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テーマ:イタリアの美味しい話(706)
カテゴリ:外食
日曜日、ロッカラーソRoccarasoというところに行ってきた。ロッカラーソとはアブルッツォ州にあるわりと大きなスキー場で、カンポバッソからは車で2時間ほどだ。いつも車で1時間のカンピテッロという小さなスキー場に行ってたので、いつも「今度はロッカラーソに行こう」といいながら、機会がなかったのだ。去年は暖冬で雪がなかったし、その前もなんだかんだで機会を逃していた。一度、一念発起して行ったこともあったが、その日は風が強くてほとんどのリフトが動いていなくてあきらめた。
で、今回、2度目の一念発起だった。あっちで適当に宿を見つけて泊まって、月曜の朝からがんがん楽しもうという計画で日曜の午後出発したのだが・・・。 価格比較のため何軒かホテルを回って、何軒目かで、親切な人が「ロッカラーソスキー場は今シーズンは今日でお終いですよ」と教えてくれたのだ。 うが~~ 何でこんなにロッカラーソに縁がないねん~? ウェブサイトではシーズン終了のことなど何も言ってへんかった~! 2度目なんだから、2度もスキー場に振られることはないと鷹をくくってただけに、唖然とする。なんか、ロッカラーソの山の神様に、悪いことでもしたかな? しょうがないからカンポバッソまで帰るけど、以前からチェック済みで、ミシュランにもガンベロロッソにも載っていて「ロッカラーソに行ったらここで食べよう」と言っていたレストランに行くことに。 ロッカラーソの隣の村、RIVISONDOLIにあるREALEというレストラン。 行ってみると外観は非常に控えめでシックな、店の名前が入った真四角の看板が壁に張り付いているだけで、あまりレストランには見えない。(イタリアにはこういうのが多いから慣れたが) 小さな山の上の町にすごく似合わない店だ。 かなり高級そうなのでここまで来てちょっと迷いが応じたが、思い切って行ってみた。ドアは鍵が閉まっていてお客がいちいちベルを鳴らして店員が開けに来るというシステムで、とまどった。中に入っても、食堂に入る前にウェイターが上着を預かってくれて、とまどう。こんな高級とはぜんぜん考えてなかったから、服もジーパンだったし。相方なんかユニクロのフリースだったし! 3人のウェイターは全員黒のスーツで、なんかLe Iene(とあるテレビ番組)みたい、ププ。 8時だったのでお客は私たちだけだった。 メニューは普通のフルコースのセットが60ユーロ、シェフお任せが80ユーロ!飲み物は別! 単品が前菜もパスタもだいたい20ユーロで、メインが30ユーロ。 まず座るとお水は炭酸入りか、炭酸無しか、と聞いて、水差しに入れて持ってきてくれる。 セットなら1テーブル同じセットを頼まなきゃいけないといわれたので、高いうえに二人とも同じではつまらないので単品にする。前菜とメインを二つづつ頼んだ。パスタは普通私たちの場合は外食ではパスする。 飲み物は・・・二人とも水だけにした。すんません、貧乏庶民で。 まず、前菜の前の小さな品(フランス料理ではアミューズというらしい)が、6種類づつ来た(大きさは一口以下)。味は、おいしいのもあり、?もあり。 豚のソーセージ(普通加熱しないと食べられない、生ソーセージ)が生のまま食べられる、と出された。(長い皿の向こうから2番目)。キャラメライズしたオレンジの一片が乗っていた。 干したラズベリー(梅干みたい!)が乗ったリコッタとかもよかった それから、さらに「グリーンピースのジェラート」というのが来た。味は、グリーンピースのボタージュをそのままジェラートにしたような、微妙なもの。舌触りはムースのように非常に滑らかで、やわらかいが、確かに冷たくて、ジェラートである。色はお抹茶みたい。オリーブオイルが全体にかかっていてパルメザンチーズのカリカリが刺さっていた。おかず味のアイスは、初めて食べた! このときかなり緊張してて、ウェイターのいるところでカメラを取り出せなかったので、写真を残せなかった。残念。 やっと前菜が来る。私のはマトンとラズベリーのスープ、ドラゴンチェッロ(エストラゴン)というハーブ入り。凝った小さなラビオリが入っていて、スープはあっさりしている。しかしひとつ突っ込みどころ。ラズベリーの影も形もにおいもしなかったぞ! 奴のは羊のANIMELLA(WIKIで調べたら、「すい臓や胸腺、唾液腺」らしい??http://it.wikipedia.org/wiki/Cucina_romana)を、アーティチョークとともにアグロドルチェ(甘くて酸っぱい)味で仕上げたというもの。 