カテゴリ:社会科(地理・歴史)
このあいだ、里中満智子さんの講演を拝聴させてもらったんよね♪
お聴きしてた時にはとても印象的なお話をたくさん聴かせてもらったのに、ほとんど覚えてないんよ(^_^;) でね、このあいだ注文してた万葉集と日本書紀が届いたので、ぱらぱら見てたら里中さんのお話をひとつ思い出したんだ(^^♪
近頃の男性は軟弱でダメだ!昔の男性はもっとシャキっとしてた!なんて事を言うけどそんな事はない! 1300年前の舎人皇子(とねりのみこ)という人は、とても情けない歌を歌ってるんだ! 片思いが苦しくて苦しくてたまんない! 恋しくてしかたがないよ! なんて、めちゃ素直に自分の情けない片思いを歌にしてる! 里中さんは、かなり長い時間を使って、この舎人皇子の片思いの歌のお話をなさってた。 舎人皇子というのは父親が天武天皇で母方の祖父が天智天皇という、バリバリの血筋なんだけど、地味な存在であんまり歴史に登場してないようなんよね。 だけど、なんせ血筋がすごいから、元明・元正天皇のころにも皇族の中の長老として存在してたし、舎人の息子の大炊王(おおいおう)は淳仁天皇として即位してる。 もっとも淳仁天皇は藤原仲麻呂(ふじわらのなかまろ)の傀儡でしかなかったし孝謙・称徳天皇(←阿倍内親王が一人で二度即位してる)のはざまの短い時間だけしか天皇ではなかったんだけどね。 里中さんのお話をすっかり忘れてたんだけど、届いた万葉集の中に、この情けない素直な片思いの歌を見つけて、ぱーっと思いだしたんだ。 ますらをや 片恋せむと嘆けども 醜(しこ)のますらをなほ恋ひにけり 「男たるもの 片想いなどに悩むものかと思っても わたしは見苦しいことに それでもあなたに恋しているのだ」 でね、この歌は舎人娘子(とねりのおとめ)に詠んだ歌で、その舎人娘子からの返歌があるんだ 嘆きつつ ますらをのこの恋ふれてこそ 我が結う髪の漬(ひ)ちてぬれけれ 「嘆き嘆いて 男であるあなたが 想っていてくださるから わたしの髪は濡れてほどけてしまうのね」 これを読んで ”あ~!これ知ってるぅ!” って思ったんよね。 『天上の虹』の終わりのほう20巻第57章「黒髪」の中で、のちに元正天皇になる氷高皇女に、その妹でのちに長屋王の妃になる吉備皇女が、この歌の事を話して髪を結ってもらってるシーンがあったんだ。
舎人娘子の髪は、ちゃんとほどけてるしっ(^。^) 吉備皇女が言うには、この頃ちまたでは舎人皇子と舎人娘子の、この二首が話題になってたんだってさ! このとき、吉備は長屋王に恋してて、長屋王に好かれたい一心で髪型なんかも必死だったもんな(^。^) それとね、25年も前に出版されてる『天上の虹』1巻第2章「有馬皇子」での額田王と讃良(持統天皇)の会話にも、この髪がほどける話が出てくる。
里中さんは、きっと25年も前から、この舎人皇子と舎人娘子の二人の歌がが好きだったんだろうな(^^♪ だけど、舎人娘子のこの返歌が詠まれたのは『天上の虹』では終わりのほうだと思うから20巻でやっと里中さんは、この歌をエピソードとして盛り込むこできたのかもね(^_^) 讃良が7歳の時のエピソードに、こういうのが出てきたってことは ”男性に思われると女性の髪がほどける”という言い慣わしは昔からあったんだろうな。 なんともはや、昔の日本人はロマンチックな事を考えてたもんだね(^_-)-☆ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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