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カテゴリ:社会問題
今日(5月5日)は、前回(4月20日)以降の動きを紹介します。2週間が経過していますが、先週の動きがほとんどです。細かい動きのようにも思えますが、何年か後から思い起こしてみれば、かなり重要な意味を持つ事件になるかもしれません。
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前回、「昨年の大統領選挙と国会議員選挙は2月のマラティア地震の大災害後すぐに選挙が行われたため、エルドーアン大統領の地震対策の稚拙さ、復興への無能ぶりが明らかになる前だったと考えられ、様々な選挙妨害を行うとともに、野党に対する様々な妨害工作を繰り出し(その最大の成果は、今では「クルチダルオールCHP党首を候補者に祭り上げることに成功したこと」と考えられています)、何とか勝利を収めました。しかし、今回の選挙ではバラマキ政策(選挙経済)を実施することができず、惨敗しました。これは“終わりの始まり”である可能性が濃厚です。」及び「“CHPのAKP化(依怙贔屓、個人・身内の利益の優先)”や“イマムオール大イスタンブル市長、ヤヴァシュ大アンカラ市長及びオゼルCHP党首の対立・内紛”など、エルドーアン大統領にとっての“敵失=オウンゴール”が起こった場合など、4年後もエルドーアン大統領が生き残るいくつかの可能性は考えられます。したがって、“トルコの将来は、エルドーアン大統領にかかっている”というよりは、“トルコの将来は、イマムオール大イスタンブル市長をはじめとするCHP の対応にかかっている”と言えそうです。」と紹介しました。この2つの要約は、自分で言うのもなんですが、かなり良くできているのではないかと思います。結果は、つまり、「管理者の予想が外れたのか、正鵠を射ていたのか」は、次の大統領選挙なり、大事件が起こった時に明らかになります。 詳しい紹介を始める前に、まず、今日紹介する内容の要約を紹介します。(1)エルドーアン大統領とオゼルCHP党首が行った会談の結果・影響について(2)メーデー(5月1日)のデモ行進がエルドーアン大統領によって完全阻止されました意味について、(3)4月のインフレ率が発表になりましたが、その意味、背景について、そして(4)支持政党に関する最新の世論調査結果について、です。 3月31日のイスタンブル選挙(統一地方選挙)の結果、第1政党になったCHPのオゼル党首からエルドーアン大統領に対して会談の要請を行っていましたが、それが5月3日に実現しました。その前の問題については次に紹介しますが、先ずは与党と地方選挙の結果第1党になったCHPのそれぞれの党首の会談であり、エルドーアン大統領とCHP党首の会談は8年振りとのことです。何が話されたかは、現時点では詳しく紹介されていません。このこと自体を問題にする(=密室政治)批判がありますが、事実、重大な問題をはらんでいる可能性があります。詳しい内容は分かりませんので、表面的な部分の話を紹介します。1つ目は、会談を行い“対立ムードを和らげた”という点は、一部には評価する向きがあります。オゼルCHP党首も「与党と野党(特に第1党)が握手もしない状況は、民主主義にとって良くないものをもたらしてきた」と指摘し、穏やかな雰囲気の中で会談が行われたことは、一般的には、評価されています。「一般的には」と書きましたが、エルドーアン大統領を全く信用しない評論家などは、「政治巧者のエルドーアン大統領に、経験不足のオゼルCHP党首が上手く丸め込まれた」と分析しています。その根拠・説明は、「3月の選挙結果は、AKPがCHPに次いで2位の政党となったことを示したが、エルドーアン大統領については、イマムオール大イスタンブル市長とヤヴァシュ大アンカラ市長についで、3位の政治家となったことを示しているため、これを覆すための謀略の第1歩であった」というものです。最初に紹介した“対立ムードを和らげた”という点についても、“エルドーアン大統領が早期総選挙に持ち込まれることを恐れて、融和ムードを作り出そうとした策略に、オゼルCHP党首がまんまと乗せられた”という批判もあります。多くのトルコ人有権者が今最も恐れているのは、“第2のクルチダルオール事件の発生”、つまり、オゼルCHP党首が“自分が大統領候補になることが最も正しい選択だ”と、エルドーアン大統領に絶対に勝てるイマムオール大イスタンブル市長とヤヴァシュ大アンカラ市長を排除して、勝てる見込みが全くないにもかかわらず、自分が大統領候補になろうとすることだ」と言われています。実際、いつも紹介している解説者は、時間経過とともに紹介が変わっていき、5日の時点では、「オゼルCHP党首の取り巻きの中に、エルドーアン大統領の謀略にまんまとはまって、早期選挙が全く話題になっていないにもかかわらず、オゼルCHP党首が大統領候補に相応しいと言い始めている者がいる」と指摘していました。人間は権力や富に弱いと言われていますが、手に入れることができる権力が大きければ大きいほど、その権力に心を奪われるのが人間の性というもので、オゼルCHP党首、あるいは、その取り巻きが、自分たちの権力欲を満たすそうとしてエルドーアン大統領の罠に陥り、エルドーアン大統領が4度目の大統領就任することを許す結果になりかねないと指摘しています。