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トルコとイスタンブール、ちょっと投資

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2024.03.11
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カテゴリ:社会問題

 今回(10)は、前回(4日)からの進展、あるいは明らかになった点に関して紹介します。

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 ここ1ヶ月くらい同じことを紹介していますが、大きな変化はありません。それでも少しずつ状況が明らかになっているようです。前回、前々回と紹介したメトロポ(-)ル社社長が別の動画に出て、より詳細に解説していましたので、今日はもう一度、メトロポ(-)ル社社長の解説を中心に紹介します。

 前回、「イスタンブルにおけるDEMの得票率は1112%と見られていますが、DEM候補の副党首の一人の予想得票率は6%に達していません。つまり、本来のDEM票の56%ポイント(約半分)はイマムオール市長に流れていると見られます。」と大イスタンブル市長選挙のポイントと、トルコの財政状態に関して「エルドーアン大統領は『最低年金額を月1万リラから(飢餓水準である)1万7千リラに引上げるためには、国家公務員の半分に給料を払わないことが必要になる。』と、現役の労働者と年金受給者の間に対立を煽る発言をしました」と紹介しました。今日はこれらの点に関する新しい解説を紹介します。

 メトロポ(-)ル社社長は、331日の選挙に関して、極めて明白で大きな指摘を行いました。いつも紹介している解説者と同じ指摘ですが、「331日にはトルコ全土の地方自治体で選挙が行われているが、トルコの将来にとって重要なのは大イスタンブル市長選挙である。現在行われている選挙戦は、大イスタンブル市長という一都市の首長選挙ではなく、2028年大統領選挙の前哨戦である。今回の大イスタンブル市長選挙の勝者は、今後20年間のトルコ政治で支配的な役割を果たすことになる。もしもイマムオール大イスタンブル市長が勝利した場合は、エルドーアン大統領を4回破ったことになり()、エルドーアン大統領は5回目の選挙でイマムオール市長を破ることができるとは思わない」と指摘していました。()1回目が2014年のベイリキデュズュ区長選挙、2回目が2019331日の大イスタンブル市長選挙、3回目が同年623日のやり直しの大イスタンブル市長選挙、4回目が328日に行われる今回の大イスタンブル市長選挙となり、5回目は2028年に行われる予定の大統領選挙です。一方で、「もしも、今回、エルドーアン大統領(形式的にはクルムAKP候補)が勝った場合には、エルドーアン大統領は死ぬまで大統領を続けるだろう」と指摘していました。「終身大統領」について、念のために説明しますと、昨年5月の大統領選挙には、「3選禁止の憲法規定」を無視し、「大学卒業という立候補資格」を立証しないまま2014年から大統領を続けているという、「2023年に2つの憲法規定を無視して当選している以上、2028年及びその後の大統領選挙も、大統領の立候補を憲法及び法律で阻止することはできない」という意味であり、また、「政治的にエルドーアン大統領を凌駕する野党政治家は出てこない」という意味と思われます。