味はアグロドルチェというほどきつくなく、とても控えめなのに、口に入れた瞬間「あ、焼肉屋さんにいるみたい!」と思ってしまった。まったりした脂たっぷりの内臓と、カリカリした焼き方がそう感じさせたのか。 メインは私はハト!ハトを食べたことないから選んだ。(ちなみに食用のハトは公園の灰色のやつとは違うらしい。当然か) (このときにはもう平気で写真とっていた) ハト、おいしい。味見した夫が「ハトは普通でもおいしいけど、これは特においしいハトだ」といってたので、特別らしいが。ダックみたいな味、と思った。胸肉と、小さな骨付きもも肉に分けられて出てきた。コーヒー味のソース付き。しかしまた突っ込み、メニューは「ハトとフォアグラ」ってあったのに、これも影も形もない。たしかにフォアグラみたいな味はしたけど・・・塗ってるのか?? 奴のは子羊料理4種類。 生の子羊のひき肉。ほのかにワインとミントが入っている。ハーブとアーモンドが衣のロースト、なんかもうひとつカリカリした衣のついたやつ。両方ともたたきのようなレア。チョコレートソース付き。 子羊のパテがカリカリのクラッカー(今作ったっぽい)に、アミューズと同じ干しラズベリーとともに挟まっている。 アミューズの生ソーセージといい、生の子羊・・・生でレストランで出すからにはどちらも確かな飼育元から特別に育てられたものを仕入れているに違いはないが・・・ほんとに大丈夫かな? とにかく全品、斬新な料理で、いろんなアイディアを見せてくれて楽しい。それでいてベースは山側アブルッツオ郷土料理とローマ料理らしいことがよくわかる。それはANIMELLA等、食材によく現れている。使われたオリーブ油も最高級の濃い味。 量はごく控えめで、あまりおなかがすいていなかったにもかかわらず、ぺろりと食べれた。 で会計は前菜20ユーロ、メイン30ユーロ、水差しの水が一人2ユーロで、全部で104ユーロ。コペルト(チャージ)は、なし。アミューズも、日本の突き出しじゃないので、全部ノーチャージ。まあ代わりに水差しの水でこんなに取られるわけだけど。 まあ、田舎のレストランで前菜とメインだけ食べたときの3倍だろうか。しかし料理の凝り方が10倍ぐらい違うし、食材が厳選された高級品なので、充分以上に価値はある。 しかし・・・飲み物無しで、量も軽めで・・・約1万5千円かぁ~一人約8千円かぁ~、ひょえ~ おなかすいてたらフルコース軽く食べれそうだけど、そうなると一人1万円はいくなぁ。 いや~贅沢しちゃって、こわいよー・・・ でも、でも、私ら誕生日とか結婚記念日とかって、祝わないカップルだからぁ、二人の誕生日と、結婚記念日が、一度に来たって思えばいいのね( ´∀`) それに、イタリアのこんな山の中の田舎町に住まわされてるおかげで、外食というと「代わり映えしない生ハム類の前菜と、塩とオリーブ油で味付けただけの焼いた肉の塊か、外で食べる価値もないパスタ」 → 「ローマやナポリに比べると数段劣るピザ」 → 「イタリアナイズされた中華」のヘビーローテーションだし!! その分こういう「変わった」料理は、私にとって余計にありがたいわけだし。 田舎に住んで生活費が安い分、こういう贅沢にまわしてもいいよね!(←海外旅行に散々金使ってることも忘れているらしい) 客は9時を過ぎて徐々にやってきて、4グループになった。値段からして地元の人がそうしょっちゅう来るとは思わないから、ほとんどが遠くからの客なんだろう。 最後にやってきたグループの中の一人の女性は、名前は知らないけどテレビの司会者だった。アメリカ人を連れてて一生懸命イタリアン英語でしゃべってた。 ともかく、私は料理のことはわからないけどとにかく味に満足・感心したし、食材の質に敏感な相方が「コレだけの質でこの値段は、安い」と褒めているんだから、間違いはないと思う。2時間かけて来て、スキーが出来なくなってがっくりだけど、ここに食べに来たんだと思ったら充分価値がある距離に思えるので、よかった。 安いレストランに10回行くよりもこういうところに1回行くほうがよっぽどいいと思った。代わり映えしない料理とはいえやっぱり外食は好きなので、安いとこに週1回は行っていたけど・・・これからは行かずに「行ったつもり貯金」でもして、頻度を減らしてこういう質のいいところだけにいこうかな! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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