★ハワイで暮らす日々　BY CHIYO★

私の生徒の中に、韓国人の兄妹がいる。

ストレートヘアでおしゃれが大好きな
６歳の妹はおしゃまでかわいいが、
１０歳の兄は、他に類を見ないくらい短気だ。

曲が思ったように弾けないと、
だんだん顔が真っ赤になってきて
途中で弾くのをやめてしまったりする。

「どうしたの、続けて」と言っても
「弾けない！　難しすぎる！」
とすごい形相で楽譜をにらみつけるだけ。

以前は私も、彼を励ましたりなだめたり
お説教しようとしたりもしたが、
今はもう、彼の怒りがおさまるまで
何をしてもムダだということがわかっている。

「弾きたくないなら、弾かなくていいわよ。
妹に代わって。」と言うと、
憤然といったん部屋の外に出て行く。

そして、怒りがおさまると、
ちらちらと私の顔を盗み見ながら、
また入ってくるのだ。

こうなってからさりげなく
「あ、ちょっと、帰る前にあの曲もう１回だけ弾いて」
などと声をかけると、
「ＯＫ！」とほっとしたようにピアノの前に座って弾きだす。

一度私は、彼の態度の悪さにキレてしまい、
「あなた、ピアノが嫌いならもう来なくていいわよ！
私はピアノの楽しさをみんなに教えてあげたいだけなの。
なんであなたと喧嘩して、悲しい思いをしなきゃならないの？」
などとまくしたてた。

「あの子、やめちゃうかな・・・」と１週間気にかかっていたが、
次の週おずおずとやってきて、
私がちょっと咳をしたら、今までそんなこと言ったことないのに
「大丈夫？」ときいてきたのには笑った。

短気はソン気という言葉があるが、
本当にかわいそうな性格だと思う。
　
ピアノが嫌いなわけでもないし、
普段は私となかよく話をする。
ただ、時々感情のコントロールがきかなくなるのだ。

韓国人には、という言い方をするのは
よくないかもしれないが、
このタイプの人が多くみられるように思う。

見るからに感情の起伏が激しそうな人ばかりではない、
普段はおとなしい人でも、怒るとすごい。

そういえば、その男の子の妹の話では、
最近彼が何か悪いことをしたので、、
おとうさんが怒って、その男の子のゲームボーイを
手で割り、床に叩きつけ、足で踏みつけ、
全部壊してしまったそうだ。

おとうさんはお医者さん。
静かなタイプに見えたのだが、すごい怒り方だ。
もしかしたら、あの子の短気は遺伝かも・・・。

一度パズルをしてて、いきなり
「ああ、このパズル全然わからない、イライラする！」と叫ぶと、
全部くずかごの中に投げ捨ててしまったこともあったっけ。

そういえば、昔クラスメートの中にも
人の宿題を写してるところを先生に見つかって怒られ、
いきなり教科書を床に叩きつけた男の子もいた。
自分が悪いのに・・・。

韓国人の仲のいい友人に
「みんな、どうしてそんなに怒りっぽいのかしら」と言ったら
「キムチのせいって、よく言われるわね、アハハ」
と笑っていた。

でも、韓国人と一度仲のよい友達になると、
とっても頼りがいがあることも事実だ。

家族の絆も強く、礼儀を重んじるところが
ひと昔前の日本を感じさせる。

要するに、どこの国の国民性も同じで、
よいところと悪いところがある、ということになるだろう。

ところで、ヨン様でも、そんな風に激しく怒ったりするのだろうか？