テーマ:本のある暮らし(3312)
カテゴリ:本
(このカッコ内は4月27日午後8時の追記です。FBから来て尚且つスマホで見てる時、この記事が尻切れトンボになっておりましたら、ページをプラウザで開きなおして下さい。最後まで出て来ます)
再読したんやけど、やっぱり死ぬほど面白かった♪ 今でも、ちょっとボーっとしてたら、さっきまでスキー場に居てたような気がするんよ♪ しやけどね、僕がどんだけ面白いと書いても、どうせ誰も読めへんやろうから、ネタバレしてまうけど、面白かった事を書いてまうことにした。 読む予定の人は読まんとってくださいm(__)m まず、この表紙デザインを見てよ↓
すっごいよね! この雪煙!! もしも、僕が、東野さんを知らなくて「白銀ジャック」も「疾風ロンド」も読んでなかったとしても、この表紙でジャケ買いしてもたと思うもん! 雪煙っていうか、これ、もう煙幕やもんなぁ! スノーボードが出す雪煙というのは、ボードの底面の端についてるエッジという金属製の縁が雪面を削って出るもんやねんね。 ゆっくり滑っても雪煙なんかたたないから、このジャケットのスノーボーダーは、猛スピードで滑ってる。 で、この滑ってる場所って、圧雪の入ってるゲレンデじゃないように見えるよね。 新雪の雪面やけど、降った直後じゃないみたいで、雪面に色々模様が見えてる。 木の生えてる角度からみて、急斜面じゃないみたい。 だから、トップが沈まないように後ろ足荷重で滑ってるのが分かる。 で、こんなんじゃない小さな雪煙やけど、圧雪面での雪煙を間近にに見える動画を5年前に撮ってるので見て。 これを見たら雪煙があがる理屈が分かると思う↓ これね、スノーボードの板の前足のすぐ前にカメラを固定して撮影した動画やねんね。 で、この動画の前半部分はスイッチ(後ろ向き)で滑ってるから、真後ろを撮影してることになる。 だから、ボードの後ろに上がる雪煙を間近で撮影できてる。 ね、ボードの縁から後ろ向きに雪煙が上がる理屈がわかるでしょ。 スキー場で、この本の表紙みたいな雪煙を見たことがないし、表紙からして、この本、魅力的やった♪ で、やっと、ここから、本の中身の話をするね。 この本はね、殺人事件が起こり、その容疑者とそれを追う警察と、その舞台となるスキー場の人たちの物語やねんね。 で、一番の主役は誰なんやろう?って考えてみたんやけど、はっきりせぇへんねん。 もしかしたら、主役はスキー場かもしれへん(^^ゞ だって、殺人事件の事とか真犯人のことなんか、この本の中では99%語られてへんねんで。 物語は、ただただスキー場の中だけで進んで行く。 しやから、この本、ミステリーの要素なんか、ほとんどないねん! 物語の始まりは、大学4年生の脇坂竜実が新潟の新月高原スキー場のオフピステを一人で滑ってる所から始まる。 あのね、一人スノボに行ってることからして、もう僕嬉しかったんよ。 ねぇ、スノボをしてる人に知り合いがいたら、一人スノボに行くか聞いてみて。 あんまりいないよ。 僕の友達では、一人で行くのんは僕だけやもんな。 一人って気楽でええねんで。 まず一番良いのんが、自分の滑りの事だけを考えられるんよ。 ゲレンデの端に座って人の滑りを見てても、雑念がないから、滑りの意味が、めっちゃよく分かるんよ。 自分の滑りも、雑念がないから具合の悪いことも良いことも、めちゃ良く分かって、間違いなく上達する! そんなんやから、みんなで行ったときに 「秘密練習してるやつはスゴイな!」 なんて言われて嬉しかっりしたな♪ ってか、自分では秘密練習なんて気持ちではなくて、ただただ滑りたくて行ってただけやねんけどね。 でもね、一人スノボは、あんまり冒険はでけへんねん。 もしも運転をでけへんような怪我をしてもたら、家に帰られへんやんか。 しやから、怪我をするかも知れへんってちょっとでも思ったところは、飛びたいところを我慢したりしやなアカンねんね。 昔やばい事があってね、あれは開田高原って御嶽山の近くのスキー場に一人で行ったときやったけど、木に右の太ももをぶち当ててしまった。 あの時はやばかった。 