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イタリアいなかまち暮らし

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2007.05.23
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カテゴリ:外食
ガイド本には載っていない店だが、近くのヴィンキャトゥーロという小さな町のそのまた郊外にあるレストラン「リズヴェリオ・デイ・サポーリ」に行った。前にも一度行ったことがあるが驚くほど安くて、しかもおいしい。「おいしい」と簡単にしか言えないが、カンポバッソでおいしいといえるレストランは数えるほどしかなく、ほとんどが素人的で粗末なものだ。
今日行った所のシェフはカンポバッソで2番の質を誇るレストランで働いていたらしい。メニューもこの辺の誰もがやる平均的な郷土料理一色のものとはまた違い、ちゃんとした「レストランのメニュー」である。なのにカンポバッソから車で15分の道路沿いだからとはいえ、値段は食堂並みなのだ。

前回、量が多すぎて困ってしまったので今度は慎重に頼むはずだった。

普通レストランでは前菜、プリモ、メインディッシュをそれぞれ一人前頼んで二人で分けるとか、プリモをひとつ、メインを二つ頼むような形が大体の私たちの量だ。
前回来た時は前菜盛り合わせ一つ、メイン二つ、副菜のグリル野菜を頼んだら予想以上の大ボリュームで来た。我々は食べ物を残すことを後ろめたく感じてしまう二人なので、普通は苦しくてもがんばって残さないのだが、少し残さざるを得なかった。といっても持ち帰りするほどの残り方ではなかったのだが。
それでこんどは前菜、パスタ、サラダを一つづつ頼んで様子を見ることにした。

前菜は前回と同じく冷と温の盛り合わせで、

冷;生ハム・サラミ、カポコッロ等のスライス類
  モツァレラ、ペコリーノ、カチョカバッロ(この辺の郷土チーズ。馬という言葉が入っているが牛乳が原料)、リコッタから成るチーズ類。リコッタはよくあるようなボソボソとした私の苦手なおからのようなやつじゃなく、豆腐のように四角く固められて滑らか。なのでここのリコッタは好きだ。

温;キャベツのチーズ味、メランザーナ・パルミッジャーナ(なすとチーズとトマトソースの重ね焼き)、ズッキーニの詰め物、ジャガイモのキッシュみたいなもの。どれもおいしく、しかも前回とまた違っていた。


プリモは前回パスしたので今回はぜひ頼んでみたくて私が選んだ。オレケッタ(プーリア出身の耳たぶの形のモチモチ系手打ちパスタ)を頼んだ。といってもこのあたりはプーリアと違って手打ちオレケッタを期待できるわけでもないのだが、私はオレケッタ好きなのでメニューに見つけると避けて通れない。このパスタのインゲンとミニトマトととろける系のチーズ和え(メニューではSTRACCIATAという表現だった)である。

さて来たのはやはり乾燥オレケッタだったが、茹ですぎず茹でなさ過ぎず、正確に茹でられていたのでわりとモチモチしていた。味付けもおいしかったが、相方はこのコンビネーションが合わないとかで不満そうだった。私は全然感じないのに、なんか口の中でヘンな風味が現れるらしい。最後の一口まで相方の言ってる事はまったくわからずじまいだ。

さてサラダも食べて、二人ともあと3口ぐらいはおなかに空きがあった。ここでやめるべきか迷ったが、前回のバッカラ*があまりに印象的で、あれを食べないと気がすまないような気になってきて、頼んでしまった。


バッカラというのは北欧産のタラの切り身を塩漬けにして干した保存食だ。現地で加工されてからイタリアにやってくる。中華料理の干し物みたいに長時間水に浸けて戻してから火を通して調理する。うまく戻したものは新鮮なタラの食感と変わらないが、少し引き締まった感じでうまみがある。地中海で大きいタラは取れない。バッカラはイタリアでは昔から北欧から買っていたいわば伝統的な輸入食品なのだ。(沖縄が昔から北海道産の昆布を取り寄せてきたようなものでしょうか)
そして特に内陸なせいか、カンポバッソでは人気のある食べ物だ。これは山の料理のカテゴリーに入るようで、魚にしては例外的な扱いを受けて、肉料理を出すレストランでもよく出されている。ちなみにウチは鮮魚専門なのでバッカラは出さない。


この店のバッカラのパン粉のせオーブン焼きは独創的で、上に松の実や干しぶどうやクルミを散らして焼いていて、香ばしさを与えている。特に干しぶどうが焼く前に少し水で戻されているらしくて、緩和された風味が口にふわっと広がりバッカラの淡白さとたっぷりかけられたオリーブ油にマッチする。私は干しぶどうをおいしいと思ったことなどないのにこの料理はおいしく食べられてしまう。

この料理が忘れられずに頼んでしまったが、二人ともやはり3口食べておなかがいっぱいになってしまった。しかし干しぶどうの香りに誘われついもう一口、後一口と全部食べてしまい、帰るために席から立ったとたん、おなかの重さでふらついてしまった。かなりオリーブ油が使われているためか、その後夕食の時間をすぎても二人で満腹感に苦しめられるはめに。(でも最後の一口までおいしかった。)

また、この店は料理、サービスはちゃんとしたレストラン並みなのだが、惜しくもトイレはイタリアの平均的なピッツェリアによくある、便座なし、鍵なしであった(これが平均以下のバールだとトイレットペーパーなしが加わる)。

追記;その後何回か行くにつれわかってきたが、この店でおいしいのは前菜とバッカラだけ!!





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Last updated  2007.05.23 22:46:37
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