カテゴリ:株式投資
日経平均急落し二番底迫る、ドバイリスクに本格反応-中東関連崩れ 11月27日(ブルームバーグ): 東京株式相場は大幅続落し、日経平均株価が二番底を形成した7月13日の安値(9050円)に接近した。ドバイ首長国の資金繰り懸念が浮上したことを受け、大成建設や近畿車両、コマツなど中東関連銘柄が総じて売られ、為替市場での円高加速を背景にホンダやファナックなど輸出関連株も安い。 日経平均株価の終値は前日比301円72銭(3.2%)安の9081円52銭。下落率は3月30日(4.5%)以来、およそ8カ月ぶりの大きさ。TOPIXは同18.55ポイント(2.2%)安の811.01。両指数ともこの日の安値圏で終えた。 みずほ投信投資顧問の荒野浩理事は、ドバイ政府系企業の債務返済延期が決まれば、「中東とのつながりが強い欧州経済への打撃は大きく、再び世界的な金融混乱に陥る可能性も低くない」と指摘。国際通貨基金(IMF)などの支援機関は、リーマン・ショック時に多額の資金を供出したこともあり、「財政に余裕がなくなっており、中東への資金支援は難しい状況」との認識を示した。 26日の欧州株式相場は、主要株価指数が軒並み急落。アラブ首長国連邦(UAE)のドバイ首長国の政府系投資持ち株会社ドバイ・ワールドが、全債務について支払い繰り延べを求めたことを嫌気した。欧州株安は南米市場の取引にも影響、ブラジル株も過去2週間で最大の下げを演じ、通貨レアルも急落。新興国市場に高い投資リターンを求めてきた投資家の動きが目先急変する兆しを見せている。 金融危機再燃を想起、中東銘柄軒並み急落 東洋証券情報部の檜和田浩昭ストラテジストによると、「ドバイ問題は、忘れ去られつつあったリーマン・ショックによる世界金融危機の再燃懸念を呼び起こさせた」という。この日の東京市場では、中東諸国のインフラプロジェクトに関与した企業群や、中東地域でビジネス展開する銘柄が売り込まれ、東証1部の下落率上位には鹿島、近畿車両、日機装、大林組などが並んだ。東洋エンジニアリング、千代田化工建設、酉島製作所も安い。 日興コーディアル証券・国際市場分析部の橘田憲和ストラテジストは、ドバイ・ワールドの情報開示が不十分なため、「関連企業や投資家は正確な事態を把握できない状況で、負のインパクトがどの程度になるか計れないでいる」と話す。またドバイ問題は、日本では前日朝方にすでに市場で伝わっていたが、野村証券の若生寿一シニアストラテジストは「マーケットでは為替にばかり目がいっており、まったく織り込みきれていなかった」と振り返った。 朝方に1ドル=84円台 一方、東京外国為替市場では朝方に円買い・ドル売りの動きが一段と加速、円相場は1995年7月以来、14年ぶりに1ドル=85円台を突破した。対ユーロでは一時126円台後半まで円高が進行。急激な円高は輸出企業の収益悪化や輸入物価の下落を通じ、「病み上がりの日本経済に打撃を与え、デフレスパイラルに陥る可能性も否定できない」と、東洋証の檜和田氏と警戒感を口にした。 トヨタ自動車やホンダ、キヤノン、ソニーなど主要輸出関連株が売られ、世界的な信用不安の再燃懸念を背景に三井住友フィナンシャルグループなど3大金融グループも下落。野村ホールディングスなど証券株も安い。国際商品市況や運賃市況の下げを嫌気し、商社や海運も下落、鉄鋼株も下げが目立った。 次の下値めどは 日経平均での下値支持線と見られていた200日移動平均線(9372円)をあっさりと割り込み、次の下値めどが注目された。3月10日のバブル後安値7054円(終値)から8月26 日の年初来高値1万639円までの上昇幅に対し、黄金分割比で38.2%に当たる9200円台を終値で維持できるかに焦点が集まったが、この水準も下回って終了。3月安値を大底とし、二番底となった7月13日安値(9050円)にも迫り、仮にこれを下回れば、テクニカル分析上はめどが立たなくなる。 東証1部の売買高は概算で22億5673万株、売買代金は1兆3582億円。値下がり銘柄数が1282、値上がりは309。業種別33指数は31 業種が下落、電気・ガスとパルプ・紙の2業種のみ上昇。 円高メリット銘柄は堅調、新興3市場 個別では、10月の連結営業収益が前年同月比4.9%減のイオン、大和証券SMBCが投資判断を「アウトパフォーム」から「中立」に下げた前田道路が安い。半面、円高メリット銘柄が堅調。円高進行が原燃料コスト負担の低減につながる日本製紙グループ本社や東京電力、中部電力が買われ、製品輸入価格の低下による競争力向上期待からエービーシー・マート、ニトリなど小売株の一角も高かった。 国内新興3市場では、ジャスダック指数が前日比0.27ポイント(0.6%)安の45.06、東証マザーズ指数が10.20ポイント(2.6%)安の376.09とともに3営業日ぶりに反落。大証ヘラクレス指数は10.69ポイント(2.1%)安の505.19と反落した。 個別では、楽天、セブン銀行が売られ、サイバーエージェント、ACCESSも安い。半面、発行済株式総数の5.8%を上限に自社株買いを実施すると発表したエイジアがストップ高(値幅制限の上限)で買い気配のまま終えた。UTホールディングス、アドウェイズ、ブイ・テクノロジーが高い。 記事についての記者への問い合わせ先:東京 河野 敏 Satoshi Kawano skawano1@bloomberg.net 更新日時: 2009/11/27 16:05 JST Bloomberg http://www.bloomberg.co.jp お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009.11.27 18:56:14
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