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イタリアいなかまち暮らし

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2009.09.18
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カテゴリ:仕事

 

お久しぶりです。長らく放置気味ですが、今後もこういうペースだと思います。別に忙しいわけでもなんでもなく、単に文字を打つのが億劫に?なってきただけ。ネタは頭にあるんだけど文章化する気力が起きない。

さて、なかなか客が来なくなってから長いことたちました。同業者も渋い顔です。流行っているのは安い店。客が多いってだけで儲けが出てるのかどうか知りませんが。

そこでウチも、実は今週から心機一転、別の店になったように料理を変えてみました。


シーフード専門ってのやめたんです。

そして「パスタの店」に生まれ変わりました。

パスタというか、プリモの店。パスタと限定すると米料理が排除されちゃうから、宣伝文句は「プリモのみ」と。

日本でよくあるような、パスタ料理の種類の多いカジュアルレストランの(ちょっとファーストフードっぽい)ような店にしたいと思ってます。イタリアではこれちょっと新しい形態なんです。都会にはあるけど、田舎はなかなか。テルモリにもそういう店があるとうわさに聞いたけど、カンポバッソにはありません。

イタリアは庶民が外食するようになってまだ歴史が浅く、レストランというとフルコースの正餐という考えが残ってます。レストランに入ってプリモだけ食べて出てくるというのは、店にも悪いと思うし自分もみすぼらしい気分になるのでなかなか気軽にできない。なのでどうしてももっと気軽なピッツァに行ってしまうようです。なのでこっちが最初から「プリモだけしかおいてないよ」と呼び込むと、あ、他に何か頼まなくてもいいんだ、という気楽さからそういう客も来るのではないかと。

あと、料理を変えたもう一つの理由、夫がいい加減同じもの作るのに飽きてきたってのも。イタリア料理でシーフードって、いつも同じようなものになっちゃうんですよね。食べる人は魚料理にはシンプルさを求めるので、なかなか味を変えるとか出来ない。

新メニューは夫が「まだ試験的だから公開するな」と言ってるのですべてはお見せ出来ませんが、一番安いもので「トマトソースとリコッタセッカのカバテッリ、5ユーロ」。
カバテッリはモリーゼ~プーリアの手打ちパスタで、オレケッタを作る過程(日記を参照)で裏返さない、怠け者バージョンのオレケッタです。リコッタセッカは、うっかり変換したらリコッタ石化と出てきて妙にうれしかったのですが、その通りリコッタを乾かして固形にしたもの。といっても固くはなくしっとりした感じ。これもプーリアの食べ物。

高い物でも8.5ユーロの「魚介のタリアテッレ」。そう、すっぱり魚介を置いてないということはないんです。プリモと言うのか微妙なんだけど、メランザーナパルミジャーナ(ナスのトマトソースグラタン)、サラダだけで食事になるてんこ盛りサラダ(insalatone)も試験的に置いてます。以前紹介した「汁ラザーニャ」生ソーセージのクリームパスタもあります。汁ラザーニャは家庭でしかお目にかかれないものだし、クリームパスタは南イタリアではあまり食べられないので、どちらもこの辺のレストランにはない、めずらしいメニューです。

野菜もどんどん多用して健康的に行きたい。そこでピッツェリアとの差別化も出てくるかな、と。
そのうち「プリモのみ」の店として知られるようになると、オプションとしてサイドディッシュとかもおいたり、メインの肉も「ちょこっとプラス」程度にちまちましたのを置いたり、セットにしたりしたい。(イタリアでは肉は「ドデーン」って出てきます。それに辟易してるイタリア人も少なくないんです。)
ピアットウニコ(一つの皿でプリモとメインが一緒になった料理。ミラノ料理の骨付き肉のお米添えとか、日本の丼物みたいな)も置きたい、と構想が膨らんでいます。

つまりイタリア人の食事観念にどっしりとある「前菜、プリモ、メイン」の壁を突き破りたい、と言ったら大げさだけど、新たなる食事の形態を提案したいと私は思っているのです(まだ大げさ)。夫は「革命はそんな簡単に起こせないぞ」と言ってらっさいますが。

