カテゴリ:本
この間NHKの『海軍400時間の証言』の事を少し書いた。
この番組を見て海軍軍令部という存在と実態を知り、呆然としてるんだけど、この番組を司馬遼太郎さんが見てたら、どう言ったのだろうか?っていう思いが、このごろふつふつとわいてくるんだよな。 司馬さんって、海軍がとても好きだったでしょ! 司馬さんは、昭和からこっちの日本のことをボロクソに言ってはったけど、海軍だけはやたらと持ち上げてたのを覚えてるんだ。 実は、また『海軍400時間の証言』をビデオで見なおしたんだけど、その番組の冒頭から衝撃的だったよ。 元大佐「責任は東條英機一人じゃない、むしろ海軍側にある」 元大佐「陸軍は暴力犯 海軍は知能犯」 ↑これ、録音された生の声なんだよ。 開戦をやった海軍軍令部の人間の生の声なんだ。 なのに第3回の放送では海軍は陸軍に引きずられて戦争に至ったという裏工作をやり、東京裁判では海軍幹部からは一人の死刑受刑者を出さなかったんよね。 そんな事が、生の録音テープで語られてるんだから、やっぱ衝撃的だったよ。 司馬さん!海軍ってこれでもスマートなの? 外から見たらスマートに見えるようにする事に長けてただけってことじゃないの? 幹事を務めた平塚清一元少佐(94)さんが保管してたテープを公開なさったんだけど、平塚さんが↓のようにおっしゃってた。 「恥をさらすんだから門外不出にしよう 自由な発言をしよう」 「人間も恥部をさらすのは嫌でしょう 海軍には残すけど一般には残さない」 ねっ、こんな反省会の時の録音テープなんだから、ここには真実があるって思うでしょう。 「今後間違わないために反省会の資料も参考になるかもしれない」 「第三者的に客観的に海軍を国民が見ていただけるような時代になった」 ということで、今回、公開することになさったらしい。 番組が始まって、少しして開戦に至った経緯が語られてる。 ↓赤字はナレーション。「」は生声。 軍令部作戦課三代一就中佐は永野総長からその真意を後に打ち明けられていました。 「なぜあなたは(永野総長)は戦争に賛成するような態度をとったのか? 海軍が戦争できないと反対したら右翼や陸軍がですね これに対して内乱を起こすと言うんですよ」 当時陸軍は中国との戦争で数十万にのぼる死傷者を出しており今さら撤退できないと主張。 東條英機陸軍大臣は撤退すれば陸軍はがたがたになり統制が効かなくなると警告していました。 「内乱を起こすと人数上海軍はかなわんから何ヵ月後には鎮定されて(負けて)結局そういう連中 右翼の内閣ができて 時期を失して 日本としては不利な時期に戦争をやらなきゃならぬ どうせ戦争をやらなきゃならぬというなら 少しでも勝ち目がある間にやるべきだというのが僕(永野総長)の考えだと~」 永野総長は陸軍の内乱、クーデターによって海軍が支配下におかれる事態を恐れていました。 開戦を決断したのは、海軍という組織を陸軍から守るためでもあったのです。 太平洋戦争の大義 自存自衛 アジアの開放を、この日軍令部の元参謀たちが語ることはありませんでした。 情けない話だよね。 これが真実だとすれば、海軍が海軍という自分たちの組織を守るために300万人以上の日本人を殺してしまったって事じゃない!!(>_<) ほんとにこんな酷い話を聞いたこともなかったし、海軍軍令部って全然知らなかった…。 僕はやっぱ司馬さんには、たくさん影響を受けてたし”海軍だけは違う”みたいな意識を持ってたもんな。 だけど、司馬さんを読まなくなってから10年ほどたつし、司馬さんが ”どうしてあんなに海軍が好きだったのか?”ってのをよく覚えてないんよね(^_^;) どんな風に書いてあったのかも思いだせなくて読み返してみたくなったんだ。 で、小説以外の司馬さんの本を引っ張り出してきて中をぺらぺらやったんだけど、中々見つからないんだ。 なんか、やたらと海軍を賛美してはったって気がするんだけどなぁ…。 で、最後に違うだろうと思って、開いてみた「街道をゆく」の中に見つけた! 「街道をゆく42 三浦半島記」の中の小題 ・「三笠」 ・記憶の照度(ルクス) ・昭和の海軍 ・ミッドウェー開戦 ・鎌倉とキスカ島 ・一菊の水 に、海軍について書いてあった。 街道をゆく(42) 少し読んだら思いだしてきたけど、今となっては、なんか書く気がしなくなった(^_^;) 気になる人は、古本屋さんだったら100円で買えるだろうし読んでみて。 ↓引っ張り出してきた小説以外の司馬さんの本。 ←クリックで拡大 今、思い返してみると、司馬さんが昭和以降の日本の事をボロクソに書いてはることに違和感を覚えて読まなくなっていったように思う。 だけど、司馬さんにはたくさんの歴史を教わったし、僕の一番の歴史の先生であることには今も変わりはない。 一頃は、酒を飲んだらいつも司馬さんの話の受け売りばかりしてたもんな(^^ゞ ちなみに今日は終戦記念日で正午には黙とうをした。 最近、小林よしのりさんの『天皇論』を読んだって書いたけど、『天皇論』で8月15日の玉音放送の意味も知った。 昭和天皇は、日本の国体護持のために、自身が戦争犯罪人として処罰されることも覚悟なさってらしたそうなんだ。 玉音放送は日本を救うための立派な放送なんだって思う。 生まれて初めて、今年、真面目に黙とうをしたよ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年08月16日 00時11分22秒
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