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カテゴリ:社会問題
今日(20日)は、前回(17日)で説明したことについて、追加解説を紹介します。
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特に、今回の選挙結果に大きな影響を与えたのは、“トルコ国民の困窮状態”であり、その原因となった“癒着企業への税金の横流し・垂れ流し及び大統領府(エルドーアン大統領)をはじめとするAKP関係者の無駄遣い”と思われます。しかし、上でも紹介しましたように、「民主主義へ復帰することは絶対に不可能」であり、その結果、トルコ経済が劇的に回復する可能性はほとんどなく、半年後に選挙があっても、4年後に選挙があっても、いつ選挙があってもエルドーアン大統領が勝利できる可能性は限りなく少ないと考えられます。なお、昨年の大統領選挙と国会議員選挙は2月のマラティア地震の大災害後すぐに選挙が行われたため、エルドーアン大統領の地震対策の稚拙さ、復興への無能ぶりが明らかになる前だったと考えられ、様々な選挙妨害を行うとともに、野党に対する様々な妨害工作を繰り出し(その最大の成果は、今では「クルチダルオールCHP党首を候補者に祭り上げることに成功したこと」と考えられています)、何とか勝利を収めました。しかし、今回の選挙ではバラマキ政策(選挙経済)を実施することができず、惨敗しました。これは“終わりの始まり”である可能性が濃厚です。上でも説明しましたが、次の選挙でも様々な選挙妨害や野党への妨害工作、そして最大限のバラマキ政策(選挙経済)が行われるはずですが、それでも隠しようがないひどい経済状況・国民の貧困状態から抜け出せる可能性はほとんどないように思われます。勿論、トルコ、あるいはエルドーアン大統領自身の問題ではなく、世界情勢、特に中東情勢(イランVSイスラエル、ガザ戦争など)がエルドーアン大統領あるいはトルコにとっての“神風”となることが絶対に無いとは言えませんので予断は禁物ですが、“余程の奇跡が起こらない限り、トルコ経済が改善し、エルドーアン大統領の再選が可能になる”という状況にはならないと考えます。それでも、“CHPのAKP化(依怙贔屓、個人・身内の利益の優先)”や“イマムオール大イスタンブル市長、ヤヴァシュ大アンカラ市長及びオゼルCHP党首の対立・内紛”など、エルドーアン大統領にとっての“敵失=オウンゴール”が起こった場合など、4年後もエルドーアン大統領が生き残るいくつかの可能性は考えられます。したがって、“トルコの将来は、エルドーアン大統領にかかっている”というよりは、“トルコの将来は、イマムオール大イスタンブル市長をはじめとするCHP の対応にかかっている”と言えそうです。 ここまでは、18日に書いた部分で、その後の状況を追加します。と言っても、エルドーアン大統領の対応、政治の流れとしては、特に変わったことはないとも言えます。が、いくつかの動きが明確化してきました。前回、エルドーアン大統領御用達論説委員がヒュリエット紙に「オスマン・カヴァラ氏(2013年のゲズィ公園抗議運動を扇動したFETO関係者として拘束され、無罪判決後も未だに拘束されている)を刑務所に置いておくことは、トルコ政府(=AKP)にとって何の利益もない」という論説を書いたことを紹介しましたが、その後、共和同盟を組んでいるMHPから猛反発を買っている状況です。そして、エルドーアン大統領は5月にアメリカに行く前にイラク、特に北イラクを訪問することになっていますが、これもPKK対策とは思われますが、一方で、北イラク・クルド政権との関係を強化することも意味しているためMHPは面白くないと思っている様子です。更に、AKPの中にはMHPと組んでいること自体が3月31日の選挙の敗因の1つであると考えているグループもあり、MHPを切り捨ててYRPと組むことを模索しているという説もあります。なお、オスマン・カヴァラ氏とセラハッティン・デミルタシュ元HDP共同党首の釈放に言及した理由は、“民主主義の回復を目指す動き”ではなく、オランダが「(両氏を釈放して)欧州人権裁判所の判決をトルコが履行しない限り、EUとトルコの関税同盟の延長に拒否権を発動する」と主張しているからだとされています。トルコからの輸出の半部以上はEU加盟国向けであり、関税同盟がなくなればトルコの輸出が大打撃を受けることは想像に難くありません。さらには、安全保障面でも問題が起こりかねない状況と言われています。エルドーアン大統領はロシア寄りの立場からNATOとの関係の正常化に舵を切ったと思われますが、ルッテ・オランダ首相が時期NATO事務局長との話もあり、オランダとの関係改善も必要となっているため、“再度の歴史的Uターン”を披露する準備をしているという見方もできます。また、3月31日の選挙関係では、大ハタイ市長選挙で、「AKP候補とCHP候補の得票差は約3千票だが、約4千人の震災死者が投票していること、3万票以上の無効票があること」などを指摘してCHPは選挙のやり直しを高等選挙委員会(YSK)に求めていましたが、エルドーアン大統領が「CHPの野望を否定する決定をYSKが下した」と、YSKの会議が始まる前に党員集会で発表したため、CHPが“YSKはエルドーアン大統領の下請けに成り下がた”と猛反発している状況もあります(現時点までに、YSKはCHPの申立てを却下した理由を示していません)。その一方で、先日、CHP系市長のいる自治体での事故(管理・検査責任の問題)の話を紹介しましたが、「“CHPのAKP化(依怙贔屓、個人・身内の利益の優先)”がすでに始まっている」という指摘も出ています。つまり、“合理性・適性で任命を行うのではなく、家族・親族を市役所の要職に付ける動きがいくつか出ている”という指摘があります。任命された親族に“合理性・適性”があるのかないのかは任命直後のため不明ですが、“李下に冠を正さず”、“スイカ畑で靴ひもを結び直さず”という対応が求められるのですが、残念ながらそうはなっていないということです(AKPの手先の可能性のある人ではなく、CHPとして信用できる人を任命する必要性があることは否定しませんが、、、)。経済面では、トルコはIMFと水面下で交渉を行っており、5月にエルドーアン大統領がアメリカを訪問した時に、世界銀行からの事業向け融資を受けるだけではなく、IMFとの協定も結んで融資を受けるのではないかという話もあります。エルドーアン大統領はIMFを悪の権化のようにさんざん発言してきたので、選挙前に協定を結ぶことはしなかったものの、中東諸国もダメ、ロシア・中国もダメ、欧米諸国もダメで、融資してくれる可能性は、IMFを含む国際機関からしか残されていない状況となっているため、背に腹は代えられないと、ここでも歴史的Uターンを行うだろうとされています。なお、反政府系学者が、“IMFは今後数年間でトルコ・リラの対ドル・レートが1ドル=100TLを超えると予測している”と指摘していました。 最後に、4月に入ってから行われたという世論調査結果(次の日曜日に国会議員選挙があれば、どの党に投票するかという質問)を紹介します。トルコ・レポートというあまり聞かない会社による調査ですのでどこまで信頼できるか不明ですが、国政選挙に関する調査のため参考までに紹介します。CHP35.2(%)、AKP29.9、DEM10.5、MHP7.7、YRP5.5、善良党4.0。統一地方選挙における全国の県議会議員選挙における得票率「CHP34.5(%)、AKP32.4、YRP7.0、MHP6.6、DEM5.8」よりは、少なくとも現実の支持率に近いと考えます。
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Last updated
2024.04.22 00:11:50
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