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カテゴリ:読書
なんとなくジャンルの違う小説が読みたくなって、久しぶりに外国文学を。
ウクライナ人の両親を持つイギリスの女性作家、マリーナ・レヴィツカの自伝的要素もある作品、「おっぱいとトラクター」。 84歳の元エンジニアの父親が、移住・金目的で近ずいてきた、ウクライナ人36歳の超ボイン女性と再婚宣言。あわてた二人の娘は、亡き母の遺産分配をめぐって対立していたが、一時休戦。 案の定、事実上の婚姻生活(性的)はなく、女は浮気はするは、車を何台も欲しがり財産を食いつぶすは、父親の虐待までする始末・・・ 姉妹は何とかかんとか、奮戦して結婚を無効とし離婚成立させ、女をウクライナに送還する事に成功。 コミカルなタッチで描かれていて、クスット笑える部分もあるが、姉妹の父母・祖父母のウクライナでの、帝政ロシアからソ連への過渡期間の苦渋の時代、第2次大戦中のドイツ軍の収容施設での死と隣り合わせのような生活。戦中に生まれた姉(収容所での体験)のトラウマ。戦後、一家がイギリス移住後に生まれた妹との、心理的溝等々がうまく挿入されていて、この物語を締りのある物にしています。 我々日本人には分りにくいウクライナ人の心情や、イギリスの移民問題(全ヨーロッパの問題だろうけど)も、考えさせてくれます。 ヨーロッパで話題となりベストセラーになったのも、うなずけます。
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最終更新日
2011年07月29日 23時42分52秒
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