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2009年02月07日
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カテゴリ:記憶の宝箱
一昨日、日記に書いた、ミステリ作家・泡坂妻夫氏の訃報。

昨夜(2/6)通夜に参列。
思ったより、こじんまりとして、派手さもなく、参列者も親しい人のみだったのか、そう膨大な人数でもない、いかにも、泡坂さんらしい葬儀だったのかもしれない。

普通、ミステリファンが作品について語る時、既に高名な作家についてがほとんどなのだが我々にとって、泡坂さんは、デビュー当時から知っていて、新人作家と、大衆文学青年たちという付き合いのもと、いろいろとお世話になりながら、時代を歩んだ。当時若かった自分と一緒に育ってくれた仲だったような方だった。
それだけに、身近な作家さんで、訃報はショックだった。


1976年、今は亡き探偵小説専門誌「幻影城」の新人賞において「DL2号機事件」でデビューした。彼の創造した名探偵亜愛一郎のデビューでもあった。
松田優作の主演で映画化もされた「乱れからくり」で推理小説協会賞を受賞し、泉鏡花賞、直木賞と順調に,才をのばされて行った人である。
賞はあくまでも、単なる勲章。
ミステリの大家とまでは行かずとも、ある種の技巧では、氏の右に出る作家はいなかったとも言える。

彼がデビューした当時、一応ミステリマニアの端くれだった私は、その雑誌「幻影城」の読者を代表して、まだ無名の泡坂妻夫氏にインタビューをしたことがある。

その時の一番の想い出は、「ダマされた!!」ということだ。

というのは、氏の本名は「厚川昌男」で、「あつかわまさお」のアナグラムでペンネームの「泡坂妻夫」となったことは、ファンの間では常識となっている。

ところが、デビュー当時に私が発した「ペンネームの由来は?」という質問に、彼はこう答えたのである。
「家の近所に泡坂という坂がありまして、そこから取りました。妻夫は、妻への感謝の意味で、妻・夫、と・・・」

で、それを記事にして、実際に「幻影城」でも、その「インチキ」ペンネームの由来が掲載されてしまった。

で、のちに、本名からのアナグラムということを知って、氏に再びお会いしたときに、「泡坂さん、ペンエームの由来、ダマされましたよーー!!」と責めてみたんだが、「へへへ、すみません、あの時は、恥ずかしくて、嘘ついちゃいました」と、ニコニコされてしまっては、文句のつけようもない。

そういう人柄だから、私の身の回りでは、氏のファンが多く、もちろん、作物も優れていてこそだが、我々のミステリ同好の集まりには、よく顔を出していただき、紋章上絵師という本職以外のもうひとつの本職「手品」をよく披露していただいた。

最後にお会いしたのは、2003年3月、あるパーティのときであった。

そういう、私の人生に大きく関わっていた集まりで、よくお会いしていた泡坂氏。
先に記した通り、単なる「作家と読者」という間でもなかっただけに、訃報は、ショックであった。

急性大動脈乖離、享年75歳。
地道にこつこつと活躍されていながらも氏には死は突然訪れた。

まさか、鬼籍に入ったこと自体も、彼のトリックではないかとも・・・・


泡坂妻夫という作家は、単なるミステリ執筆者ではない、私の「想い出」でもある。

その想い出に、心を込めて合掌して、追悼としておきたい。





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Last updated  2009年02月07日 22時47分39秒
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