 これまで説明しましたように、大イスタンブル市長選挙には、イマムオール市長とクルムAKP候補のほか、DEMYRP及び善良党をはじめとする50人以上の候補者が立候補しています。勿論、当選争いをするのは、イマムオール市長とクルムAKP候補ですが、両候補の得票を左右する政党が3つ、とりわけ2つあります。前回も説明しましたが、DEM候補の得票が伸びればイマムオール市長の得票が減り、YRP候補の得票が伸びればクルムAKP候補の得票が減るという関係にあります。もう一つ、イマムオール市長は善良党からも相当な得票を得ていると考えられていますが、アクシェネル善良党党首は党員への統率力が弱く、党員は同党首の投票呼びかけには耳を傾けないと考えられています。メトロポ(-)ル社社長は、「DEM候補の得票率が4%以上で、かつ、YRP候補の得票率が3%を下回らない限り、クルムAKP候補の得票数がイマムオール市長の得票数を上回る可能性は少ない」と指摘していました。この状況は大なり小なり、DEMが圧倒的に強い南東部を中心とする地域以外のトルコ全土における傾向を示していると考えられています。つまり、AKPが強い地域、CHPが強い地域はそれぞれありますが、「接戦となった場合、“DEMYRP及び善良党の3党の候補の得票率”がどうなるかが、AKP候補とCHP候補のどちらが勝つかを決める重要な要素となる」と考えられています。なお、アンカラではヤヴァシュ大アンカラ市長が圧倒的に強い状況と言われていますが、メトロポ(-)ル社社長は、「ヤヴァシュ市長は善良党とMHP支持者から相当な割合で得票していると考えられており、バフチェリMHP党首が党員に向けて明確に投票先を支持すれば、状況が大きく変わる可能性がある」と指摘していました。その他の主要都市では、かなり前の調査結果に基づき、メルスィン市はCHPが有利、アダナ市もCHPが比較的有利、アンタリヤ市は接戦でAKPがやや有利、ハタイ市はCHP市長が全く人気がなく、AKPが勝つだろうと解説していました。イスタンブル、アンカラ、イズミルに次ぐ第4の都市であるブルサ市は、YRP候補の得票が伸びる結果、CHPが勝つ可能性が高くなっているとのことでした。これまで何度も説明しましたが、大統領選挙では“エルドーアン教徒”とでも呼ぶしかないような、絶対的にエルドーアン大統領支持して止まない人たちが、トルコ国民の30%前後いると考えられています。実際、「いくらトルコ経済が悲惨な状態になっても、物価高で食事が出来きずいくら空腹でも、最後はエルドーアン大統領に投票する」と言われていましたが、ここに来て、状況が変わってきたと言われています。1つは「飢餓水準が17千リラであるにも関わらず、最低年金額が1万リラまでしか引き上げられなかった(障がい者年金や、寡婦年金は更に低い水準)」という状態で、何百万人という規模の年金受給者が暴動を起こす寸前まで来ているため、「経済状況が投票行動に影響する可能性が出てきた」と言われています。明日(11)から断食月が始まりますが、断食月明けのラマザン・バイラム(砂糖祭)の年金受給者向けボーナスも2千リラから3千リラに上下られただけですが、投票日直前には5千リラなり、1万リラに引上げられる可能性が指摘されています。が、エルドーアン大統領はこれまでに何度も「空手形を切りまくっている」ので、誰も信用しないかもしれません。もう一つは、「AKP支持者をやめた人が、次に投票すべき代替の政党が存在しない」という理由も指摘されていましたが、今は「本格的イスラム保守政党としてYRPが存在している」という状況です。ファーティヒ・エルバカンYRP党首の父親であるネジメッティン・エルバカン元首相が最後に作った政党の後身政党は“旧6本足のテーブル”に参加していたSP(至福党)ですが、全く人気がありませんでした。しかし、YRPは今や全国で5%水準の得票率となり、更には「8%に達している」という指摘も出てきています。そのため、今回の統一地方選挙でAKP候補が落選する原因になりかねないため、エルドーアン大統領は、CHP攻撃と負けず劣らず?の激しいYRP批判を展開しています。イスタンブルをはじめとして、多くの大都市で市長職を失ったり、奪回できなかったりする可能性が高くなっているため、エルドーアン大統領は、なりふり構わずのCHP批判、YRP批判をおこなっているという状況です。いくつかの都市ではAKPの公認を得られなかった元AKP市長がYRPから出馬するという状況が生じており、エルドーアン大統領は、特にここを批判しています。実際、シャンルウルファ市では元AKPの市長がYRPから立候補し、現在のAKP候補を破る勢いです。

 選挙の話が長くなってしまいましたので、詳しくは紹介できませんが、「41日以降のトルコ経済」に関しては、いろいろな指摘が出ています。もしもクルムAKP候補が勝利した場合には、IMFとの交渉が始まり、最終的にIMFから融資を受ける可能性が指摘されています。その証拠として、「悲惨なトルコ財政の状況」だけでなく、TUIKが発表した2月のインフレ率が指摘されています。つまり、IMFの交渉が始まれば、インチキのインフレ率の発表は致命傷になりかねないため、「本当のインフレ率に近い数字を発表するようになった」という指摘を、いつも紹介している解説者をはじめ、複数の人が指摘しています。

 


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Last updated  2024.03.11 19:56:02
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