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カテゴリ:読書
高村薫さんの「優子情歌」上・下を読みました。
2002年に出ているので、いささか古い作品ではありますが、母親である優子から漁船員として働く息子への手紙そして息子の身辺、高村さんらしい細かな描写を通して、昭和初期から現代(昭和50年頃)までの時代の日本の様相が、重層的に描かれています。 高村さんの作品ですから出た当初から読もうと思っていたのですが、それまでの高村作品「レディージョーカー」や「照柿」等とは異なった感覚なので手が出のびませんでした。でも「新リア王」「太陽を挽く馬」を読もうと思うと、「優子情歌」からの三部作ともいえるので、まずは優子を読まないと次に進んでも話がつながりそうにないので、やっととの感じで読んだ次第。 それにしても、高村さんどの作品でもそうですが描写が細かい。徹底的に細部にこだわりながら、骨太の話が流れていく。すごい筆力とそして時代を見る目の深さを感じます。 「冷血」上・下も出たので、リア王・太陽のあとに読もうと思っています。 面白おかしい小説ではないので、だれかれ構わずお薦めはしませんが、じっくりと時代の流れ、人間のありようを考えたい方には、お薦めの作家高村薫さんの作品です。 ちなみに上・下別々に古本で買ったのですが、両方とも初版でした。だからどうと言う事もないのですが、少し嬉しく思うのはなぜでしょうね・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2013年01月14日 14時23分18秒
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