この指摘は、残念ながらかなりの確率で正しいのではないかと想像します。解説者は「オゼル党首の人気を高めるために時間が必要なため、早期選挙を求めようとしていない」とも指摘していました。勿論、選挙の時までに何が起こるか分かりませんが、トルコ人有権者が「第2のクルチダルオール事件を絶対に見たくない」と思っていることは、ほぼ確実と思われます。 次に、「メーデーのデモ行進・集会開催妨害事件」について紹介します。これは、トルコの歴史の中で、メーデーのデモをイスタンブル新市街のタクスィム広場で行うことは、重要な意味があるとされています。より具体的には、2014年のゲズィ公園抗議行動がエルドーアン大統領のトラウマになって以来、どんな集会、より正確には政府寄りでない団体による集会は、タクスィム広場では許可されていません。しかし、数ヶ月前には、「正当な理由なく集会の許可を出さないこと、集会を妨害することは憲法違反である」という判決が憲法裁判所で出されているため、3月31日の選挙における敗北をエルドーアン大統領がどのように受け止めるか、特に、民主化を求めるとするオゼルCHP党首との会談の2日前にどのような態度を取るかが注目されました。その結果は、一部の反政府系メディアでは「1日間の戒厳令が敷かれた」と言われるほど、大量の機動隊、暴徒鎮圧車両、狙撃兵を配置して徹底的にタクスィム広場への侵入を阻止したものでした。オゼルCHP党首とDISKという略称の最も活発な、反政府系(=御用組合でない)労働組合の委員長も、大イスタンブル市役所近くからタクスィム広場まで行進しようとしていましたが、旧市街にあるローマ水道で、上で紹介した完全防御の阻止に遭い、断念しました。一部のメディアは「混乱を避けた」という好意的な評価をしていますが、一部では「オゼル党首もクルチダルオール前CHP党首と同様の腰砕けである」という批判をしていました。2日後の2者会談でも、この話は出なかった、あるいは真剣な議論にはならず、単に融和ムードを作り出しただけだったとして、批判の根拠ともなっています。いずれにしても、「4月1日以降も、エルドーアン大統領の本質は全く変わっていない」という主張にのための明確な根拠になったことは間違いなさそうです。 次に、4月のインフレ率と5月9日に予定されていたエルドーアン大統領のアメリカ訪問の延期に関して紹介します。まず、4月のインフレ率について紹介します。 月間 年間 TUIK(トルコ統計庁) 3.18 69.80(%) ITO(イスタンブル商業会議所) 4.89 78.81 ENAG(独立経済学者グループ) 5.02 124.35 この意味は、「インフレ率が再び上昇している」ということだけではなく、「インフレ率を再び誤魔化し始めた」ということです。それが、5月9日に予定されていたエルドーアン大統領のアメリカ訪問の延期にも関係しているのではないかと管理者は考えています。理由は不明ですが、多分、アメリカから出されていた宿題(民主化(憲法裁判所判決や欧州人権裁判所判決の履行)、対イスラエル関係など)を終えることができなかったからか、アメリカ側が用意した待遇が、エルドーアン大統領が求めるレベルではなかったことなどが想像されます。いずれにしても、IMFや世界銀行などから、予定されている以上の融資を引き出すことができなくなったため、本当のインフレ率を発表する必要がなくなったのではないかと思います。また、アメリカに行くことができなくなったためか、これまで国内でどんな批判を受けても維持していたイスラエルとの貿易を完全停止する旨発表し、また、南アフリカが国際司法裁判所に訴えていたイスラエルのガザ地区に対する虐殺(ジェノサイド)事件に関して、トルコもようやく(?)原告関係者として参加することを発表しました。 最後に、「次の日曜日に国会議員選挙があれば、どの党に投票しますか」という政党支持率世論調査の最新結果について紹介します。ヨンレイレム社という、5月の大統領選挙の結果では、管理者と同じような予想をして大きく外した(?)会社です。外したのか、外されたのかは不明ですが、少なくともメトロポ(-)ル社と比べれば、結果とは大きく異なった予測をしていたことは間違いのない事実です。CHP34(%)、AKP30、DEM9.4、MHP8.3、YRP6、善良党3.4と、いつもの解説者は言っていましたが、一部の数字は丸くなっているように思われます。それでも大勢には影響はなく、イスタンブル選挙(統一地方選挙)における選挙結果から大きく変わっていないように思います(統一地方選挙におけるDEMとMHPの支持率は、それぞれCHPとAKPの候補者に貸し出されていたため、本来よりも低い数字になっていたものと考えられます)。 トルコ・リラ等の外貨建ても含めた債券投資に関する情報を発信しています。外債投資に興味のある方は、一度覗いてみてはいかがでしょうか。 社債投資まとめ
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Last updated
2024.05.06 09:35:33
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