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テーマ:モバイルよもやま(4414)
カテゴリ:工夫
インフラ分野では、single point of failureを洗い出して冗長機能を吟味の上、あらゆる部位の正常稼働監視機能と、異常時のリスクに応じた代替制御機能を設けて、実試験を重ね、実際の運用を開始してもらうことで、私たちの安定した快適な生活はなりたっている。そうした設計、構築、運用、保守をする関係者の努力があっての賜物と、有り難く思うのだが、今回、社会が静止する羽目になり、今更のように、この克服する努力の大切さを思った。
システム、流通分野において、この検討視点は、基本なのだが、モバイル通信の新規事業者では、目論見どおりとはいかなかったらしい。 在宅勤務や移動先など固定的ではない状況での、大容量での通信手段として、クラウドSIM技術を実用した容量無制限の安価なデータ通信サービスが、昨年から活発に販売されたが、今回の急激な需要増と、中国での生産・流通抑制により、ほとんどの業者がサービス劣化と新規販売の停止に追い込まれ、業務停止になった。 派手なコマーシャルをうった後発業者の中には、先行社での通信速度低下の原因は、調達していた回線の不足にあって、自社ではそのようなことはない回線を調達しており、自社ではありえないと喧伝していたが、ほどなく同じ羽目に陥った会社もある。 クラウドSIM技術を採用して、複数のキャリアが提供する複数の通信網を使用することにより、単一のキャリアのみには依存せずに、大容量の移動体通信を安定的に広域に安価に実現したとのふれこみであったが、SIMサーバーの運用事業者の管理能力次第で安定性が決まったようだ。 SIM自体のキャリアからの調達・増設の能力の限界、通信の負荷の監視とそれに応じた分散制御の能力の限界が、今回の通信需要の増大、キャリアからの供給ネックの発生、販売する端末自体の中国からの供給ネックの発生によって、露呈することになり、サービス・販売の継続が困難になったようだ。 実システムは、結局、一番安価に調達できた単一のキャリアの回線に依存し、ユーザーに提供可能な端末は、ぼほ単一の製品に限られ、供給ルートも、中国経由のみであったらしい。 乱立する販売代理店からのひかり回線の売り込みにうんざりすることがあったが、このサービスでも販売会社が乱立したようだ。実際のシステムは、どこも同じで、抱えるリスクも同じで、多数の販売会社が手を変え、品を変えて宣伝をしていたようだ。 今回の混乱の中でも従来からの移動体データ通信を利用する人には問題は生じておらず、被害には遭わなかったが、新たなこの手のサービスを利用していた人からの不満はとても多い。 安さが人をひきつけていたので、社会が再稼働しはじめたら、淘汰に生き残れた業者同士で、また、販売競争が始まるような気がする。格安のデータ通信サービスは、SPOFの克服に努力するインフラ事業とは、違うレベルの商いと思っておいた方がよいらしい。 案の定、後日、総務省より指導が入りました。詳細はこちら、「無制限」で法令違反 先人の偉業録 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jun 21, 2020 07:58:00 AM
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