悪ガキ。
♪今日のBGM=Clash 『Clash On Broadway』-------------------------------「タイムスリップ・グリコ」なるチョコを買った。商品のサブタイトル(?)は、“青春のメロディーチョコレート 第2弾”2個しか入っていないチョコレートが音楽をかなでるわけでなし、昔のヒット曲が1曲入ったCDが売り。第1弾は、あっと言う間に売り切れ、このCDを集めるマニアも出現したらしい。何気なく買って、出てきたCDが、これ。「ギザギザハートの子守唄」チェッカーズ。九州 > 福岡県 > 久留米市出身の7人組。この曲でデビューしたのが83年だから、ぼくにとっての「青春のメロディー」では、もはやない。しかし、80年代前半はときどき行っていたカラオケで、♪ちっちゃな頃から悪ガキで~♪と、歌っていた覚えはある。---------------------ぼくは、悪ガキではなかった。ひ弱な、母親の姿が見えないとすぐ泣き出すような、情けない子どもだった。中勘助という作家に『銀の匙』という作品がある。それに出てくる主人公のような、引っ込み思案の、おんば日傘の似合う(してもらったことないけど)子ども。『銀の匙』と言えば、会社員時代に女性から「なにか、おもしろい本、ない?」と尋ねられ、すすめたことがある。その後、なんの反応もないから、--あの本、読んだ?ときいたら、--あ、途中でやめた。つまんないんだもん。あっさり言われた。あぁ、かわいいお顔をしていても、ぼくとは感性が合わないのね・・・。ちょっと悲しかった。話がそれた。もとへ戻そう。----------------------ぼくは、小学校6年間の真ん中3年間ちょい、親戚に預けられていて、夏や冬の休みの間だけ、母親の元に戻っていた。新学期が近づくと、預けられていた親戚の家に戻るのだけど、まぁ、そんなもんだと思っていたから、別段つらくはなかった。しかし、親戚の家ではやはり借りてきたネコ助状態で、ただでさえ情けない泣き虫が、もっと内に凝り固まったガキとなる。別に親戚の家でギャクタイを受けたからでもなんでもない。それよりも、本当は預かりたくもないだろう泣き虫小僧によくもあたたかく接してくれたと、今になってびっくりするほどよくしてくれた。要は、自分の受け止め方なのだな・・・・・・。自分がおとなしいからだろうか、活発な子どもがうらやましい。勉強はできたのだけど、そんなもの、ちっとも嬉しくない。授業中は、いるかいないかわからないような、それでいて、休み時間になると雨が降ろうが、雪が積もろうが、校庭へ走り出ていく、そんな級友が、心底うらやましかった。ぼくは、ことあるごとにカゼをひき、かかりつけのお医者さんが大きなバッグに「○○ちゃん用」と書いた薬袋を入れてやってきた。胸に聴診器をあて、呼吸の音を聞き、--はい、いつもの通り。と言って、薬袋を置いて帰っていった。そうだ、ぼくはカゼっぴきで、小学校の入学式の日も布団の中で寝ていたのだ。晴れの式典に出られない息子に代わり出かけていった父親は、なぜかリンゴを持って帰ってきた。小学校5年生になるとき、入学した学校へ戻った。出戻りだ。教室で転入の挨拶をしたとき、見知った顔がパラパラいる。幼稚園、そして、小学校1年生のときに同じクラスだった連中だった。みんな、「どこかで見た顔だ」という目で射すくめる。異邦人を見る子どもの目は、おそろしい。ぼくは、本気で恐かった。----------------------学校を出戻ったぼくは、それをきっかけに悪ガキになりたかった。でも、なれなかった。成績のいい、“よゐこ”のまんまだった。「結局、自分は自分のままなんだ」10歳で自分の限界を知った気がした。数年前、小学校の同窓会が30数年ぶりにあった。出席したぼくを見た当時の担任の先生は、ひと言、--大きくなったわねぇ!・・・・それから言葉が続かない。言うべき事柄が見つからないのだ。それは、級友たちも同じで、誰もが「大きくなったなぁ」とは言ってくれるものの、反応はそこ止まり。彼らと同級生だったころ、ぼくは身長150センチを切っていたし、体重も30キロなかった。やせっぽちで、確かに、ちっこい。それから30センチ伸び、50キロ太れば、その感想は、「大きくなったなぁ!」となるだろう。そりゃそうだなぁ・・・・。しかし、会話が続かないのが、ちょっと悲しい。ぼくは、中学を卒業するころから“成績のいいよゐこ”ではなくなった。それを彼らは知らない。あの頃の印象のまま、ぼくに接する。「違うんだよ、オレは変わったんだよぉ」と、おやぢになった今、改めて言うのもまた変で、みんなの抱く“あのころのこいつ”を演じるハメとなる。えらく奇妙だけど、彼らが持つその印象に合わせないと、逆に居場所がなくなる、そんな感じ。あのころ、悪ガキだった級友は、スーツなぞ着て落ち着いている。アタマも薄くなりかけて、社会を担う立派なオトナだ。が、分別顔も最初だけ。みんながやいのやいのと話しかけ、あのころのままに悪ガキと化す。ぼくは、幼い頃の記憶が薄い。「ほんとに小学校、行ったんだろうか?」そう思うくらい、断片的なものしかない。楽しい想い出は皆無だ。自分にさえ印象が残ってない時代、他人が覚えているわけもない。やっぱり子どものころは悪ガキに限る!15で不良と呼ばれてもいいじゃないか。成績優秀な子どもには、想い出なんて残ってないぜ!----------------------と、思いながら、聞こうと思ったチェッカーズ。しかし、うちのCDプレイヤーは、アダプターがないとシングルCDは聞けないのだった!そんなわけで、悪ガキ話を書きながら、聞いているのはイギリスの悪ガキ、The Clash。リーダーのジョー・ストラマーは、50歳で世を去った。その年齢に、ぼくも確実に近づいている。あたり前だけど。番組構成師の部屋“ネコ助-Aoi's Room"←写真&プロフィール追加。