テーマ:☆詩を書きましょう☆(8463)
カテゴリ:街にたたずむ人々
アイラは話を続けた
「私はどうしても、他人に自分の本音を話せない」 「それで、その精神科の先生が言うには、本音なんて出さなくていいのですよ。カリメロって知ってますか?」 「ああ。殻をかぶったヒヨコのアニメね。昔やってたね。」 「うん。カリメロになりなさいって言うのよ」 「どうゆうこと?」 「だから、人前ではずっと殻をかぶって生きなさいって言うんだよね。それで、家に帰ったら、その殻をとってもいいって。」 「殻ね。自分を偽って生きろって事?」 「うん。だけどアイラはまだ、殻をかぶるのが苦手でね。それを一番理解してくれたのが今の彼でね…。会った時は本当に好きになれそうだったな~」 アイラは少し涙ぐんだ。いつもは面倒なアイラの長話も 今はとても安らぐ。 それから3時間以上も、その彼の最近の暴力行為について聞かされた。 僕はずっと、自分が卵の殻をかぶっている姿について考えながら、あいづちを打っていた。 (2007) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[街にたたずむ人々] カテゴリの最新記事
|
|