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カテゴリ:制作現場
ここのところ、テープ起こしの作業が続く。 以前は取材テープをダビングしたVHSテープを送ってくれる局が多かったのだけれど、昨年あたりからDVDに落とす局が多くなってきた。 業務用のVHSビデオは驚嘆するほどに高いので、一般ユーザー向けのビデオを使っていたのだけど、性能はやはり“それなり”。止めたいところでキチッと止まらない。シュルシュルと少し通り過ぎる。戻そうとすると、シュルシュル、戻り過ぎ。んで、進ませるとまたシュルシュル…を繰り返し、あげくの果てはテープを巻き込んで固定化したり。 そんなこんなでアタマに来ることが多かったけれど、DVDになるとラク。パソコンの右上に表示したまま仕事ができるのが嬉しい。便利になったな~と思うけど、ダビングする方はテープ→DVDだから、まだ実時間がかかるので大変だ。 テープ起こしは番組作りの基礎の基礎。ぼくは取材対象をテープ起こしをすることで知る。直接会うことはまずない。会って情が入ると、思い入れがディレクターと同じになってマズイし。構成係は第三者じゃないとアカンと思ってる。でないと冷徹になり切れないし。 基礎の基礎のテープ起こしだけど、きちんとやらないディレクターが増えている気がする。以前は自分が撮った映像(インタビューも含めて)をすべて書き起こしていたカメラマンもいた。書き起こすことで取材対象の思いもわかるし、ディレクターの狙いもわかってくるから、次回の取材時にはどんな映像を撮ればいいかもわかる。 今の制作現場は、カメラマンがそんなことをする余裕がないのかな。ディレクターもやらないくらいだから。 取材に行って、まずはカメラを回せるだけ回す。そんな取材方法を取る制作陣が増えた。カメラマンは何のためにこの映像を撮っているかを理解しないまま、ただ回す。取材に行く毎にカメラマンが変わるようなことも多くなったし。そうなると、“回すだけ”以上のことを期待する方がムリなのかも。 ぼくはテープを書き起こした分をディレクターに送る。同じモノを持っていてもらった方が仕事がしやすいから。それはこの仕事をはじめた時からずっとそう。 驚いたことが一回。某局で仕事をした時、同じ分数、同内容の番組でギャラが半分だったことがある。「?」と思う間もなく、プロデューサーが「今回はウチのディレクターがテープ起こしをしましたから」だって。つまり、彼にとっては、ぼくの仕事は“テープ起こし”がその半分を占めているということなのだった。 結構、驚いた。 テープ起こしは基礎の基礎。本来はディレクターが自ら起こし、ぼくらスタッフに渡すべき性格のモノ。やって当たり前、そこから編集室での番組作りがスタートする。ぼくが起こしたモノをディレクターに渡すのは単なる“サービス”に過ぎない。渡す義理など、ほんとはないのだ。 それが「ディレクターがテープを起こした」から、構成係のギャラを半分にするという思考ってのはびっくりものだなぁ。誰がやるべき仕事なのかをプロデューサーもわかってないってことだから。 そんな考えだからだろうなぁ。いざ編集になると、「どこにどんな映像がある」とか「こんなインタビューもある」ということをディレクターよりもぼくの方が知っていることが多いのは。 まずいんだけどな、それって。 どんなに立派な構想をしても、素材は取材テープしかない。それを組み上げていくことでしか、番組はできないのは厳然たる事実。でも、せっかく苦労して取材してきたテープをなめるほどに見切っているディレクターがガックリ減った。 自分が撮ってきたモノなのに、大事にしないね。 みんな、忙しいんだろうなぁ。 さてさて、きょうも取材テープがダビングされたDVDを見ますかね。結構、おもしろく、興味深い内容だから、見ていて飽きない。カメラマンがディレクターを兼ねているけど、その人の思い入れが強いからだろうな、やっぱし。 思い入れのない番組は、素材を見てもすぐわかる。 取材対象に失礼だよね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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