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カテゴリ:社会問題
前回(18日)は、前々回(11日)以後に起こった2つの事件について紹介しましたが、大イスタンブル市長選挙を巡る最新状況について紹介できませんでした。今日(19日)は昨日紹介できなかった、イスタンブル選挙に関する話題を中心に紹介します。 ブログ更新のための励みにしていますので、クリックを是非よろしくお願いします。
前回、「唯一はっきりしていることは、いつもどおり、『経済的に困窮しているトルコ(エルドーアン大統領)が、その解決策を求めてエジプトと和解した』ということです。しつこくなりますが、エルドーアン大統領はイスラム主義者からはでほど遠い存在で、完全なマキャベリアン(実利主義者)であることがここからもわかります。」と紹介しました。イスタンブル選挙、別の言い方では、「大イスタンブル市長選挙とその他諸々の市長・区長、市・区議会議員選挙」と言うことになりますが、その中心は、上でまとめた文書に集約できると思います。 と書きましたが、いつも紹介している解説者はもう1つ別の視点を紹介していました。こちらも納得のいく説明でしたので、こちらを先に紹介します。それは、ほとんどすべての野党が大イスタンブル市長候補を立て、一方で、与党共和同盟からは、AKP以外からは唯一、新福祉党(YRP)だけが候補を立てている状況になっていますが、その理由を説明していました。「もともとAKPの下請けとして野党の票を割るためだけに存在している小政党を除き、6本足のテーブルに参加していた4党(DPだけはCHPを支持)とDEMは、昨年5月の大統領選挙の結果を受けて、「エルドーアン大統領が現役 (2028年の選挙にも立候補することが確実視されている) でいる限りはエルドーアン大統領を選挙で破ることはできない」と考え、ポスト・エルドーアン時代(エルドーアン大統領が引退・死亡した後)に向けて、最大のライバルとなると考えられるイマムオール大イスタンブル市長を潰すために、全力を傾けている」と説明していました(言い換えれば、バトルロイヤルの論理で、最強のレスラーを、残り全てのレスラーが協力して最初に潰そうという状況)。政党としては正しい作戦かもしれません。しかし、その「目的」がそもそも、そして、場合によっては「結果」も、「トルコ国民を今後3年間塗炭の苦しみの放り込むこと」であることは明らかであり、普通の思考能力がある有権者にとっては「全くふざけた作戦」であることは、火を見るも明らかです。一方で、しばしば反政府系テレビに出ている記者は、「公称300人強が亡くなった(1000人以上との説あり)2014年のソマ炭鉱落盤事故現場(マニサ県)に来たエルドーアン首相(当時)のボディーガードが首相に対して抗議に来た炭鉱夫を足蹴にした時も、昨年2月に発生した(カフラマン)マラシュ大地震(トルコ南南東部地震、11県)で公称5万人(先日、クルム元環境・都市計画・気候変動大臣は13万人と口を滑らせました)が亡くなった時も、70~90%の有権者がAKP候補に投票した。今回のボタ山崩壊生き埋め事故が起こったエルズィンジャン県でも、3月31日の選挙で90%までは行かなくても、80%前後はAKP候補に投票するだろう。残念ながら、地方の有権者の投票行動は変わらない」と指摘していました。これを受けて別の記者が、「地方の有権者を責めることはできない。地方ではTRT(トルコ国営放送)しかテレビ局がないところもあるほか、地方では新聞は(あればテレビ局も)全て政府系で占められているほか、モスクのイマムも、学校の先生も、全てAKPの下請け(手先)として働いているので、“AKP以外の政党に投票しよう”と思うことすらできない構造になっている」と指摘していました。その一方で、イスタンブルをはじめとする大都市では、反政府系の新聞やテレビから情報を入手できるため、年金生活者、最低賃金労働者をはじめ、今も生活が非常の苦しく、かつ、AKPの支援の手が回っていない層も多いことから、反AKP票も多いことが期待され、CHPが勝つことも期待できると指摘されていました。以前も少し紹介しましたが、ハタイ県を訪問したエルドーアン大統領は、「大ハタイ市長はCHP所属で、政府と別の政党が行政を行っていたので、支援が来なかった」と発言して、大きな反発を受けたそうです。その後、「そういう意味ではなく、野党による発言のねじまでである」と修正し、エディルネ県では「自分たちに投票しなかった人にはサービスを提供しないと脅すCHP思想は認められない」と、あたかもCHPが言ったかのように発言をすり替えたりもしていましたが、最後はオルドゥ県で、「AKP所属市長がいないところには、天然ガスは供給されない。天然ガスを供給しているのは政府であり、CHP所属市長がどうやって天然ガスを引いて来るのか」と言ってのけました。エルドーアン大統領の選挙戦向け最終方針は、「AKP所属市長がいないところには、サービスは供給しない(交付金も回さない)」という宣伝を徹底的に行うことになったと思われ、末端のAKP候補やAKP関係者も、同様の発言をしているとのことです。エルドーアン大統領のこの発言と、上で紹介したイスタンブルを含む多くの都市で独自の候補者を立てるという数多くの野党の行動の2つを併せると、「トルコでは国民のことを考えている政治家はほとんどいない」という結論に至ると思われます。さらに、これも以前から紹介していますが、CHPはトルコ国民のための政治を行っているかと言えば、残念ながら、ここでも「トルコ国民のために働いている政治家」はほとんどいないように思われます。CHPはクルチダルオール前党首を支持する「旧体制派」と、「改革派」に分かれているものの、その「改革派」の中も「イマムオール大イスタンブル市長派」と「オゼル新党首派」に分裂し、CHPは3分裂しているという指摘もあります。この指摘がどこまで正確かは不明ですが、明日20日が選挙委員会に対する立候補届出締め切り日ですが、未だに大ハタイ市長候補が決まっていないなど、「派閥あって党なし」、あるいは「党内権力抗争に明け暮れ、市民、国民のことを考えているCHP幹部はいない」とも言える状況になっています。最終的には、「AKPから始まってCHPまで、与党も野党も国民そっちのけで、自分たちの利益(経済的利益、権力・勢力)だけを考えており、トルコ国民のことを考えている政治家はほとんどいない」と言っても良いような状況です。 最後に選挙結果予測について紹介します。現時点では、イスタンブルではイマムオール大イスタンブル市長とクルムAKP候補が激しく競い合っている状況で、アンカラではヤヴァシュ大アンカラ市長がアルトゥノクAKP候補を大幅にリードしている状況と言われています。
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Last updated
2024.02.20 10:31:27
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