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カテゴリ:制作現場
さてさて転職のお話ですが・・・。 ぼくは自分自身が転職を繰り返してきたので「仕事場&職種をかえたい」という相談があった時に「思いとどまった方がいいよ」と言ったことはありません。 人が「こうしたい」と思うことを本人以外が止めることはできないと思っているからでもあります。 ですから、Aさんが今いる会社を離れて新たなスタートを、と考えていられるならば、「どんどんやれ~!」とエールをおくります。 しかし、今が転職の時機か?と尋ねられると「う~ん・・・・」と思案してしまいます。 先日の新聞にも掲載されていましたが、テレビ業界は経営的にガタガタで、民放キー局の売り上げは合わせて数百億円のマイナス。 Aさんも現場で実感されていることと思いますが、その影響は確実にローカル局にもあらわれていて、制作費のカットはえげつないほど。 局の番組作りを受注する制作会社はそのえげつなさの直撃を受けるので、経営的にはとても厳しいようです。 でも、こういう時機・環境だからこそ、制作経験のあるスタッフを欲しがっているプロダクションは確実にあることと思います。 局自体は制作を外部に出そうとする動きが顕著で、今後経済環境が好転しても局が制作スタッフをかかえることはないでしょう。 そうなると制作会社への発注は増えてくる可能性はあります。その時まで制作会社が生き延びるということが前提ですが。 「ドキュメンタリーを作りたい」と思われているようですね。心強いです。 しかし、プロダクションでドキュメンタリーを作るのは、現在の経済環境ではかなり難しいでしょう。なんせドキュメンタリーにはスポンサーがつかないですからね。 ぼくの知る人で、ずっとキュメンタリーを作ってきたディレクターがいます。今、40代半ばでしょうか。 その人は社長直々に「もうドキュメンタリーは作らんでいい」と言われ、悩んだあげく、やはりドキュメンタリーが作りたいと退社して自分のプロダクションを立ち上げました。 幸いなことに彼の会社は順調らしいのですが、ドキュメンタリーを作りたいという本人の思いはまだ実現していません。 企画はあるのですが、局に話すと「スポンサーを連れてきて」との返事。きついですよね。 でも、自分で企画を持ち込むことが出来るのは、それだけ自由だとも言えます。 ぼくはドキュメンタリーという番組の形が消えることはないと思っています。 番組としてドキュメンタリーが他の番組形態より優れていると言っているのではありません。ぼく自身、よく見るの情報番組・娯楽番組ですし、テレビというのはやはり「楽しむ」ためにあると思っています。 しかし、民放キー局とローカル局とでは、その存在する意味が違うんじゃないでしょうか。 キー局はまずスポンサーありきです。企業から巨額なお金を預かり、その製品を消費者に認知してもらう。そのためには、多彩な人たちに広く見てもらえる番組を作らねばなりません。 どうしても「量」が問題になりますよね。 「量」が問題になるのはローカル局が制作する番組も同じです。しかし、ローカル局の存在理由は、それが第一ではないと思います。 地域で起こるさまざまな出来事の中から、制作者が伝えたいと感じること、伝えるべきと信ずることを拾って視聴者に届ける。それがローカル局が存在を許されている理由だとぼくは思っています。 だからこそ、市場規模を無視してまで、日本の各地に放送局が置かれているんでしょう。 ローカル局がその存在意義を果たせるのは、報道と情報番組とドキュメンタリー番組、その三つ。その中で制作者が抱く疑念や情熱を注げるのはドキュメンタリーというフォーマットが一番向いている。ぼくはそう思っています。 デジタル化が落ち着いて、経済状況が上向いてくれば制作現場にも活況が戻ってくるのではないかとぼくはほのかに期待しています。 ちょっと先の話ですが。 しかし、その時は(現在もですけど)テレビの世界も以前のような殿様商売は出来ず、インターネットなど放送以外にも手を広げて行かなくてはならないでしょう。 テレビで放映する番組以外のフォーマットを考えつつ仕事の出来る人をプロダクションは欲しがることと思います。 なんてことを考えてくると、転職は「今」がいいのか、少し様子を見た方がいいのか・・・。 難しいですね。 どこか会社に打診してみましたか? 先日、某局の偉い方と話す機会がありました。その時に、その方は「経営的に厳しくても、ローカル局を救うのは結局制作力だ」と断言されていました。 ぼくもそう思います その制作力を社外に求めようとする動きはこれからも加速するでしょう。Aさんの新たなステージもそこに求められるかもしれません。 とてもあいまいな言い方で申し訳ないのですが。 近いうちに、一杯やりましょうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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