのマズルカも弾いてたので、今までのマズルカとは全然違ってました。
ちなみに、今回はどのCDにも入ってるおなじみのマズルカではなく、イ短調作品17-4、ハ長調作品56-2、嬰ハ短調作品63-3 でした。
大雑把に言うと「印象主義マズルカ」みたいな感じだったでしょーか。
それはショパンじゃないんじゃないのか?! って言われたら困るんですけど、でもあれはショパンでした。まぎれもなくショパンでした。
きっとショパンさんが生きてたら、あの演奏を聞いて喜ぶと思います。

ドンヒョクくんの演奏を聴くと思うのは、絶対に作曲者が喜ぶだろうな、ってことです。
曲を理解してるとかそういう言い方ではなく、全身全霊で曲と対話してるから。
解釈とか理解ではないから、向き合って飲み込んで一緒に流れていくけれどでもドンヒョクくんなので、それは曲を作った人として嬉しいんじゃないかなーって。

話を戻すと、マズルカ3曲の後は幻想ポロネーズだったんですが、これも幻想ってつくくらいだからそうなのかもしれませんが、印象主義ポロネーズみたいでした。他の演奏者で聴いたことないからわからないんだけど…笑

面白かったのはプロコのピアノソナタ第7番で、これは以前もリサイタルで演奏しているのを映像で見ましたが、その時には「この曲なんかあんまり好きじゃないわ」くらいのいい加減な感想で終わりました。

が、今回は!!

ドンヒョクくんがこの曲を、ゲームのように弾いているんだなーという感想を持ちました。
正確無比に冷徹に、攻略していくというか。そう、攻略っていう言葉がしっくりくるかな。
冷静にゲームを勝ち進む…というフレーズを何かの漫画で読んだのですが(どうしてもなんだったか思い出せない…あ、「マスターキートン」だったかな?!)、まさにそんな感じ。
そしてそれは、この曲にある意味ぴったりな弾き方なんだなーと。
でも第2楽章はあまりにも美しくて恐ろしいようでした。
そして第3楽章の冷徹な激しさは、もう息ができないくらいでした。

「ガスパール」はそういう攻略してるような面白さではなくて、曲の世界を音で描いてました。特に第3曲:スカルボはすごかった~。
第2曲:絞首台は「初演者のビニェスは、この曲を退屈に感じて、ラヴェルの心証を悪くしたと言われる」ってことなんですけど(Wikiより)、退屈に聴こえるのは弾いてる人が悪いんだと思う、だって退屈じゃなかったもん 笑 
確かに、退屈になる気持ちもわかるけど、ドンヒョクくんのは退屈とか言ってる場合じゃありませんでした。

アンコールは、なんと3曲も!!
太っ腹ドンヒョクくん、あんなに細いのに 笑
あんなに弾いたあとで3曲も~

ショパン:ノクターン第2番変ホ長調op.9-2
シューベルト:即興曲集D.899(作品90)第2番 変ホ長調
ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ

個人的にはシューベルトでドンヒョクくんを好きになったので、2曲目は感涙モノでした。
またほんっとに素晴らしかった~あああああ。
何かのインタビューでシューベルトが好きだってドンヒョクくん言ってましたが、アンコールということもあって伸びやかな美しさでした。
パヴァーヌも、リラックスして弾いてたかな~? でも手は抜いてないけど、もっちろん!

なんかマイナスはなかったの? とおっしゃられる向きもあろうかと思いますので、まぁ、敢えて~敢えて、言うのならば

グルーヴがありすぎて、演歌のコブシまわしみたいに感じられる箇所がたまぁーにあったかな~ 笑 みたいな。
(またコレ全然伝わらない文章ですね)


そのほか。

衣装はまたあの黒い詰襟みたいなやつで、去っていく後ろ姿を凝視してたら、上着の裾あたりがなんかテカって見えましたよ 爆
制服を3年間着てるとテカっちゃうみたいな、あのテカリね 爆爆

弾いてるときの表情もいつもどおりでした。楽しませて頂きました。でもまたそれが可愛いよ~。ムフフ

最前列だと、気合の声がけっこう聞こえます。大きく弾くときや、詰めてた息を吐き出すときやなんか。
ペダルの音はほとんど聞こえませんでした!!

