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カテゴリ:社会問題
明けましておめでとうございます。昨年同様、本年もこのブログのご愛顧をよろしくお願いいたします。
前回(30日)更新からは、年末年始だったためか、流石に大きな変化はありませんでした。とは言うものの、今日も1つの事件?がありました。今日は前回積み残し?の案件を2つと、今日の事件を1つ紹介します。 ブログ更新のための励みにしていますので、クリックを是非よろしくお願いします。 前回は、5つの事件を挙げました。それは、 1 ジャン・アタライTIP(トルコ労働者党)国会議員に関する2回目の憲法裁判所判決に対する第13イスタンブル重罪裁判所の反抗 2 最低賃金の発表 3 FETO構成員容疑で警察関係者445人の解任 4 シナン・アテシ前民族主義者協会会長殺人事件に関する1周年目における動き というものでした。前回はこのうちの5だけを紹介しました。 5の事件発生から2、3日が経過したのですが、明らかになったこともあれば、消えてしまった話もあります。正直に言えば「真相」は不明のままです。ガラタサライとフェネルバフチェが悪いと言う人もいれば、トルコ・サッカー協会が悪いと言う人もおり、はたまた、サウジアラビア政府が悪いと言う人もいます。最後の部分は色々な情報が入り乱れていて、どれが本当なのかは管理者には分かりかねます。それでもあえて言えば、「そもそも建国100周年の試合を外国でやること、しかも、サウジアラビアでやることには問題があった」という意見は正当ではないかと思います。前回、「いつも紹介している解説者は、『今回の事件で最も得をしたのは、あるいは唯一得をしたのは、エルドーアン大統領である』という解説をしていました。その理由を、『トルコでアタテュルク主義者を野放しにすると、サウジアラビアをはじめとするアラブ諸国にとってはトルコとの関係をこじらせる、あるはい、エルドーアン大統領が提供しているような利益を受けられらくなる原因となる。“トルコとの関係で利益を得るためには、私に投資することが絶対に必要だ”というメッセージを、これまでの何倍もの大きさでアラブ諸国に示すことができたから。』と説明していました。」と紹介していました。同解説者は2日後にも、この意見は維持していると言っていましたが、反対の意見もたくさんあったそうです。別の、時々紹介しているエコノミストは、「トルコの資産をアラブ諸国に買ってもらおうとして、トルコとアラブの友好を演出するつもりだった。しかし、トルコ人のサウジアラビアをはじめとするアラブ諸国への憎悪を燃え上がらせる結果となった。その結果、アラブ諸国がトルコ資産を買うことにはトルコ人の大きな反発を買うことが予想される状態になったので、エルドーアン大統領の目論見は崩れ去った」と真逆の説明をしていました。管理者としては、「アラブ諸国がエルドーアン大統領を支持する理由は確かに明確になったのですが、エルドーアン大統領にもコントロールできないほどの憎悪が燃え上がったので、エルドーアン大統領は困難な立場に陥った」というのが、現時点では正しそうです。ただし、いつも紹介している解説者は、「エルドーアン大統領は危機から脱出する、あるいは危機をチャンスに変えることができる稀に見る政治家」と評価していましたが、「ほとんどのメディアを手中に収め、また、トルコ政府としてディスインフォメーションを徹底的に行い、嘘を平気で言える」という状況と能力、そして、エルドーアン大統領が何を言っても、無批判にすべてそのまま信じるエルドーアン教徒が国民の30%~40%に及ぶ状況を考えれば、この指摘は少なくともトルコ国内では正しいと思われます。しかし、アラブ諸国を含めて、外交問題でどれだけ危機をチャンスに変えているかは、大いに疑問です。 復習?と追加で長くなってしまいましたが、ここからは前回紹介できなかった話を説明します。1つ目は、同じ事件(ジャン・アタライ氏が国会議員当選後も拘束を続ける状況)に対する2回目の憲法裁判所判決を、第1審裁判所(第13イスタンブル重罪裁判所)が再び無視して、判断を民事刑事最高裁判所に委ねたという事件です。以前、「これ以上問題を大きくしないように、釈放する方向で話ができている」というAKP関係者からの証言について記者の指摘として紹介しました。エルドーアン大統領なのか、今でも憲法裁判所閉鎖を訴えているバフチェリMHPなのかは不明ですが、いずれにしても政治的圧力で、第1審裁判所がアタライ氏の釈放を行わなかったという事件です。