もう、これはヤバイと思って、まだお昼やったけど帰ることにした。 車に帰って着替えたら太ももが30センチぐらいに渡って血まみれで、もう泣きそうやった。 薬屋さんによって、症状を言うとスプレーの消毒剤を売ってくれた。 そのスプレーの消毒剤を吹いたら死ぬほど沁みたのを覚えてる(>_<) その次の週末には鹿島槍スキー場に行く予定があって、そちらは、3人連れで、前から決まってたスノボ行きやったから中止も出来なくてね。 あの右脚を負傷してからの一週間後のスノボはきつかった。 右足をかばって滑り続けるもんやから、今度は左のお尻の具合悪くなって来て、全然楽しくなかった。 ってか、脇坂竜実が一人スノボをしてただけで、こんなに脱線してたら、この本の終わりまで語り終わられへんし、僕の話は、もう書かんとこう。 しやけど、僕がこの本を人よりも面白く読んでしまうことを分かってもらうために、ちょっとだけ書いてみた(^^ゞ で、脇坂竜実が新月高原スキー場で一人スノボをしてたことが、この本の物語が出来上がる、そもそもの原因やねんね。 殺人事件が発生し、その容疑者に脇坂竜実が浮かぶんやけど、竜実は犯人と違うんよ。 何故なら、その殺人事件が東京で発生した時に、竜実は東京から車で数時間もかかる新潟県の新月高原スキー場でスノボを楽しんでたんよ。 ねっ、竜実にはアリバイがあるってわけよ。 しやけどね、竜実は一人スノボやったからアリバイを証明でけへんねん。 ところが、この本の冒頭の話がね、竜実が新月高原スキー場のオフピステで滑ってる時に、カメラで自撮りをしようとしてる女の子のスノーボーダーと出会い、竜実がシャッターを押してあげるってエピソードが書かれてるんよ。 ほら、もう話が見えて来たでしょ(^^♪ そう、無実の容疑者竜実のアリバイを証明できるのは、この時に出会ったスノーボーダーの女の子だけやってわけよ。 そんな訳で、この本のほとんどは、竜実と竜実の友人波川省吾が、この女性スノーボーダーを探す物語になってる♪ 二人は、このスノボがめっぽう上手な女の子のことを「女神」と名付けて女神探しを始めるわけよ。 そして、この女の子の手がかりが少ない。 竜実がカメラのシャッターを切ってあげたときに聞いた話は、この女の子のホームゲレンデが長野県の里沢温泉スキー場であるって事と、パウダーランやツリーランが好きだって事だけ。 パウダーランというのは新雪滑走のこと。 スノーボードの板というのは滑走面の面積が広いので新雪滑走が気持ち良い! スキーだったら潜ってしまう新雪の上をフワフワ滑ることが出来る。 このスノボの新雪滑走の浮遊感は体験しやな伝えるのんは難しい。 この時、竜実が行ったパウダースポットに向かうときの苦労なんかも良く分かる。 あのね、綺麗なパウダースポットって、新雪が降ったあとの朝一以外は、みんなに滑られてすぐになくなってしまうねんね。 しやけど、そこに行くのんがめんどくさいとこは、サラっピンの新雪が残ってたりするんよ。 ふうふう言いながら、丘を越えたりして新雪を食いに行ったことなんかも思いだしたわ(*^^)v ってか、また脱線したけど、とにかく、見つけるべく女の子は、里沢温泉スキー場をホームゲレンデにしてるパウダー好きの女の子やねんね。 でね、この子のスノボの腕前がハンパやないんよ。 竜実はシャッターを押してあげた後で、この女の子がタイプやったもんやから追いかけようとしたんやけど、スノボが上手過ぎて、まったく追いつくことがでけへんかったぐらいやねん。 自分が警察から追われてる事を竜実が知ったのは、新月高原スキー場から東京に帰った竜実が、大学のアウトドア・サークルの仲間の波川省吾の家に居たときやってんね。 で、竜実は金がないし頼りない奴でね、法学部の波川は頭が回るしお金もあるし、竜実の無実を立証するのを手伝ってくれることになる。 波川は竜実と共に、竜実のアリバイ証人となる女の子を探しに里沢温泉スキー場へ向かってくれるんよ!! この里沢温泉スキー場に向けて出発するときの描写がこんなん↓ 波川は立ち上がり、クロゼットを開けた。そこには派手な柄のスノーボードが立てかけられていた。 ↑この二行だけで、僕、なんか嬉しくて、堪らんくなったんやけど、こんなんも自分だけかも知れへんねんけどね(^^; でね、この里沢温泉スキー場というのはね、こんなん誰でもすぐに気がつくやろうけど、これ、野沢温泉スキー場がモデルやねんね、 ほら「里」って字の右側に「予」を付けると「野」になる。 ねっ「里沢」から「野沢」にすぐになる。 他にも、野沢温泉スキー場をモデルにしてると分かる場所がいっぱい出てくる ・6人乗り日向ゴンドラ⇒野沢の日影ゴンドラ ・12人乗りの長峰ゴンドラ⇒野沢の長坂ゴンドラ ・スカイハイウェイコース⇒野沢のスカイラインコース ・山頂に登るクワッドリフト⇒野沢のスカイフォー ほかにも、野沢温泉の近くの飯山に酒蔵のある「水尾」って銘柄のお酒とか、東京から新幹線で2時間弱とか、すべて野沢温泉スキー場に一致してる。 でね、僕が生まれて初めて行ったスキー場は大学時代に行った野沢温泉スキー場でね、大学時代は野沢温泉ばっかり行ってた。 あの当時はJRで行ってたから、野沢が遠いという意識もなく、よく行ったなぁ。 しやけど、車で行くようになると野沢は遠くて白馬に行くようになったんやけど、野沢は懐かしかった。 この小説を一回目に読んだあと、僕、その面白さが凄すぎて、なんでこんなに面白いのかを具体的に知るために、みんなの感想を知りたくて検索してんね。 僕みたいにこの小説が面白すぎて、ワナワナが止まらない奴が、日本中に五万と居てると思ったんよ。 しやけどね、やたらと多い感想が「サクサク読める」ってくだらない感想やねん。 はぁ、この小説がサクサク読めたん? そんなアホな!って思った。 しょっちゅう琴線に触れることが出てきて、気持ちがワナワナして、なかなか進まへん本やと思うねんけどなぁ。 でも、いくら検索しても、この本がそんなに特別な本やとする感想に出会われへんかったんよ。 納得いかへんけど、もしかしたら、この本を僕ほど面白く読める人は、ほかには居てへんのんかもしれへん。 で、この本について、まだ、説明出来てるのんは容疑者の竜実とその友達波川の二人の大学生だけやよね。 でも、人間の魅力としたら、この二人は一番普通やねんね。 この二人を容疑者として追いかけることになる刑事が、とっても人間臭くて良いねん。 この刑事は小杉と、その部下の白井。 この二人が可哀そうやねん。 この二人は所轄の刑事やねんけど、事情があって、警察官である事を隠して長野県の里沢温泉スキー場に脇坂たちを探しに行く羽目になるんよ。 この、事情というのんが下らないことやねんわ! 所轄警察署に捜査本部が立ち上がり、本庁から捜査一課がやってくることになるんやけど、所轄の刑事課長と一課んからやってくる係長が警察官の位は同じで同期なんよね。 しやから、所轄の刑事課長としては、同期で差をつけられてる本庁の課長をを出し抜きたいわけよ。 だって、捜査一課が乗りこんで来たら所轄なんか下働きしかさせてもらわれへんもんね。 そんな時に、容疑者である竜実と波川が里沢温泉スキー場に向かったという情報を、所轄刑事の小杉が掴むねんね。 掴んだ情報を小杉が係長に報告すると、課長の腰ぎんちゃくの係長が、本庁の人間には知らせずに小杉と白井を里沢温泉スキー場に派遣するんよ。 そんな事情やから、警察官であることを明かすと本庁に情報をあげてない事がばれるから、警察官である事を隠しての捜査になる。 こんなん、やってられへんし、小杉としたら、もう、まったくやる気がないねんね。 しやけど、仕事やし、やらなしゃぁないし、嫌々里沢温泉スキー場にやって来る。 その、やって来た時の描写がオモロイねん! 小杉は足を止めた。白井の姿を見て、自分たちがとんでもない失敗を犯していることに気づいた。 「まずいぞ」 「何がですか?」 「服装だ。周りをみろ。こんな格好で歩いているのは俺たちぐらいのものだ」 白井は虚を突かれたような顔をし、きょろきょろと見回した。スーツにネクタイ、そしてコートに旅行鞄。おまけに革靴だ。東京駅では目立たなかったが、ここでは異彩を放っている。 これさぁ、スキー場に行き慣れてるひとには、分かるでしょ(^^ゞ これはアカンよ。 