これはもともと店を開く前から考えてたことなんですけどね。日本に行ったとき夫は牛丼屋のスタイルに感銘を受けたようで、そういうのを取り入れたかったようです。食券自動販売機を買って持ってこれないか、と真剣に悩んでましたから(笑)
その後でやっぱり夫はシーフードを作るのが好きなのと、そんな安い店にしてどういう種類の客が来るのか、ガラの悪い人ばかり来るんじゃないかとか悩んで、結局シーフードの店にしたけど。

結局シーフードでも、嫌な客ってのは来るんです。嫌な客ってのは低教養低所得層の人ばかりと限らない。お医者さんでもアホみたいなこと言う人もいるし、スーツ族でもすっごい失礼な人もいるし、丁寧な感じでもカチンとくるようなことを言う人もいる。昔書いたけどローカル政治家で食い逃げみたいなことをした人も来た。

それに恐れていたガラの悪い人だってちゃんと来ましたよ。よく考えたらお金を持っているガラの悪い人だって沢山居るのです。あまりに長くだらだらと居るのでそろそろお帰りいただけないかと言ったらキレまくってリキュールのボトルを割られた。イタリアの飲食店は基本的に閉店時間という決まりがなく、客に帰ることを促すのはとても失礼なことだが、こいつらは最初から暴れたくて入ったとしか思えない。
また別の悪い人は二人できて「金は後で払う」と堂々と逃げていかれた。もちろん今払えと粘ったんだけど「今持ってないからどうしようもない」「出所したばかりなんだゴラァ」と脅しごねるので怖いからさっさとお帰りになってもらった。まあこれは金持ってる持ってない関係ないけど。

結局ウチはシーフードでもカジュアル路線で安価だったので、このままもっとカジュアルにしても同じだと。実際魚介のパスタは値段変えてないから、違うのはパスタだけ食べる人も大歓迎になっただけ。パスタだけってのがそもそも普通と違うし、料理もこの辺の典型的なレストランで出してるような普通のものとは違ってるので、新しい物好きなオープンマインドな人がくるかもと期待している。これまでの伝統的魚介料理は結構「ムラ的」な人たちが来てたのでね。このように新しい試みなので、もしかしたら誰にも相手にされないかもというリスクもありますが。

 

夫が「載せるメニューについてもうちょっと考えたい」と、ぐずぐずとチラシを作らせてくれないのでまだ宣伝活動ができません。なのでいまだお客は来ない。店の窓には大きな「プリモのみ」の紙を張ったんだけど・・・。
(この紙を作ったり新しい料理の仕込をしてたりして、火曜日の開店は大幅に遅れ、とうとう勝手に急遽休みにしてしまいました。そこにちょうど以前も来ていただいたブログつながりの料理人さんが、もう一人の料理人女性ブロガーを連れて、サプライズで来てくださったのです。いや、もう、むちゃくちゃサプライズでしたよ。心臓止まるかと思った。休みだと聞いてお帰りになろうとするのを無理やり引き止めて勝手に一緒に食事させていただきました(笑)むっちゃうれしかった)あ、以前の通り営業時間帯は昼と夜、休店日は日、月曜です。魚介専門でなくなったので休店日を変えることも出来るようになったのですが、何曜日、週一か週2か半ドンかというのをいろいろ模索しなければならないので、当分は変えません。今までと違うのは、予約無しでいきなり来ていただいてもそんなに食べ物の選択肢が減ることはないということでしょうか。魚だとシケ、祝日などで入荷しなかったり、少量だけ準備して売り切れとかよくあったんです。

それではもうちょっとメニューを試行錯誤してから紹介します。写真も撮るように努力します。今までの店の料理の写真をあまり撮らなかったのが残念ですが。
このブログを見て店に来てくれた方々、来たいと連絡を取ってくれた方々、またはこれから連絡しようとしている方々、今後もこの店をよろしくお願いしますm( __ __ )m

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Last updated  2009.09.22 23:44:10
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