カテゴリ:本
まともな憲法学者による、現憲法が抱える諸問題の解説本。
9条問題、靖国参拝、外国人参政権、女性天皇、行き過ぎた人権主義、そして、そもそも現憲法に正当性はあるのか? 著者は、日本憲法の根本にある問題は、「国家観なき戦後憲法学」だと言います。 “国家”というと、「権力機構としての国家」、つまり正確にいうと政府と、 国民・領土・伝統文化・歴史まで引っくるめた「国民共同体としての国家」がある。 なのに戦後の教育では国家といえば権力機構としての国家としか教えて来なかったから、 常識で考えればわかることが、今は通じなくなっている。 「共同体としての国家」は独立国として当然、自衛権を持つのだから、自衛権の発動としての武力行使が出来ないはずはない。 「共同体としての国家」がなければ、国民だって存在しないのだから、「国家の存立を維持」することは最大の「公共の福祉」に他ならず、 そのために一時的に人権が制約を受けることはやむを得ない。 国が滅ぶとも個人が最高の価値だなどというのはナンセンスだ。 政教分離も同様に、「共同体としての国家」には伝統的な宗教行事も含むのだから、ある程度のかかわりは認めざるを得ない。 だいたい、欧米の政教分離は、ある特定の宗教団体が政治とつながりを持つことの禁止だ。 だから、米大統領の任命式が宣誓から始まるのは、普通のこと。 宗教的なものを政治ときっぱりぱっきり分けようとするのは“宗教は毒だ”と言ってはばからなかった共産主義国の思想。 憲法・法律の専門家ってどうも木を見て森を見ずというか実相にそってないなぁと思ってたけど、いるとこにはちゃんといるもんですね。 まともな憲法学者が。 ほっとしました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012年02月06日 17時46分21秒
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