刑事であることを隠して目立たないように容疑者を探さなアカンのに、何をやってることやら。 野沢温泉の街の真ん中を通ってる野沢大湯通りってのが、あるんやけど、その風景を僕思い浮かべてもたんやけど、革靴履いてコート着たネクタイ姿って、めっちゃオモロイ! 冬の間は、スキー、スノボのお客さんばっかりで賑わってるところやからね。 確か、野沢大湯通りのお土産屋さんの二階にある喫茶店に何度か入ったことがあってね、マッチをもらってたと思って探してみたらあったよ↓ 店の中の様子も思いだした。 あんなところに革靴でスーツのお客さんが入ってきたらビックリするわ(^^ゞ しやけど、革靴、ネクタイの違和感って、スキー場に行ったことがない人にはピンとけぇへんやろね。 僕は、そういう景色を見たことがあるからイメージできるんよ。 昔、白馬岩岳に滑りに行った事があるんやけど、いつも一緒に行く友達が仕事で長野市のほうに出張があって行かれへんかってんね。 しやけど、その友達は、どうしても岩岳に自分も行きたいって言うものやから、長野市で仕事を終わらせ次第、長野市から直接JRで岩岳に来ることになった。 しやから、そいつのウェアやスノボ道具一式を前もって預かって車に積んで岩岳の宿まで運んでやってたんよ。 夜になって、そいつが岩岳に着いた連絡が来たので、宿から迎えに行ってんね。 そいつが、書類カバンに革靴コート姿でやって来た姿を、もう10年以上前の事やけど鮮明に覚えてるねん(^^ゞ 宿の部屋に入って、そいつがコート、スーツ、ネクタイを外して着替えてる姿も、なんやオモロくて、今でも目に浮かぶんよ(^^ゞ 自分たちの格好がオカシイ事に気がついた小杉たちはレンタルショップを見つけて、レンタルのスキーウェアに着替えるんやけど、それはそれで、見る者が見ると、やっぱり怪しかったんやけどね(^^ゞ で、小杉たちが、夕食を食べに入った「お食事処きなし」がひとつのキーポイントになるねんね。 そして、この「お食事処きなし」の女将(おかみ)が、この本のキーパーソンになる人物やねん!! この女将は、この本の三分の一ぐらいのところで登場するんやけど、最高のキャラやねん。 僕、多分、東野さんはこの女将ありきで、この小説の構想をたてたんとちゃうかと思うんよ。 この女将の名前は、最初に一度だけ名刺に書いてある「川端由希子」として出てくるけど、結局、この本の最後まで「女将」としてしか語られてないねんね(^^ゞ 一度だけ、名刺の名前を出すだけで、この人物の事をずっと「女将」で通したのも東野さんの狙いやったんやろうと思う♪ で、ここまで書いて根津はいつ出てくるねん?ってお思いの人も多いと思うけど、根津は、この本では里沢温泉スキー場のスキーパトロールの隊長さんやねんね。 根津さんファンは安心したでしょ!(^^♪ で、この「お食事処きなし」で小杉たちが聞き込みにやって来たときに、店に居た根津の事を女将から 「このスキー場のパトロール隊長さんですよ」 って紹介されて、小杉と根津に初めて接点ができる。 この時は「女将」なんか、きなしの女将というだけの、どうでも良い登場人物やと思っててんね。 女将のことより、このとき、小杉は根津にも竜実の写真を見せて聞き込みをやってるわけで、いよいよ根津が、この物語に加わって来るって、そっちのほうがワクワクやったな♪ で、この「お食事処きなし」で、この本で重要な役割を担う事になる里沢温泉スキー場関連の人物の8割方が登場するねん。 この時の根津の連れは ・スキーパトロールの根津の部下の長岡(ゲレンデウェディングの新郎) ・「白銀ジャック」からのスノーボーダーである瀬利千晶 ・千晶と、長年にわたってスノボクロスのライバルだった成宮莉央 ・莉央の姉でやはりスノーボーダーである成宮葉月(ゲレンデウェディングの新婦) ↑の(ゲレンデウェディング)というのが、この物語のカギになるんやけど、(ゲレンデウェディング)については、あとでまた書くね。 これね、こんなに沢山登場人物が居ても、話がややこしくなるだけやん!なんて思うでしょ。 