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2006年11月02日
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カテゴリ:超カテゴリ
やっぱり、乱歩はおもしろい。


さて、乱歩の時代。
正確に言うと、乱歩も晩年の頃だったのだが、神社のお祭りに登場した「見せ物小屋」に、私は引き寄せられ、ついにはお金がないのに、「お代は見てのお帰り」と言われたことをいいことに(何がいいんだかよくわからないが)、中に入ってしまったのだった。

そこは、文字通り、現実の別世界。
大衆のざわめきや汗のニオイ。まあ小さな街のお祭りの見せ物小屋だから、そこまでは行かなくても、何か、得体の知れない、緊張感をこどもながらに感じたのであった。

見せ物小屋の中にはいると、入り口側が舞台だった。そういえば、前口上のおじさんの後ろから「ヘビ女」が顔を出していたわけだから、そういう形になる。
お客は、地面から斜めに組まれた板床の上で立ち見である。思ったより、場内は混んでおり、40人くらいのお客がいたと思う。でも、同じ町内だというのに、私の知っている顔は誰もいなかった。
なんか、わくわくして不安な気持ちを全く持たない私であったが、ついつい子供心にどこで見ようかなとうろうろしてしまう。決断が鈍いのである。上の方に行こうかなと、板床の後ろの方に行くと、いかんせん、まだ7、8歳くらいの私は背が低く、大人たちに阻まれて前がよく見えなかった。しょうがないから、前の地面の方に降りてみる。
舞台と言っても、地面の客側との間にロープが張ってあるだけ。前口上を外でしているおじさんと舞台の間は控え室だろう、少しテントで部屋が組まれている。あの中にヘビ女のおミネちゃんとか、こびとのミーちゃん、二つのクビの赤ちゃんがいるのだ。
でも、どこで見ようか。とうろうろしていると、ロープ際から「ねえねえ、ここで見なよ」と、浴衣を着た上級生のお姉さんらしい二人連れに声をかけられた。知らない人である。子供の時って、4つか5つ上の上級生がずいぶん大人に見えたものだ。高校野球なんか「おっさん」がやっているのかと思っていたが、今ではいつの間にか自分の子供と言ってもおかしくない、いや下手すると孫くらいの歳の子がやっているわけだ。
お姉さんたちは、自分たちの間の前に私を置いてくれた。特等席である。舞台やや上手の一番前である。いつも遊んでいる神社の地面が、今日は別の場所に見えていた。

「あたしたち2度目だからいいよ」とか、私に説明してくれている。手には紙で作った綺麗なひらひら。縁日で買ったアンズ飴とか林檎飴をなめながら見ている。もう一回後ろを見回したが、やはり知っている人はいなかった。みんな飴とかお菓子とかイカ焼きとかトウモロコシとか食いながら見ている。いいな、と思っていたら、急に場内に民謡みたいな浪花節みたいな音楽が流れはじめた。「ほらほら!始まるよ、君」とお姉さんが言った。

音楽とともに、舞台側の壁のテントの布が開き「うおおーーー!!」と、先ほどのヘビ女が出てきた。箱の上に座っている。「食うぞおーーー!」と、持っていたビンからヘビをつかみだした。うわー!と大人たちが歓声を上げる。
ヘビ女はターザンみたいな衣装に身をくるんでいたが、よく見ると、美人だった。いや、子供の頃は、化粧をしている大人のおねいさんは、皆美人に見えるのである。でも、今思い出してみてもたぶん美人だったと思う。オスカー系の石川亜沙美とか米倉涼子みたいな感じのおねいさんだったと思う。
その石川亜沙美がアオダイショウをかじっているところを想像していただければ差し支えない。
まあ、石川亜沙美も今では結婚しちまったからどうでもいいけど、こどもの頃会ってれば、好きになったに違いない。

ひゃあーー!
後ろに立っている大人たちから声が上がる。こういうのは大人になってから見ると気持ち悪いのだと思う。子供の時は平気でミミズやムカデ、ゴキブリがつかめたけど、大人になると気持ち悪くてつかめなくなるのと同じだ。

♪チャンチャカチャンチャンチャンチャカチャンチャン♪

「あ、出てきたよ、ほらほら、こびと」お姉さんの解説付きだ。書くのに憚る表現だが、お姉さんの表現の自由の権利を守るべく、記憶したままに書きとめておく。鳴り続ける民謡だか浪花節をBGMに、もう一つの布の間から、出てきたのは、こびとの女の人だ。ミーちゃんである。私と同じくらいの大きさだった。綺麗な和服だかドレスだか、何とも着かない派手な色彩の服を着て、目立つ!!
サササッと小走りにやってきて現れた。やはり、顔はジャイアント馬場だ。でも化粧している。
「皆さんこんにちわ!」
シーン・・・
「あらいやだ、元気がない!大きな声で、ハイ!皆さんこんにちわあー!」
しょうがないから「こんにちわー!」と私も叫んだ。場内は大人が多いかと思っていたが、やはり子供も多く、そういう意味でも、こびとのミーちゃんはそういう演出を加えた挨拶をしたのだろうか。やっとみんなから元気な声で挨拶が返った。
「ハイ、こんにちわ。元気ですねー●●町のみんなは!私はこびとのミーちゃんです。よろしくお願いしマース」
「さっきと同じだね」とかお姉さんたちが話している。
ちらっと、こびとのミーちゃんは、私とお姉さんたちの方に目線を流した。(つまり一瞬ガンを飛ばしたのである)

いよいよ、「見せ物小屋」の開幕である。

鳴る拍手。
うつ鼓動。

(つづく)



予告!
今回、再放送の補筆版でありますが、最終回のあとに、新しい結末が待っています。

題して「見せ物小屋の退場」!!










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Last updated  2006年11月05日 22時18分32秒
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