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2009年02月01日
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耳なし芳一からの手紙

光彦シリーズも30以上も読んで来て、最近肝に命じてたことがあるんだ。

光彦シリーズには、たいがいプロローグがあるんよね。

なんせ、プロローグっていきなり訳のわからない事が語られはじめるわけで意味が分からないんよ。

で、意味が分からないから頭にあんまり残ってないんだよね。

プロローグというのは、何十年もの前の事件の発端の出来事であったり、背景が全然分からない事件そのものであったりするから超重要なのに忘れちゃってるんよ。

で、肝に命じてるのが、

”読んでる途中に何度もプロローグを読む!”

”しょっちゅう読む!”

”一端読書が中断してて、その次また読み出す時はとにかくプロローグから読む!”

ってことなんだよね。

忘れていたプロローグを、もう事件が半分解決したころになって思い出すのが悔しいんだよな。

もっとプロローグを意識して読んでたら

”事件のキーポイントにもっと早く近づけたのに…(^_^;)”って悔しい思いをするんだ。

で、昨夜読み終った『耳なし芳一からの手紙』なんだけど、ものすごく引き込まれてしまってね、途中からはほとんど一気に読んでしまってプロローグを読み返すって大事な作業を後半怠ってしまったんだよなぁ(^_^;)

あ~あ…(^_^;)

今回もやられてしまった(>_<)

あっと思った時にはもう遅くて、プロローグに出てた人物が途中から重要人物として登場してたんだ…。

”あの子がこの人だったんだ…(^_^;) プロローグを意識してたら解ったのになぁ… ちっくしょう!!”

次の本こそ、ちゃんとプロローグを意識して読んで、光彦よりも先に事件の真相に迫ってやるんだ!


で、そんな事より、この本には僕の好きな小説からの引用文があったんだ。

「藤原てい」さんの『流れる星は生きている』という小説からなんだけど、その内容をかなり長く引用転載されてるんよ。

その引用文を全部載せたいんだけど、文庫本でみっちり2ページ分ぐらいもあるんで、その中のほんの一部を載せるね。

人間のかたまりは動き出した。私は右手に正彦を抱きかかえ、左手に正広の手を持って、咲子を背にリュックを首にぶら下げて人の群れのあとを追った。足もとにはリュックや缶詰がいっぱい捨ててあった。ぴゅっと吹いて来る風雨は痛く頬を叩き、ほつれ髪が眼にはいっていくどか立ち止まらなければならなかった。
(藤原てい著、『流れる星は生きている』より)


この本は、藤原ていさんの実体験を小説にしたもので戦後ベストセラーになり映画にもなってると思う。


流れる星は生きている改版

藤原ていさんが満州で終戦を向かえ、三人の小さな子供を連れて一年半以上もかかって朝鮮半島を南下して長野県の諏訪市の実家へたどり着くという、そりゃぁもう壮絶な物語だったんだ!!

でね、僕がこの本を知ったのは、もう10年ぐらい前なんだよね。

上の茶色の文字の引用文に出て来る「正彦」とは何年か前に『国家の品格』で流行語大賞を取った「藤原正彦」さんの事なんだ。


国家の品格

藤原正彦さんは、その時まだ2歳だったんだよ!

よくもまぁ生きて日本に帰って来れたと思うよ。

お母さん、つまり藤原ていさんって人が本当に頑張ったんだ!

一年半も地獄をさまよったようなもんだもんね。

しかも小さな子供を三人も無事に連れ帰ったんだから、ちょっと信じられないような体力と精神力の持ち主だったんだろう。


『耳なし芳一からの手紙』が書かれたのは18年も前だから藤原正彦さんはまだ世間的には無名だったと思うので、作者の内田康夫さんもその事には触れてられないけどね。

だけど藤原正彦さんはエッセイストとしては既に有名で何冊かエッセイ本を書かれてて、僕は10年ほど前にそのエッセイ本と出合いその流れで正彦さんのお母さんの藤原ていさんの『流れる星は生きている』という素晴らしい本を読むことも出来たんだ。

因みに正彦さんのお父さんでていさんの旦那さんは新田次郎さんという山岳小説で有名な作家さんなんだ。


でね、内田康夫さんが、この『流れる星は生きている』を長~くを引用されたのは、『耳なし芳一からの手紙』の根元にある重要な事柄にリアリティを持たせたかったからだと思うんよ!

だから『流れる星は生きている』をすでに読んでた僕には、内田さんが伝えたかった事をびんびん感じることが出来てラッキーだったと思った。

先に『流れる星は生きている』を読んでから『耳なし芳一からの手紙』を読めば、この本をよりリアリティを持って読むことが出来ると思う。

なんせ『耳なし芳一からの手紙』の第八章のタイトルは、「流れる星は死んだ」って酷いタイトルなんだけど、これって思い切り『流れる星は生きている』を意識して書かれてる証しだもんな(^_-)


それと、この本の中に

”「もっとも怪しい人物は犯人ではない」という、推理小説のセオリー~”なんて事が書いてあった。

だったら、やっぱり『Rの刻印』の犯人は光葉では無いのかなぁ…。

「アンクの書」を別にした「本編」では光葉ひとりがやたらと怪しい動きをしてるもんな。

「アンクの書」の内容をミスリードとするか「本編」の内容をミスリードとするかってところが、『Rの刻印』の謎解きのキーポイントなのかもな…。





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最終更新日  2009年02月02日 02時45分37秒
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