しやけどね、この時、「お食事処きなし」に居た、女将、根津、千晶、莉央、葉月は、本の後半に向けて一人残らず重要な役割を持って行くんよ。 さらに、ここには居なかったけど、 ・バックカントリーツアーのインストラクター高野 ・高野の弟で高校生の悪ガキスノーボーダーの高野裕紀 ・高野裕紀の友達で女将の甥っ子の川端健太 そういった登場人物が、それぞれが絡んでくる。 女神を探す竜実たちに、本当の意味を知らずに協力する者。 竜実たちを捕まえようとする小杉刑事に協力するもの。 それぞれが、それぞれの思惑で動いていく。 東京の捜査本部も、だんだんと竜実たちの向かった先を割り出しにかかっていく。 何が面白いかというと、アンジャッシュの漫才みたいに、お互いの思惑がすれ違ってるんよね。 捜査本部は小杉たちの動きを知らない。 小杉たちは女神のことを知らないから、竜実たちが殺人事件の容疑者であるにも関わらず、どうして長野県の里沢温泉スキー場にスノボをやりにやって来たのか意味が分らない。 竜実たちも、自分たちを探してる者が居る情報を得るけど、小杉たちが警察官である事を隠してるものやから、誰がどういう目的で自分たちを探してるのかが分からない。 でねぇ、一番面白かった局面は、女将が小杉を手伝って竜実たちを探すなんて、とんでもない方向に物語は進むねんね。 で、結局、小杉は20年ぶりにスキーをはいて、女将の言うがままに、巨大スキー場を滑りまくって竜実たちを探す羽目になるんよ。 女将って名前に不似合いな、こんな描写がしょっちゅう出てくる↓ これまで以上のスピードで女将がすっ飛ばして行く。ろくにターンなどせず、殆ど直滑降だ。いくら緩斜面とはいえど小杉は怖くなるが、ここは置いていかれるわけにはいかない。姿勢を低くして、懸命に追跡した。 しやけど、こんなのも当たり前やねん。 女将がかってアルペン選手で、凄い選手だったことが、女将の口から小杉に語られる。 しかも日本人には体格的に難しいとされてる高速系のダウンヒルの選手だったんだって。 しやから、女将はちょっとした有名人で、現役時代は里沢温泉村をあげて応援されてるような存在だったんだって。 あのね、日本人に強いダウンヒラーが居ないのは、体格のこともあるんやけど、それだけじゃなくてね、日本にはダウンヒルのコースを作れるスキー場がほとんどないんよ。 しやから長野オリンピックでも八方尾根スキー場の国立公園内を通るコースしか作れないとかいって、ごっつぅもめたんよね。 だから、日本って公式大会のコースを作るのにも苦労をする国やねんね。 しやから選手が育たないのんもしゃぁないねん。 だけどね、日本にただ一人だけ世界と戦ってたダウンヒラーが居たんよ。 その人は、ソチオリンピックでもダウンヒル、スーパーGの高速系の解説をしてはって、3年前に、僕、ブログにも書いてる人やねん。 その人は川端絵美選手ってんやけど言われてみたら、みんな知ってるでしょ。 余談やねんけど、川端絵美さんってユーミンに声もしゃべり方もそっくりでね、その事もあって、僕、川端さんの解説が好きやったわ♪ で、女将の話なんやけど、女将の名前は、一度名刺に書かれた名前として「川端由希子」と書かれてだけやねんね。 でも、この本では、女将のことを名前で語らずにすべて「女将」で通してるから、一度目に読んだ時は女将の名前が「川端」だって事に、僕、気がついてなかったんよね。 女将の名前が川端って分かる局面が最後のほうのクライマックスであと一か所ある。 それは、高校生の悪ガキスノーボーダーの川端健太が、女将の事を「おばさん」って呼んだ時! そこでやっと、僕、女将のモデルは川端絵美選手やったんや!って分かったんよ。 ほんま東野さん、やってくれるわ!って嬉しくなってしまったよ♪ そうそう、上のほうにチラッと書いたゲレンデウェディングというのはね、里沢温泉スキー場が企画したイベントなんよ。 ゲレンデで結婚式をあげるという企画。 女将と小杉が竜実を探した日は、その最初の実験のような結婚式のリハーサルの日で、翌日が本番ってタイミングやってんね。 このこともあったために、女将は小杉に協力をすることにした。 