スカルボを弾き終わった直後、立ち上がりながら自分の指を凝視するドンヒョクくん。確か右手の人差し指か中指だったかと思うのですが、怪我したのかっ?! ええっ?! と思いましたがそのまま退場して、予定通り休憩になりました。
そしたら調律師の人が出てきて鍵盤をせっせと拭いている。しつこくすみからすみまでじーっと見ながら、鍵盤を選んで何かを拭き取っていました。
やっぱり血だったのか?
休憩後、何事もなくドンヒョクくんはプログラムどおり弾き切ってアンコールも3曲やってくれたので、怪我をしたとは思えないのですが…
そういえば後半の1曲目が始まる前に、ドンヒョクくんは自分でもまた鍵盤をなにやら拭いてました。

プロコのソナタ第7番1楽章終了後に、ドンヒョクくんが突然高い音の鍵盤をポーン…と叩き出して、そしたらそれがなんか割鐘のようなざらついた音で、こちらも「アレ?」と思っていたら、ドンヒョクくんがまた突然立ち上がり、ピアノの中に手をつっこんでなにやらゴソゴソ。そして切れたピアノ線をえいっと投げ出すように引っ張り出しました。
そしてびよーんとピアノ線がグランドピアノからはみ出た状態のまま、第2楽章に突入。

指の怪我疑惑のときも、ピアノ線びよーんのときも、とにかくドンヒョクくんは無表情なくらい冷静というか、なんというか、眉一つ動かさず、といった風情でございました。かっこいい~
演奏開始の時も、そういう「無愛想」とか言われがちな表情で始めるんですけど、何曲か弾くとちょっと笑顔のお辞儀になるんですよね。
か、かわゆらしい
演奏終了後は、どういうコネなのかなんだかわかりませんが、若い女の子がステージで花束を渡しておりました。
その時にはちょっとテレ気味なドンヒョクくん。かわゆらしい~

そして!!!!
そしてですね、演奏終了後にサイン会があったのです~!!!!!

ひえー

このために、またバッハのCD買っちゃいました。でもいいんです、ドンヒョクくんにサインをもらえるなら、2800円なんて屁みたいなものでございます。

あんだけ弾いて、退場するときよろよろしてたのに、まだ働かせるのか・・・と、ちょっと気の毒ではありましたけど。

でも、白いジャケットに白いシャツ、首にはお決まりのチェーンをつけて、ジーンズに白い革靴でサイン会に現れたドンヒョクくんは、ほんとにフツーの若い男の子って感じでした。
そしてテレたような微笑みでサインをしてくれるのですよ~。
鼻血出そうでした。

興奮しすぎて、指を怪我してたかどうか見るのも、大丈夫でしたか? と聞くのも、最後にお礼を言うのも忘れてしまいました。
ダメダメちゃんです。

こちらが笑うと、ちゃんと笑い返してくれて、握手もマジックを持ってない左手でちょこんって感じでしたけど、雑な感じはしなくて、もう細い指で白い手で、そしてお肌がつるつる~

握手してもらったあと、即座にその手を自分の顔にスリスリとすりこみました 爆

ドンヒョクくんが去った後、すかさず座っていた椅子にも一瞬座って、そのあたたかさを私のお尻で感じ取りました

そうそう、今回、花束を買っていったのです。
渡せなかったらイヤだから、1000円分
でも、会場のそばにあった花屋さん、店構えは古ぼけてて、お店の人も特に愛想いいわけでもないのに、たったの1000円でとてもステキなブーケを作ってくださいました。白でお願いしたんですが、ドンヒョクくんに似合いそうなブーケでした♪
直接渡すことはできなかったけど、ちゃんと受付があったので、渡してきましたよ。(だったらもっと豪華なのにすればよかったな…)

帰りは叫びたいのを我慢しながら、大分の街を飛び跳ねながら~ 爆
あんまり嬉しくって、フツーに歩けなかった。

そして飲み屋で中生ジョッキを飲み干しました。


大袈裟じゃなくて、ドンヒョクくんがピアニストとして存在しているこの時代に、一緒に生きて、演奏が聴けることを喜びたいと思います。

私にとっては、そういうピアニストです。

ドンヒョクくん、ありがとう~!!!!!

そして~
こんなダラ打ちレビュウに最後までお付き合いくださり、ありがとうございました!!


・曲目・

ラヴェル)亡き王女のためのパヴァーヌ

夜のガスパール
第1曲:オンディーヌ(水の精)
第2曲:絞首台
第3曲:スカルボ

ショパン)マズルカ イ短調 作品17-4

マズルカ ハ長調 作品56-2

マズルカ 嬰ハ短調 作品63-3

幻想ポロネーズ(ポロネーズ第7番) 変イ長調 作品61

プロコフィエフ)ピアノソナタ第7番 変ロ長調 作品83
第一楽章:アレグロ・インクィーエート
第二楽章:アンダンテ・カロローザ
第三楽章:プレピチタート

アンコール
ショパン)ノクターン第2番変ホ長調op.9-2
シューベルト)即興曲集D.899(作品90)第2番 変ホ長調
ラヴェル)亡き王女のためのパヴァーヌ





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最終更新日  2010年04月25日 01時06分17秒
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