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テーマ:イタリアの美味しい話(706)
カテゴリ:外食
日曜日、カンピテッロのスキー場のふもとの村、ボヤーノの近く、カンタルーポ・デル・サンニオCantalupo del Sannioに行ってきた。目的はミシュランのグルメガイド本でにっこりマークが付いたトラットリア。ミシュラン本はよく知られた星 * マークが付いたものがもちろん格が上でれっきとしたレストランなのだが、その下のランク外として例のミシュランのシンボルのマシュマロマンみたいな顔のにっこりマークがある。これはいい料理が安く食べられる店、と言う意味。トラットリアみたく庶民的な店が多い。 その他にも、食べ物に関しては何も格が着いていない店もある。「心地よさ」をランク付けしたフォークとナイフのマークがあって、これは星付き、顔付き、何もなしにかかわらず別物として評価される。わかりにくいがたぶん、内装、外装、景色、サービスなど食べ物以外の評価なのだろう。 つまり私の勝手な解釈では*** → ** → * → にこちゃんマーク → 格無しナイフフォークマークのみ、の順で料理の位が落ちていくわけだ。 カンポバッソには星ひとつのレストランが一軒ある。同じ星ひとつにもかかわらずRivisondoliの店(日記を参照)と比べたら、私たちの評価では格が落ちるのだが、その分値段はもうちょっと手ごろなので、まあお勧めできる。 にこちゃんマークの店も一つあるけど、ここはちょっと料理によっていい悪いのばらつきがある。 モリーセ州全体で星付きのレストランはこの一軒だけ、にこちゃんマークも確か2軒か3軒だ。 さて、このもうひとつのにっこりマークのレストランが車で30分のこのカンタルーポ・デル・サンニオという小さい町にあるので、以前から行きたいとは思っていたが、今になってようやく行ってみた。 予約して行った。着いてみて「やられた!」と思ったのが団体さんの登場。コムニオーネ(子供に行うカトリックの儀式で、教会で儀式を済ました後、昼食会を開く。通常20~40人くらいのパーティ)の会場になっていたのだ。こういうのと一緒になると厨房は団体のほうに気をとられて、料理が出るのが遅くなったり、手抜きされたりする。 まあだからと言ってここまで来たからしょうがないので入ってみた。中は思いっきりトラットリア、食堂って感じ。他にも2テーブルの小グループ客がいた。 メニューはちょっとした驚きだった。けっこう個性的で、庶民的な見かけからは思いも寄らない、ちょっとひねったメニューが多いのだ。2人前以上からのオーダーが多いが。そしてすごく安い。一皿5~8ユーロほど。 私たちは前菜の"stuzzichini"一人前、(おつまみと言う意味だけど、実際は小さな料理が次から次へ出てくる感じだった)「自家製パスタのメロンとポルチーニあえ」2人前(2人前以上から、だったから)、メインに「子羊のロースト」、「豚のソテーのスモモと栗のソース」をひとつづつ頼んだ。 結論から言うとちょっと平均的かなという味。 前菜はトマトのブルスケッタにサラミ3種類、あとはつくりおきのシチュー類いろいろ。シチューは夫、「中世の農家の味」(?)。ま、普通。サラミは自家製でおいしかった。メニューには生ハム・サラミ類とチーズの盛り合わせもあったのでそれにすればよかった。 パスタもメロンの味がはっきりしなくて、普通。麺自体は手作りの、四角いスパゲッティで、おいしかった。 子羊は夫はミディアムレアが好きなので希望を言った。子羊でそういう調理の仕方は非常に例外的なのでどうなるかなと思ったら、超レアが来た。それでもいいけど、夫の気にいらなかったことが、勝手にレモン汁が加えられていたこと。ローストのレモンは当然客が自分でかける物で、最初からかかっているなんで言語道断、刺身に最初からしょうゆがかかっているようなものでしょう。レアだからってなんか取り繕いたかったのか? 豚のソテーはとろみがかったソース。確かにスモモと栗の味はするけど、半端に粉々になっててよくわからない。でも普通においしい。 夫に言わせると、「イナカのしょぼい食堂ががんばって新メニューを開発しようとしたらこうなるって感じの料理の寄せ集め」らしい。言いたい放題ですね。 たしかに見た目も、盛り付けもへったくれもなくてそのまんま。家で食べてるような感じだったけど。量も結構あって、どてーん!と言う感じ。(トラットリアはたいがいこんな感じだけど) 私は、まあ味は何も感激するような味じゃないけど、そこそこおいしいし、なによりちょっと変わったメニューがいいと思った。なにせ庶民的なトラットリアはみな同じ定番メニューしか置いていない。普通のレストランでも、創作メニューは一軒に一つとか。 イタリアでは基本的に創作料理と言うものは高級レストランでしか食べられないのだ。 だからこんな庶民的な値段で、ちょっとひねりのある料理がメニューに沢山並んでる店はとても貴重だと思った。もちろんイタリア食材以外のものを使った料理はなかったけど。それでも栗とか大麦とかスペルト小麦とか野生のハーブとかあって、なんか農家風というか山小屋風を意識してるのがいい。 サービスもちょっと農家風(笑)。本にも「真っ正直な」という評価が書いてあって、文面からはちょっと荒っぽいのかなという感じを受けたんだけど、その通りだった。悪気のある感じじゃなくて、飾り気のない直球的なサービスだった。 私はこういうメニューの店はまた来て違うものを食べてみたいほう。夫は「あまり気は進まないけど、今度団体がいないときなら再挑戦してみてもいいんじゃないか」って感じだった。 食後、スキー場まで車で上ってコーヒーで一服。この山は夏は乗馬と4人乗り自転車がエンターテイメントだが、日曜日なのに避暑に来る人もまばら。イタリア人は山に避暑する人は少なくて、逆にちょっと暑くなればみんな海に行ってしまう。 乗馬と言ってもレッスンじゃなくて馬に乗って野原をぐるりと回ってくる散歩だが、やってみた。 子供のとき近所に乗馬教室があって、ちょっと通っていたこともあったので、乗馬の基本はわかる。(初心者から上達しないままやめたけど)(ほとんど忘れたけど)。夫も田舎育ちだからなんか自然にワイルドに乗馬は覚えたらしい。 1時間コースに挑戦した。スタッフも馬に乗って先導してのんびりと並足(ポクリポクリ歩くこと)で出かけて帰ってくるもの。 だだっ広い野原、小川、砂利道、コンクリート、岩のごろごろする坂、牛、水飲み場。変化があって景色もきれいでなかなかよかった。カメラを持っていかなくて残念。馬もへそ曲げたりしないおとなしい子だった。牛を見たときはちょっと嫌がっていたけど。 そんな感じでのんびり過ごしたのに、翌日から腿の筋肉痛が激しくて、階段を登ったり椅子に座ったりするたびに二人でうめいていた。うむ、侮れないぞ乗馬。もっと本格的にしたいけどカンポバッソ付近には教えているところはなさそうだ。みんな夫みたいにワイルドに覚えるためか?夫の村では馬を飼ってる知り合いに「ちょっと馬貸してよ」って感じらしい。まあそもそも乗馬の盛んな国ではない。でも牛やひつじほどではないけど馬もよく見る。スーパーでも馬肉売ってるから、食用かな。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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