統一地方選挙をにらんだ判断なのか、バフチェリMHP党首のごり押し(選挙戦共闘のためのエルドーアン大統領の譲歩?)なのかは現時点では不明ですが、「トルコが法治国家、民主主義国家であることを自ら否定したことになる。欧米諸国はトルコを、法の支配が確立している民主国家リーグという1部リーグから、独裁者による支配が行われている中東リーグ、中央アジアリーグという2部リーグあるいは3部リーグに落とした」と、いつも紹介している解説者は指摘していました。今回の憲法裁判所判決は、第1審裁判所(第13イスタンブル重罪裁判所)にも民事刑事最高裁判所にも憲法裁判所の判決に従わないということはできないこと、また、判断に争いがある場合には憲法裁判所の判決が最終判断になるという憲法上の規定を明記してあり、トルコ語が理解できる人であれば、誤解する余地は全くない状況です。トルコは国外からの外貨の流入(外国直接投資が行われる)どころか、高金利での借入にも一層苦労する状況が予想され、「今年4月1日以降は、国民への負担が一層重くなる。そして、経済も停滞することになる(成長率の低下、失業率の上昇、インフレ率の高止まりなど)」と指摘されています。 今日はもう1つ、「FETO構成員容疑で警察関係者445人の解任」に関しても紹介します。2016年7月15日に、FETOによるクーデター未遂事件が発生し、その直後は、非常事態宣言が発出さ(戒厳令が敷か)れ、大統領令(=政令)が法律の効果を持つ状態(KYK)となりました。そして、ほとんど何の根拠もない状態で、軍や警察関係者だけではなく、ありとあらゆる省庁の国家公務員、裁判官・検事が解任され、最終的には多くの人が解雇/収監されました。あれから7年以上が経過し、先日紹介した教育省や、宗務省などはイスラム教団と濃厚な関係を復活させているため、CHPをはじめとする世俗派政党からは強い批判が出ています。にもかかわらず、445人もの多数の警察官に操作が行われた結果、ほぼ7年半を経過した後で解任されている状況です。一方で、(統一地方)選挙が近づくにしたがって、トルコ兵の殉職やテロ事件が起こる可能性が高くなります。10月7日のハマスによるテロ事件でも紹介しましたが、「ハマスがイスラエル国民に対してテロ攻撃をすることは、“ガザ市民にとっては、100害あって1利無し”である」と指摘しました。そして、それと同様に、選挙が近づくたびにPKKがトルコ兵・警察官殺害事件やテロ事件を起こすことは“クルド系住民にとっては、100害あって1利無し”のはずなのですが、選挙が近づけばテロ事件が頻発するのが、2015年6月以降の伝統?になっています。イェルリカヤ内務大臣は毎日のようにマフィアなどに対する取締り結果を発表していますが、FETOの残党狩り?に関する発表は今回が初めてです。野党が指摘する“イスラム教団の脅威が現存すること”を暗に認める結果ともなるこの発表の裏に何があるのかは、現時点では不明の状態です。 最後に今日起こった事件?について、少しだけ触れておきます。エルドーアン大統領の息子の一人であるビラール・エルドーアン氏が理事長を務めているTÜGVA (トルコ青年財団)の主催で、イスタンブル市のエミノニュ地区で“パレスチナ支援デモ”を行われたというものです。趣旨は“イスラエルに関するビジネスをボイコットしよう”というものですが、軍事物資を含めてイスラエルとの貿易を行っているのはほとんどがAKP関係者及び癒着企業であること、デモ参加者がAKP支持者とほぼ層が重なっており、多くの大臣(保健大臣)、前大臣(国家防衛大臣、内務大臣)も参加していたという特徴があります。大イスタンブル市長候補、あるいは、エルドーアン大統領の後釜候補として見られるという指摘もありました。久しぶりに人前に現れたベラート・アルバイラク元国庫・財務大臣(エルドーアン大統領の娘婿)もこの集会を支持していたことから、エルドーアン家の中での勢力争い(もう一人の娘婿であるセルチュク・バイラクタル(無人攻撃機製造企業の研究者・重役)への対抗)であるという説も出ていました。
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Last updated
2024.01.02 14:40:52
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