つまり、容疑者がウロウロしてたら里沢温泉スキー場としてはたまったものじゃないけど、警察官が大挙して押し寄せて来たら大事なゲレンデウェディングが台無しになる。 この里沢温泉スキー場は女将にとって、かけがえのない存在なわけで、恩も感じてるし、ゲレンデウェディングの本番前にとっとと容疑者を捕まえてしまおうとなったわけ。 そして、この女将のスキーの腕前と頭の良さとスキー場全体の土地鑑、それにスキー場の全従業員に顔を知られてる事、そういった事を考え合わせれば、女将は竜実を捕まえる自信があったんやろうね。 実際に、女将の捜査の方法は、小杉たちが警察官であることを隠して捜査してたことと比べたら雲泥の差があったもんな。 スキー場の今後のために、このゲレンデウェディングを成功させようと、根津たちパトロールも力を貸してる。 そして、瀬利千晶がゲレンデウェディングの演出担当。 成宮莉央がプロデューサー。 プロデューサーの姉が新婦。 根津の部下が新郎。 このゲレンデウェディングが、この物語の一番のキモであったやなんて、まったくもって考えもせんと読んでたわ! 白に赤い水玉のウェアが、ゲレンデウェディングで、パフォーマー全員が着てるオソロのウェアやったやなんて! 女将が竜実だと思って追いかけてたスノーボーダーが、まさか自分の甥っ子やったやなんて!! スキー場においてウェアの柄や色だけが個人を特定できるものやって事も面白いよね♪ そして、スノボの板が珍しい限定モデルやって事も、個人を特定する貴重なアイテムなんよね。 本を読んでてね、別に感じやんでも面白く読めるけど、たくさんの事を感じるほうがより面白いのんは確かやんか。 そう考えたら、この本って、面白く読むためには、少し難しい本なのかもしれへんなんて思えてくる。 意味を知らない人は、気にせずに読み飛ばしてると思うけど、竜実と波川がバックカントリーツアーに参加した時にプローブやビーコンを持たされる。 プローブって知ってる? これ、雪山で雪崩に埋もれた遭難者を探すための棒なんよ。 ビーコンは雪崩に埋もれた時に、その場所を示すための電波を出す発信機。 こんなん知らんと、この本を読んでも、なんの支障もないけど、知ってるほうが深雪のバックカントリーに居てることを自然にイメージするやんか。 たとえばスキー場のゲレンデマップとかタウンマップって分かる? 女将が小杉に協力して、竜実を追いかけると決めた時に、女将が最初に持って来てテーブルの上に広げたのがゲレンデマップとかタウンマップやんか。 これ、当然のことでしょ。 スキー場に居る容疑者を探し出すために、ゲレンデマップとタウンマップを広げてなかった小杉たちがオカシイぐらいやんか。 その場所は「旅館きなし」のロビーで、持って来たのがその旅館の女将本人やねんから、きっとスキー場にある中で一番立派なゲレンデマップとタウンマップを持ってきたんやろうなぁって想像がつく。 多分、宿の壁に貼ってあるポスタータイプの大きなマップとちゃうやろか。 僕も昔は毎年、その年の最新のゲレンデマップとタウンマップを手に入れてたけど、ネットを使うようになると、印刷物のマップは使えへんようになったな。 これは20年ほど前のゲレンデマップ↓ この広大なゲレンデを見てると、竜実が女神をさがすのに絶望的になってたのが分かる。 それに、女将が、竜実を見つけられるのは自分しかないと思うんちゃうかって想像できる。 これは17年前のタウンマップ↓ こんだけ宿がいっぱいあったら、小杉と白井の二人の絶望感も実感できるわ(^^; 完全ネタバレなんてエラそうなタイトルをつけたけど、僕なんかにちゃんとネタバレする記事を書けるような、そんな生やさしい本とちゃうわ(>_<) 書けば書くほどそれが分かって来たし、中途半端やけど、これぐらいにしとく(--;) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017年04月28日 03時30分03秒
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